天然石けん成分の「オレイン酸カリウム」が新型コロナウイルスを９９．９９％以上不活化させることを実証

―新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果の研究結果―

シャボン玉石けん株式会社

2020年10月5日 16時30分

シャボン玉石けん株式会社（福岡県北九州市/代表取締役社長：森田隼人）は、新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）に対する石けんの抗ウイルス効果について、広島大学大学院医系科学研究科ウイルス学研究室坂口剛正教授と共同研究いたしました。その結果、天然石けん成分「オレイン酸カリウム」が新型コロナウイルスを９９．９９％以上不活化させることが分かりました。

【グラフ】新型コロナウイルスを不活化

【試験概要】
新型コロナウイルス（ウイルス株：JPN/TY/WK-521）とオレイン酸カリウム水溶液を１：９で３分間反応させ、TCID５０法(※1)で感染価を求めました。独立行政法人製品評価技術基盤機構（NITE)は、2020年6月26日に脂肪酸カリウム・脂肪酸ナトリウムに新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果を有することを発表しました(※2)。本実験結果は、NITEの報告内容と同じ傾向を示したと考えられます。
※1：TCID５０法とは、ウイルス感染価を確認する際に用いられる測定方法の１つ。あらかじめ細胞を培養して付着させた試験管やウェルプレート上にウイルス希釈液を接種し、５０％の細胞に対して感染する濃度のこと
※2：新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価（最終報告）令和２年６月新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価に関する検討委員会

※本研究は、広島大学大学院医系科学研究科ウイルス学研究室坂口剛正先生との共同研究の結果です。
※新型コロナウイルスは、国立感染症研究所から分与されたウイルスです。

オレイン酸カリウムとは？
石けん成分の一種のことで、オレイン酸を含む天然油脂を原料に使用したカリ石ケン素地を「オレイン酸カリウム」と言います。石けんの原料となる天然油脂には脂肪酸と保湿成分のグリセリンが含まれており、油脂の種類によって含まれる脂肪酸が異なります。

参考資料
弊社はこれまでも石けんのウイルスや細菌に対する有効性を研究しており、201８年にはインフルエンザウイルスに対して石けんが高い抗ウイルス効果をもつことが分かりました。
【インフルエンザウイルスへの抗ウイルス効果】
2018年には、弊社研究開発部長・川原貴佳らが研究論文「発熱相互作用による天然石鹸成分のオレイン酸カリウムのヒトおよびトリインフルエンザウイルスの不活性化」を発表いたしました。本研究は、手洗い用の洗浄剤に汎用される「ラウレス硫酸ナトリウム」、「ラウリル硫酸ナトリウム」、そして「オレイン酸カリウム」の3種類の「界面活性剤」の、ヒト型インフルエンザウイルス、トリ型インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス効果について研究したものです。研究の結果、3つの界面活性剤のうち、「オレイン酸カリウム」が最も高い抗ウイルス効果を示すことが分かりました。本研究は、アメリカの科学雑誌「PLOS ONE」に採択され、掲載されました。

インフルエンザに対する効果

「Kawahara T, Akiba I, Sakou M, Sakaguchi T, Taniguchi H (2018) Inactivation of human and avian influenza viruses by potassium oleate of natural soap component through exothermic interaction. PLOS ONE 13(9): e0204908」の図１，２を改変

【研究結果が掲載されたアメリカの科学雑誌「PLOS ONE」について】
2006年からPublic Library of Science社より刊⾏されているオープンアクセスの査読つきの科学雑誌。
科学と医学分野の⼀次研究論⽂を扱う。「査読」とは、雑誌掲載前にあらかじめ同じ分野の専門家が投稿論⽂を読み、査定を⾏う過程のことをいい、査読システムを経て論⽂が採録・出版されるということは、該当分野の有識者によってその成果や有効性が認められたと言える。

シャボン玉石けんのこれまでの取り組み
■シャボンちゃんの手あらいうた
正しい手の洗い方を楽しく学べる「シャボンちゃんの手あらいうた」を公式 YouTube チャンネルで公開しており、手洗いチャレンジや手洗いダンスなどによる啓発に取り組んでいます。
シャボンちゃんの手あらいうた（フルバージョン）
https://www.youtube.com/watch?v=YUoaNktf27o