気候危機の「残された10年」にどう対処すべきか?ナオミ・クラインが世界に問う、人類存続のために必要な「革命」とは
国際ジャーナリスト、ナオミ・クラインが新著『地球が燃えている』で提言する「グリーン・ニューディール」。脱炭素社会への転換は経済のあり方を変える「革命」になりうるか?
化石燃料の野放図な消費により、地球大気はすでに産業革命から約1℃上昇し、このままでは今世紀中に3~4℃の上昇を招くといわれています。その影響は、毎年のように発生する巨大台風や水害を通じて私たちにも実感できるレベルになってきました。世界では砂漠化や海面上昇、熱波や大規模な森林火災などが各国で多発しています。
最新刊で描く「失われた30年」と深まる危機
11月に日本でも刊行となる最新刊『地球が燃えている――気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』(大月書店刊)では、過去10年の取材・執筆活動を通じて、人類の存続を脅かすこの危機に対して国際社会がどのような行動をとり、またとれなかったのか、その根本原因を追究しています。
気候問題の根本には、産業革命以来、化石燃料に依存してきた近代資本主義の宿痾があり、それは中東地域での紛争、石油企業による世界経済の支配、政治家との癒着、そして旧植民地国に対する搾取の歴史などと複雑に絡み合っています。クラインは、その複雑な位相を著書で余さず検証しています。
危機を打開する「グリーン・ニューディール」――その実現可能性は?
こうした危機の打開策として、彼女が提唱するのが「グリーン・ニューディール」です。これは、かつて1930年代の大恐慌から脱却するために米国でとられたニューディール政策をモデルに、再生可能エネルギーへの大規模な社会的投資を行い、カーボンニュートラル(脱炭素化)を達成すると同時に、持続可能な社会の基盤となる産業・雇用・インフラ・教育や芸術活動まで含めた包括的な変革のビジョンです。
アメリカでは民主党のサンダース議員やオカシオ=コルテス議員らがこの政策を掲げて若い世代の圧倒的支持を獲得し、大統領選挙でも気候変動への対応は大きな焦点となりました。バイデン大統領が就任すれば、アメリカはパリ協定に復帰し、積極的な気候対策に舵を切るとみられています。
気候対策は世界共通の課題――日本はいかにキャッチアップするか?
日本政府もようやく2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ達成を打ち出しましたが、その実現の筋道はあいまいです。今後この目標をいかに実現するかの議論において、本書は大きな参照軸となるはずです。
出版を記念して12月1日(火)に著者も参加するオンラインシンポジウムを予定しています。詳細は下記URLから。
https://www.kikonet.org/event/2020-12-01/
ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー、世界の識者が絶賛!
「ナオミ・クラインの作品はいつも感動的で進むべき道を教えてくれます。この気候危機の時代のできごとを克明に記録し、世代をまたいで刺激を与え続けています」
――グレタ・トゥーンベリ(環境活動家、「Fridays for Futures」創始者)
「気候崩壊は新たなショック・ドクトリンとエコファシズムを生み、さらには文明を崩壊させる。だからこそ、資本主義に終止符を打ち、脱成長型経済をめざすグリーン・ニューディールが必要だ。「社会主義か、絶滅か」。これは、かつてないほどラディカル化したナオミ・クラインによる革命の書だ!」
――斎藤幸平(経済思想家、『未来への大分岐』『人新世の「資本論」』著者)
書誌情報
書名:『地球が燃えている――気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』
著者:ナオミ・クライン(著)中野真紀子、関房江(訳)
発売:2020年11月18日(16日取次搬入) 定価:本体2,600円+税 四六判上製376ページ
出版社:大月書店 ISBN:978-4-272-33099-7 http://www.otsukishoten.co.jp/book/b532892.html
参考:ナオミ・クラインらが企画・制作した映像作品「アレクサンドリア・オカシオ=コルテスが語る未来からの伝言」(2019年)。グリーン・ニューディールの実現がもたらす世界が未来からの回顧の視点で描かれる。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像