ローマの老舗オーケストラに新しい風!ダニエル・ハーディングが2024-2025シーズンよりサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団・合唱団の新音楽監督に就任
就任記念コンサートは2024年秋、プッチーニ没後100年を記念するオペラ《トスカ》を演奏会形式で
世界のトップ・オーケストラの一つ、ローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団・合唱団が、新しい音楽監督の名前を発表しました。18年ものあいだ音楽監督を務めたイタリア系英国人のサー・アントニオ・パッパーノの後には、やはり英国出身のダニエル・ハーディングが音楽監督に就任します。指揮者であるだけでなく、エアフランス航空のパイロットという肩書きも持つユニークなマエストロを迎えて、サンタ・チェチーリア管にどのような変化が訪れるのか注目です。
新音楽監督に指名されたダニエル・ハーディング
ダニエル・ハーディングが2024-2025シーズンより
サンタ・チェチーリア国立アカデミーの新音楽監督に就任
ダニエル・ハーディングがサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団および合唱団の音楽監督に任命されました。英国出身のマエストロの任期は、2024年10月から、当初は5年契約で始まります。
ダニエル・ハーディングは、2005年から2023年まで音楽監督を務め今後は名誉指揮者となるサー・アントニオ・パッパーノの後任として就任します。世界最古の音楽団体のひとつであるサンタ・チェチーリア国立アカデミーは、イーゴリ・マルケヴィチ、ジュゼッペ・シノーポリ、ダニエレ・ガッティ、チョン・ミョンフンなど、名だたる首席指揮者、音楽監督を擁してきました。
ハーディングは、シンフォニー・シーズンの幕開けをオペラの演奏会形式で飾るという長い伝統に従って、プッチーニの没後100周年における《トスカ》の演奏で任期をスタートさせます。さらに最初のシーズンには、ローマの主要な教会堂のひとつでヴェルディの『レクイエム』を演奏し、ローマの歴史的遺産に敬意を表します。これは、この永遠の都の最も美しい教会の数々を舞台に、宗教音楽の傑作を演奏するシリーズの初回となるでしょう。ハーディングは、当楽団の交響曲のレパートリーをさらに充実させ、特にR・シュトラウス、ウィーン楽派、ワーグナー、マーラーの交響曲全集、その他多くの作曲家の作品を含む、19世紀と20世紀の傑作に光を当てる予定です。また、最初のシーズンでは、演奏される機会の少ない傑作であるスークの「アスラエル」交響曲を取り上げます。
ドイツ・グラモフォンも、ダニエル・ハーディングとサンタ・チェチーリア国立アカデミーとの新しいコラボレーションを発表しました。就任記念となる演奏会シリーズが録音されますが、中でも目玉となるのがプッチーニの記念年に演奏される《トスカ》です。また、その他の録音・録画プロジェクトについても、後日発表する予定です。
サンタ・チェチーリア国立アカデミーの総裁であり、この正統派の指名の責任者であるミケーレ・ダッロンガロは次のように述べています。「私たちが長年共演の機会を得て、愛している音楽家ダニエル・ハーディングが今日、重要な任命を受けて戻ってきてくれることは、心からの喜びであり大きな誇りです。これはサンタ・チェチーリア国立アカデミーと、その管弦楽団及び合唱団にとって、将来への挑戦であり、私たちが属する都市にとって大きな機会でもあるのです。今日、優秀な指揮者よりも優秀なオーケストラの方が多いと述べることは、言い過ぎではないと思います。その中でも、自身の熱意と創造性、そして厳密さをもって、成長と発展の道程を保証してくれる優れた指揮者はもっと少ないでしょう。私たちの楽団の質の向上は、多くのツアーやCDの制作、聴衆や評論家そして関係者の反応によって証明されていると思いますが、それは近年ではシノーポリ、ガッティ、チョンらから多くのことを学び、そして特にアントニオ・パッパーノが今日の結果を目指して18年間にわたって「家族」(彼の言葉を借りれば)に献身し、専念してくれたことによるのです。今、ダニエル・ハーディングに焦点を当てるということは、私たちにとって、現在最も偉大なる才能を持った一人と共に仕事をする機会を得るということだけでなく、新しい刺激を得ることによって、これまでの道を変えるのではなく、これまでとは違う新しいアイディアで私たちの音楽生活を豊かにすることを意味します。ですから今日は音楽の偉大な力によって、ますます魅惑的な未来に向けて祝い、準備をする時なのです」
ダニエル・ハーディングの言葉は以下の通りです。「サンタ・チェチーリア国立アカデミーには、並外れたエネルギーと熱意を持つオーケストラと合唱団が所属しています。彼らは、自分たちが演奏する音楽への熱意を聴衆に伝えることを愛しています。このオーケストラと25年間一緒に仕事をしてきた中で、私たちは共に幅広いレパートリーを探求し、今では私たち皆にとって非常に大きな意味を持つ友情を育んできました。歴史的、文化的に比類ない重要性を持つ街において、第一線の、しかもかくも野心的なオーケストラの音楽監督になる機会を得たことは、私にとって素晴らしい贈り物です」
ダニエル・ハーディングが指揮するサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団
グラミー賞の受賞者であるハーディングは、スウェーデン放送交響楽団の音楽・芸術監督を務めており、2025年には19シーズン続けたその職を退く予定です。彼は2016年から2019年まではパリ管弦楽団の音楽監督、2007年から2017年まではロンドン交響楽団の首席客演指揮者を務め、又、20年以上共に活動してきたマーラー室内管弦楽団からは終身名誉指揮者の称号を授与されています。
ハーディングは客演指揮者としても、世界の最も重要なオーケストラと非常に密な関係を築いています。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とはその本拠地とツアーを含めて25年以上、そしてウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ロンドン交響楽団とは20年以上共演しています。アメリカではクリーヴランド管弦楽団、シカゴ交響楽団、ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団、サンフランシスコ交響楽団など、多くの主要なオーケストラの指揮台に立っています。 ドイツ・グラモフォン、ワーナー・クラシックス、ハルモニア・ムンディ、デッカでの録音は、ヨーロッパ、日本、アメリカで最も重要な賞を受賞しています。
2005年12月、シーズン開幕公演を指揮したミラノ・スカラ座では、数々の重要なプロダクションやオーケストラ・コンサートを指揮しています。オペラの分野ではその他に、ウィーン、ベルリン、ミュンヘン、ロンドン、ザルツブルク音楽祭、エクサンプロヴァンス音楽祭で重要なプロダクションを指揮してきました。
先月ハーディングは、ヨーヨー・マの後任として、中国のYMCG(ユース・ミュージック・カルチャー・グレーター・ベイエリア)の音楽監督に就任することが発表されました。欧米の主要オーケストラの音楽家たちのチームと共に、中国の最も才能ある若いアーティストたちと仕事をすることになります。
2017年にはフランス政府から「フランス芸術文化勲章オフィシエ」の称号を授与され、2021年にはエリザベス2世から新年の叙勲において大英帝国勲章コマンダー(CBE)を授与されています。またダニエル・ハーディングは、指揮者としてのキャリアに加え、エールフランス航空のパイロットでもあります。
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