耕作放棄地を開墾したトウモロコシ畑の種まきを7月20日(木)実施
物価高、円安にも負けない畜産業を創るための飼料国産化に向けた挑戦
今回、6.8ヘクタールの畑に飼料用のトウモロコシの種をまく計画です。これは福岡 PayPayドームとほぼ同じ、東京ドームの1.4倍の大きさとなります。
6.8ヘクタールのうち2.5ヘクタールは、元々、耕作放棄された荒地でした。トラクターに専用の耕作用の機材をつけ、耕しました。木が育つとトラクターでは歯が立ちません。そうなるとショベルカーを使って、木を取り除きます。こうしてようやく、作物を植えられるほどに復活させることができます。
鳥越ネットワークがこれまでに再生した耕作放棄地はおよそ60ヘクタール。地域の農地と環境を守る取り組みを進めています。
トウモロコシの栽培は、飼料の国産化に向けた取り組みの一環です。グリーンコープでは飼料用トウモロコシの作付けを数年後には150ヘクタールほどに拡大することを目指しています。
背景1:畜産飼料の自給率を巡る危機
農林水産省の調査によりますと、畜産飼料の自給率は25%に止まっています。ですが、この25%という数字も「純然たる国産」としての数値ではありません。飼料の多くを輸入に頼っているからです。
例えば、牛肉の自給率は35%ですが、国産の飼料を食べて純粋に国内で生産された牛肉はわずか9%に止まっています。飼料用の大豆は21%、飼料用のトウモロコシに至っては自給率0%に止まっています。
また、ウクライナ紛争、円安、原油などの物価高などが原因で、昨今、飼料価格は高騰しています。2年前と比べると、およそ5割近い値上がりと高止まりしているのが現状です。
畜産自給率を高めるため、そして海外の情勢に左右されない畜産業を創るため、グリーンコープは「飼料の国産化」に本腰を入れて取り組むこととしました。
背景2:増え続ける耕作放棄地
農林水産省の調べによると2019年の販売農家数(田畑の面積が30a(アール)以上、または農産物販売金額が50万円以上の農家)は113万100戸で、20年前の1999年に比べて54%も減少しています。農業者の高齢化や後継者不足が原因です。農家の減少に伴い、全国で耕作放棄地が増え続けています。
耕作放棄地が増えることで様々な問題が懸念されます。雑草が生え、害虫が発生します。農地には、洪水などの災害を防ぐ機能がありますが、この機能も失われます。廃棄物の不法投棄の原因にもなります。さらにシカやイノシシなどの野生動物が耕作放棄地をエサ場にするようになり、周囲に農作物被害も生み出してしまいます。
今回、耕作放棄地を飼料用トウモロコシ畑に転用することで、耕作放棄地問題の解決にも貢献したいと考えています。耕作放棄地ではトウモロコシだけではなく、すでに小麦や大豆を生産しています。
「日本一の高品質で安い、びん牛乳」実現のために
グリーンコープは、耶馬渓酪農組合と下郷農協と協力し、乳牛1,000頭規模の新たな酪農場を作ることを計画しています。そのためにグリーンコープとしても、まとまった額の投資を検討しています。
北海道の酪農に負けないほどの高い生産性を、そして一般的な飲用乳価格より安い加工乳価格でも経営できる酪農を作ろうとしているのです。飼料工場、そして瓶詰め工場の建設も予定しています。
こうしたビジョン実現のために欠かせないのが、飼料の国産化です。円安、あるいは国際情勢の変化に影響を受けやすい輸入飼料に頼っていては、今日の状況を見れば、明らかです。
今回の田川郡赤村での種まきは、グリーンコープ、そして生産者の「夢」を実現するための第一歩なのです。
生産者とグリーンコープの得意分野を活かした新たな連携構築
飼料用トウモロコシの栽培を開始するための機械は高額です。投資額が大きすぎて、一般的な生産者が調達するのは困難です。
そこでグリーンコープとして、機械を購入し、生産者へ貸し出すことにしました。資本力のない生産者が機械に投資できないことによって生産出来ないのではなく、生産者は投資しないで生産を開始でき、グリーンコープが機械に投資して機械代を飼料作物の価格から回収するという枠組みを作ることにしたのです。
こうした枠組みで、鳥越ネットワークとは前出の小麦、大豆だけではなく、有機いちご、アスパラガスの生産にも取り組んでいます。現在、小麦の価格は国際情勢の影響で高騰していますが、その影響を受けることなく、供給を続けることができています。
種まき実施概要
日時:7月20日(木)13時から
住所:福岡県田川郡赤村大字赤658、福岡県田川郡赤村大字赤661
一般社団法人グリーンコープ共同体
福岡市博多区博多駅前一丁目5番1号
代表理事 片岡 宏明
https://www.greencoop.or.jp/
2018年、グリーンコープ生活協同組合連合会や、社会福祉法人グリーンコープ、労働協同組合など、九州・中国・関西、そして福島の16の生協、各種団体とともに「一般社団法人グリーンコープ共同体」を設立。ひとつのグリーンコープのように持てるものを共有・連帯しながら、それぞれの地域に根ざした生活協同組合として活動してきました。「安心・安全な食べものを子どもたちに食べさせたい」という母親の思いを大切にしながら、それぞれの地域を豊かにしていくことを目指しています。
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