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特定非営利活動法人ハッシュタグYourChoiceProject
会社概要

県人寮への女子学生受け入れに関する実態調査レポート

特定非営利活動法人#YourChoiceProject、男子学生専用寮しか持たない17自治体・24舎に対してアンケート調査を実施

特定非営利活動法人ハッシュタグYourChoiceProject

サマリー

首都圏に県人寮を設置する35自治体のうち、およそ半数が男子学生専用の寮しか設置しておらず、52県人寮のおよそ6割が男子学生専用寮で占められています。これは深刻な男女間格差だと言えます。

特定非営利活動法人#YourChoiceProjectは、男子学生専用寮しか持たない17自治体・24舎に対してアンケート調査を行い、女子学生受け入れに関する議論の進捗状況や受け入れのハードルを明らかにしました。

県人寮一覧表はこちら

調査概要

  • 対象:首都圏に設置されている県人寮52舎のうち、男子学生のみを受け入れている17自治体の県人寮24舎

  • 調査期間:2024年5月21日~7月4日

  • 調査方法:質問紙の送付および電話調査

  • 調査主体:特定非営利活動法人#YourChoiceProject

  • 有効回答数:18件(無回答2件、電話・メールともに不通4件)

はじめに

県人寮とは

県人寮とは、特定の道府県出身の学生のみを受け入れる寮のことを言い、多くはその道府県の育英会が運営しています。全国35道府県が、東京都内(一部神奈川県)に52の寮を設置しており、その受け入れ可能学生総数は3316名に上ります。

※特定の市出身の学生のみを受け入れる寮も存在しますが、今回の調査では市の寮については含めておりません。

県人寮の意義

県人寮の多くが非常に安価で宿舎を提供しており、首都圏の大学に進学する学生の心強い味方となっています。首都圏での平均家賃は81001円(平成30年住宅・土地統計調査)と非常に高額であるのに比べて、52の県人寮の平均家賃は32250円(食費、通信費、光熱費等は除く)と非常に安価です。

県人寮への女子学生受け入れに関する実態調査結果

男女間のキャパシティ格差

全国の県人寮52舎では、合計して男子学生2627名、女子学生689名を受け入れています。男子学生と女子学生では1938名分の受け入れ数の差があり、男女間で首都圏の大学へ進学する際に深刻な経済面のハードルの違いがあると言えます。

男子学生のみを受け入れている県人寮の数

  • 数:25舎

  • 自治体数:18自治体(男性専用県人寮のみ保有する自治体)

    • 北海道、青森、福島、茨城、富山、石川、福井、山梨、静岡、大阪、兵庫、奈良、和歌山、岡山、広島、愛媛、高知、宮崎(2027年から女子学生受け入れ開始予定)

男子学生専用県人寮における女子学生受け入れに関する検討の状態

現段階で男子学生のみを受け入れている17自治体の県人寮24舎に対して、女子学生受け入れ予定の有無・受け入れ議論の有無に関して聞き取りを行いました。(女子学生受け入れのために着工開始している宮崎県を除く)(回答数:18)

女子学生受け入れ予定について

あり:0舎 なし:16舎 どちらとも言えない:2舎

※どちらとも言えないと答えた寮の詳細は以下の通り

北海道(北海寮):9年前から検討が進んでいたがコロナによる定員割れの状況を鑑みて議論が停止中

奈良県(養徳学舎):R6年2月議会での質問を受けて知事が前向きに検討中

女子学生受け入れ議論の有無について

あり:12舎 なし:5舎 どちらとも言えない:1舎

※どちらとも言えないと答えた寮の詳細は以下の通り

福島(いわき市潮学生寮):担当者交代のため不明

女子学生受け入れのハードル

女子学生受け入れ予定のない15舎に対して、受け入れが進まない理由・ハードルについて聞き取り調査を行いました。主な理由は以下の通りです。

<資金面のハードル(13舎が回答)>

  • 水回り等の設備整備ための資金が不足している

  • 女子を受け入れられる建物構造になっていないため、女子受け入れにあたっては設備面での投資が必要

  • 浴室や女性職員を含めた体制の確保には資金が必要

<女子学生の需要見込みの薄さ(4舎が回答)>   

  • 入寮希望者の見込みが低い

  • 設備が古く女子学生は好まない可能性が高い

  • 東京に出る女子学生は裕福な家庭が多いため需要が低い

<安全面・セキュリティの確保の難しさ(2舎が回答)>

  • 入室管理等のシステムが必要になる

  • 現在は男性職員しかいないが、女性職員も入れる等の体制が必要になる

<その他>

  • コロナ禍により議論進行が滞っている

  • 寮の独自性が損なわれると困る

  • 見直しをするならLGBTQの人々にも配慮が必要になり、それにあたってマンション型へ移行してしまうと元々目指している形の共同生活が実現できない

考察及び関係各所への提言

男子学生のみを受け入れている自治体・寮について

男子学生と女子学生の間で、首都圏の大学に進学する際にこれだけの機会格差が生じている現状は、明らかに深刻なジェンダーギャップです。ぜひ、女子学生の受け入れを真剣に検討してもらいたいと思います。

一方で、今回の調査では深刻な「資金面のハードル」が浮かび上がりました。女子学生受け入れが進まない原因を、寮の運営母体だけに求めるのではなく、自治体や国からの資金面の補助も検討すべきです。

また、建て替えを前提とした場合は資金面の確保が難しい場合も多いですが、建て替えをせずとも受け入れが可能な場合もあります。山形県の県人寮では、浴槽は一つですが女子学生と男子学生で利用時間を分けることで対応しています。この寮はフロアも分かれておらず、建て替えをせずに男女共用化を実現しました。

建て替え費用が賄えない場合は、女子学生を対象とした住まい支援・奨学事業を実施する等、代替手段を取ることも可能です。例えば、東京大学では、地方出身の女子学生に月額3万円の家賃補助を行なっていますが、家賃補助にかかる費用は新しい寮を建てるよりもはるかに低額で済みます。

「女子学生の需要は見込めない」のか?

「女子学生は裕福なので需要がない」「寮希望者の見込みが薄い」という話が出ましたが、それは本当でしょうか?

昨年度私たちが実施した調査では、大学進学のために上京することに抵抗を感じている女子学生のうち、2割が「金銭的に厳しい」ことを理由としてあげています。地元外に進学する女子学生が裕福であるように見えるのは、その裏に金銭面のハードルで進学を諦めている女子学生がいるからです。県人寮への女子学生の受け入れは「金銭面の不安」を解消して、従来であれば首都圏を含む地元外の大学には進学できなかった女子学生が、本当に行きたい大学に進学できる可能性を秘めているのです。

そして、かつては首都圏に進学するのは男子学生がほとんどであったものの、今は1都3県の大学に進学した学生のうち、女子学生の割合をみると、ほとんどの県でおよそ4割近くとなっています。この割合はこの10年程度で大幅に向上しており、時代の変化への対応が求められます。以下の図を見ても、女子学生を受け入れていない県人寮(蛍光黄色)や、女子学生の受け入れ数が大幅に少ない県人寮(オレンジ)を保有する各自治体において、首都圏の大学への進学者に占める女性の割合はかなり高いことが分かります。

男女の受け入れキャパシティに大きな差がある自治体・寮について

複数の寮を設けながらも、女子学生の受け入れを行う寮は1つしか設けていないといった事例が長野県・岐阜県・愛知県・鹿児島県の4県で見られました。

いずれの自治体も総合的な受け入れ数で見たときに男女間に大きな差が見られます。
(長野県 男191 女43/岐阜県 男148 女37/愛知県 男130 女50/鹿児島県 男62 女8)

同じ自治体内でも進学選択の際の住居の選択の枠に大きな差があることは明らかなジェンダーギャップです。東京に進学する女子の選択肢を増やすため、男性専用寮でも女子学生の受け入れを進める、もしくは既存の男女共用寮における女子学生の受け入れ数をさらに増やすといった対策を講じることを望みます。

男女別ルールが存在する一部寮について

今回、男女両方を受け入れている29の寮に関しても、運営母体や居住者へのヒアリングを実施しました。その結果、2つの寮で男女間で異なる門限が設定されていたことが分かりました。

  • 福岡学生会館:女子学生は23:00,男子学生はなし

  • 鳥取県育英会学生寮:女子学生は23:00,男子学生は24:00

これらのルールは、根拠なく男女間で差をつけるものであり、撤廃を強く望みます。

まとめ

今回の調査から、県人寮において深刻な男女間格差が生じていることが明らかになりました。また、現状女子学生を受け入れていない県人寮においては、女子学生受け入れの予定はほとんどなく、議論もあまり進んでいないといった状況が見られました。

一方で、受け入れが進まない大きな理由は「資金面のハードル」であることから、資金の確保方法について、国や自治体からの援助も含めて検討する必要があります。

この調査を通して、県人寮における男女間格差が広く知られ、様々な自治体や寮において議論が進んでいくことを願います。

※本来、男子学生のみを受け入れている自治体数は18、寮数は25舎でしたが、1自治体・1舎についてカウント漏れがあり、ヒアリングは17自治体・24舎に対して実施いたしました。訂正してお詫び申し上げます。

※本調査レポートに関する取材のご依頼は、seisaku@yourchoiceproject.comまでご連絡お願いいたします。

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本社所在地
東京都文京区目白台3-28-6 B723
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代表者名
川崎莉音
上場
未上場
資本金
-
設立
2021年11月
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