第2回伊藤熹朔記念賞 受賞者決定!
一般社団法人 日本舞台美術家協会 主催の選考会にて優れた舞台美術作品が選ばれました!
4月4日から14日まで東京芸術劇場アトリエウエストにおいて第2回伊藤熹朔記念賞・選考会を開催いたしました。
4月7日の選考展会場において協会内外7名の選考委員による厳正なる審査を経て以下の通り各賞の受賞者が決定いたしましたのでお知らせいたします。
【協会ホームページ】https://jatdt.or.jp/
【展示期間】2024年4月4日(木)〜14日(日)
【会場】東京芸術劇場アトリエウエスト Atelier West
【選考日程】2024年4月7日(日)
【選考委員】(順不同・敬称略)
≪外部選考委員≫ 新沼智之(玉川大学芸術学部准教授)
渡辺ミキ(ワタナベエンターテインメント代表取締役社長)
≪協会選考委員≫ 東日本支部/大田創 金井勇一郎 前田文子
中部支部 /島田臣
西日本支部/堀田充規
合わせて、下記日程にて賞の贈賞式を行う予定です。
【贈賞式】2024 年 5 月 29 日(水)17 時半より
【会場】六本木 俳優座劇場 〒106-0032 東京都港区六本木4丁目9−2
伊藤熹朔記念賞(旧:伊藤熹朔記念賞)とは
[賞について]
伊藤熹朔賞は、1967年、当協会初代会長の伊藤熹朔先生の没後先生のご友人達によってつくられた「熹朔の会」で創設され毎年舞台芸術をはじめとする各芸術分野において特に顕著な功績のあった人に「伊藤熹朔賞」が授与されていました。
しかし、1973年をもって「熹朔の会」による顕彰を終了し、当協会が舞台美術の賞としてその名称を引き継ぐことになりました。
舞台美術における年間最優秀作品の授賞はすでに46回を数えるまでになり、1977年に特別賞、1986年に新人賞、1996年に奨励賞が新設され、日本で唯一の舞台美術の専門の賞として高い評価をいただいています。
2021年に法人化への移行に伴い、更なる舞台芸術への創造発展に繋げてゆく事を目指して「伊藤熹朔記念賞」に改めました。
[伊藤熹朔]
1899年(明治 32年) 8月1日生まれ。
1925年(大正 14年) 築地小劇場第十九回公演『ジュリロス・シーロー』の装置で舞台美術家としてデビューの後、
新劇、歌舞伎、新国劇、新派、商業演劇、オペラ、ミュージカル、日本舞踊、バレエ、ダンス、人形芝居など幅広いジャンルにおける数多くの舞台美術を手がけ日本舞台美術の先駆者となる。
1953年(昭和 28年) 株式会社俳優座劇場付属の舞台美術部を芝区川桜町に開設。
1967年(昭和 42年) 3月31日、死去。 満67歳 没。
[賞の概要]
表彰対象は舞台美術で、装置・衣裳・小道具・かつら・メイク等が含まれる。
本賞、新人賞、奨励賞、特別賞とし、選考対象期間(2年毎)に上演された古典からコンテンポラリーまで含むあらゆる舞台表現作品より選出する。
本賞:最優秀舞台美術作品(装置、衣裳、メーキャップ等のデザイン)に対して授賞。かかわった全スタッフは作品への協働賛助として記録される。
新人賞:舞台美術歴10年以内もしくは40歳以下の新人で、最優秀と認められる正会員へ贈られる。受賞は一度のみ。
奨励賞:制約された条件下(小規模劇場での公演・学校施設での公演・児童演劇等々)での活動や長年の実績、専門的な舞台美術に対する新たな取り組み等の実績のある正会員に贈られる。
特別賞:長年にわたり舞台美術全般に対して、研究・教育・発展等に対して寄与し顕著な功績を残した協会員以外の方や団体に贈られる。正会員はデザイン業務以外の活動ならば選考対象となる。
※特別賞をのぞき、授賞対象は当協会会員に限られます
◆本賞 西原梨恵『夜叉ヶ池』〈衣裳〉
選出理由
登場人物の性格まで表すような卓越したデザイン画、『夜叉ヶ池』の世界観を存分に表現している。赤を基調としたユニークな衣裳はいわゆる着ぐるみの衣裳とは違い、多彩な手法を取り入れているが統一感がある。実際の舞台でキャラク ターが動くと更に魅力を発揮した秀逸な作品である。本賞に相応しい力作。
受賞者略歴
愛知県出身。大阪芸術大学卒業後、舞台衣裳デザイナー緒方規矩子氏に師事。
舞台、CM、映画など衣裳デザイナーとしての活動範囲は多岐にわたる。
東京藝術大学大学院非常勤講師。日本大学芸術学部非常勤講師。伊藤熹朔賞奨励賞、同新人賞受賞。
◆新人賞 小倉奈穂 『ダディ』『管理人/ THE CARETAKER』〈装置〉
選出理由
スケッチ、デザイン画の表現方法が豊富で優れている。最早新人とは思えぬ他を 凌駕する実力を見せて、コンセプトも充実した内容だった。『管理人』は本番の ディティールが初めのエレーベーションを超えて実現している。『ダディ』は舞 台前にプールを作り水面の反射を利用する提案、演出や照明との交渉力、実行力、 今後の活躍が大いに期待出来る。
受賞者略歴
1990年生まれ。東京都出身。
多摩美術大学 環境デザイン学科インテリアを学び、卒業後は舞台美術家・二村周作氏に師事。
2019年に独立し、建築家・神山雅志 と共に、建築と舞台美術のデザインアトリエ・ATELIER PAAを設立。
舞台やコンサートなどのセットデザインを手掛ける。
◆奨励賞 竹内良亮 泊まれる演劇『雨と花束』〈装置〉
選出理由
体験型演劇「イマ―シブ・シアター」である『雨と花束』では観客が宿泊者にも なる上演手法を取り入れ、劇場ではない制約が多い場所では舞台美術家の存在 無くして成立しなかったはずだ。この斬新なチャレンジ、視覚だけでなく、聴覚 と臭覚をも刺激する空間を考えて日本の演劇界とクリエイターに一石を投じた 事は大いに評価出来る。
受賞者略歴
1987年生まれ。三重県出身。京都大学文学部卒。
学生劇団から演劇をはじめ、在学中に英国留学、現地舞台美術家のアシスタントを務めた後、2012年から京都を拠点に創作活動を始める。「トコヨノモリ」など舞台美術を出発点とする企画も行う。
2018年、第45回伊藤熹朔賞新人賞受賞。
2020年~京都舞台芸術協会理事。
2024年~大阪芸術大学舞台芸術学科にて非常勤講師。
◆特別賞 株式会社俳優座劇場
選出理由
当協会は様々な活動において株式会社俳優座劇場から数々の協力を得て今日に 至り、伊藤熹朔記念賞とは特別に縁の深い関係である。歴代社⻑・支配人の方々 をはじめ、社員の皆さまはより良い演劇を上演するための努力を惜しまず、舞台 美術家にとっては心強い存在である。数多くの舞台とその創作に与えた多大な る功績と俳優座劇場という劇場空間にも合わせて特別賞をお送りする。
受賞者略歴
1953年 5月 会社設立。 本社は港区六本木、劇団俳優座内にあった。 初代社長に伊藤熹朔就任。
1953 年 12月 港区芝西久保桜川町(現:虎ノ門 1 丁目)に大道具製作工場(52 坪)を開設、舞台美術部創業。
1954年 4月 港区六本木に俳優座劇場が開場。 杮落し公演:劇団俳優座『女の平和』
1956年 9月 渋谷区冨ケ谷町(現:富ヶ谷 1 丁目)に大道具製作工場を移転。
1957年 1月 足立区千住関屋町に大道具製作工場を移転。
1968年 4月 埼玉県八潮市に大道具製作工場を移転。
1980年 9月劇場改築工事完了し、2 代目俳優座劇場が開場。
2018年 4月 埼玉県越谷市に大道具製作工場を移転。
◆特別賞 わらび座 大道具製作 宮本博司氏
選出理由
雪深い仙北の地、東日本大震災、コロナによる上演動員等の演劇環境の大変厳しい中、大道具製作部門の棟梁として数多くの道具製作・背景表現を製作指導し、若手の育成を担っておられる。舞台装置の完成度を高める努力に敬意を抱くと同時に、地域の舞台創作において頼もしい人故に特別賞を贈るに相応しい人材と考える。
受賞者略歴
兵庫県出身。1971年生まれ。
兵庫工業高校デザイン科卒。
1990年株式会社宝塚舞台に入社。宝塚歌劇団の舞台装置製作を担当。2000年退社。
2000年劇団わらび座(当時株式会社わらび座)に入社。以降、わらび座舞台部に所属し、わらび座および坊っちゃん劇場の舞台作品の装置製作に長年従事。
美術プランナ-としての仕事や後進育成にもあたり、現在に至る。
一般社団法人 日本舞台美術家協会について
一般社団法人 日本舞台美術家協会 (略称JATDT:Japan Association of Theatre Designers &Technicians ) は、舞台芸術において視覚的・美術的立場から演出に参画する創作者と技術者、ならびに舞台美術教育者や研究者が集まった、国内唯一の舞台美術家のための職能団体です。
1958年 初代会長の伊藤熹朔(いとう きさく)を筆頭に、吉田謙吉(よしだ けんきち)・長谷川勘兵衛(はせがわ かんべえ)・三林亮太郎(みつばやし りょうたろう)など、気鋭の舞台美術家を中心に 日本舞台美術家協会 として発足し、以来、日本の舞台芸術全般の発展と高揚に貢献すると共に、舞台美術家の創作環境の向上を目指して参りました。
全国の舞台美術家の「創作活動に対する支援」「社会的地位の確立」「人材の育成」「専門的技術の記録・保存」等を主な目的とし、様々な事業活動を行っています。
2019年12月に法人化し、一般社団法人 日本舞台美術家協会 として新たなスタートをきりました。
【協会概要】
社名:一般社団法人 日本舞台美術家協会
本社所在地:〒151-0066
東京都渋谷区西原1-28-4 興和ビル
HP:https://jatdt.or.jp/
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