「OncoGuide™ EpiLight™メチル化検出キット」の国内製造販売承認取得に関するお知らせ
~結腸・直腸がんにおける適切な治療方針の選択に貢献〜
本製品は、東北大学との共同研究により開発した、がん組織のDNAメチル化※1状態を検出することで、結腸・直腸癌における治療薬の選択の補助に用いることができる、リアルタイムPCR法を原理とした世界で最初の体外診断用医薬品です。
検体から抽出したDNAをバイサルファイト変換処理※2し、ゲノムワイドなDNAメチル化状態を反映する16領域のDNAメチル化状態を検出することで、高メチル(High methylated colorectal cancer;HMCC)または低メチル(Low methylated colorectal cancer;LMCC)を判定します。
臨床性能試験(臨床試験登録番号:UMIN000041205)の結果、抗EGFR抗体薬※3の効果について、LMCCはHMCCと比較して無増悪生存期間(Progression Free Survival;PFS)および全生存期間(Overall Survival;OS)が統計学的に有意に良好であることが報告されています。
理研ジェネシスおよび東北大学は、新たながん診断法を一日も早く患者さんにお届けすることで、精密医療の拡大を推進していきます。
【謝辞】
本研究は、共同研究を行う東北大学が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)次世代がん医療創生研究事業「大腸がんに対する抗EGFR抗体薬の効果を予測する新規バイオマーカー・DNAメチル化状態診断キットの開発(課題管理番号:20cm0106411h0004)」(研究代表者 石岡千加史)の助成を得て、東北大学病院臨床研究推進センター(CRIETO)支援 のもと進行再発結腸・直腸癌を対象とする臨床性能試験(臨床試験登録番号:UMIN000041205)を実施しました。
【注釈】
※1 DNAメチル化
DNAメチル化は、DNMTs(DNA methyltransferase)による、5'-シトシンへのメチル基の付加によって引き起こされる化学的修飾であり、CpG(CGジヌクレオチド配列)領域に作用する。腫瘍組織におけるDNAメチル化は、主に遺伝子のプロモーター領域のCpGアイランドに生じ、転写を負に抑制することで遺伝子の発現を抑制させると考えられている。
※2 バイサルファイト変換処理
バイサルファイト(亜硫酸水素塩)処理により、DNA中のメチル化されていないシトシンが脱アミノ化されてウラシルに変換されるのに対し、メチル化シトシンは変換されないため、本処理により、メチル化シトシンと非メチル化シトシンの区別が可能。目的のDNA領域をPCR法で増幅する際、ウラシルはチミンに、メチル化シトシンはシトシンとして増幅される。この過程により、1塩基単位の分解能でDNAメチル化状態を解析することが可能となるため、病気の診断や治療法の開発、細胞生物学的研究において非常に重要なツールとなっている。
※3 抗EGFR抗体薬
抗EGFR抗体薬は、がん治療に用いられる分子標的治療薬の一種である。この薬剤は、がん細胞の増殖に関与する上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor;EGFR)に結合し、下流へのシグナル伝達を阻害することで抗腫瘍効果を示す。抗EGFR抗体薬は、従来の化学療法とは異なるメカニズムで作用し、がん治療において新たな選択肢を提供する。
【論文情報】
タイトル:A modified MethyLight assay predicts the clinical outcomes of anti-epidermal growth factor receptor treatment in metastatic colorectal cancer
著者:Ouchi K, Takahashi S, Okita A, Sakamoto Y, Muto O, Amagai K, Okada T, Ohori H, Shinozaki E, Ishioka C*
(大内康太、高橋信、沖田啓、坂本康寛、武藤理、天貝賢二、岡田恭穂、大堀久詔、篠崎英司、石岡千加史)
*責任著者:東北大学病院腫瘍内科 客員教授(学術研究員)石岡千加史
掲載誌:Cancer Science. 2022;113: 1057–1068.
DOI:10.1111/cas.15252
タイトル:DNA methylation status as a biomarker of antiepidermal growth factor receptor treatment for metastatic colorectal cancer
著者:Ouchi K, Takahashi S, Yamada Y, Tsuji S, Tatsuno K , Takahashi H, Takahashi N, Takahashi M, Shimodaira H, Aburatani H, Ishioka C*
(大内康太、高橋信、山田康秀、辻真吾、辰野健二、高橋秀和、高橋直樹、高橋雅信、下平秀樹、油谷浩幸、石岡千加史)
*責任著者:東北大学病院腫瘍内科 客員教授(学術研究員) 石岡千加史
掲載誌:Cancer Science. 2015; 106:1722-1729.
DOI:10.1111/cas.12827
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