「夏休みがうれしくない」「夏休みは1日2食」の子どもたちをなくしたい。ワーカーズコープは、給食のない夏休み期間の「子ども食堂・お弁当配食・居場所づくり活動」を強化。
9/14(土)開催の「地域子育ちフォーラム」で深掘りします。
そろそろ夏休みが終わります。楽しいはずの夏休みを、「ごはんに困る」という理由で楽しめなかった子どもたちと保護者がいたことをご存じでしょうか?
労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団では、この夏も、全国各地で夏休み期間の子ども食堂開催やお弁当配食に力を注ぎました。この状況と経験をふまえ、9月14日(土)に「地域子育ちフォーラム」を開催。食を通じて地域の子どもたちを守る取り組みについて多角的に考えます。
「ごはん、食べた?」子ども食堂や児童館で夏休みの子どもの食と生活をサポート
学校給食がなくなる夏休み。昼ごはんがとれなくなる子どもや、家庭で十分な食事をとることが難しい子どもたちのために、この夏もワーカーズコープの運営する子ども食堂や児童館は大忙しでした。
夏休みは、給食がないというだけでなく、一人親家庭や保護者家族が働きに出てしまう家庭では子どもだけで過ごす時間が長くなり、普段よりも心配ごとが増えます。
ワーカーズコープ運営による子ども食堂や児童館は、地域の皆様や行政と連携しながらそうした子どもたちを見守り続けています。
今回はそのなかでも、食事提供だけではなく、地域と一緒にさらに一歩踏み込んだ活動を行っている組織の取り組みをお伝えします。
立花児童館(東京都墨田区) 「ワンスミダプロジェクト」
弁当配食から課題をみつけて地域と連携、子ども食堂・居場所づくりを展開。
18歳未満の子どもたちを対象に、乳幼児から中高生の事業・4つの学童クラブを運営する「立花児童館(東京都墨田区立花1-27-9)」では、子ども同士や地域、保護者たちの交流をめざし、多彩な活動を行っています。
立花児童館では、学童クラブ利用の子どもでお迎えが遅い子がいました。夕食時間が遅くなり保護者も大変なのではないかと職員の中から心配する話がありました。また、地域懇談会で民生委員さんから「児童館で子ども食堂ができないか」とのご意見をいただいたことから、館内で月1回夜の「お食事会」をはじめることにしました。しかし児童館では調理設備も不十分で継続が難しかったため、民生委員さんや「子育てステーションこだち」と相談し、一緒に月1回開催する「地域食堂こだち」を立ち上げました。
地域懇談会でのつながりをいかし、地域の課題を地域住民みんな考える取り組みも始めました。ワークショップ開催、地域包括支援センターと連携しての相談会、外国籍の子どもや家庭を取り残さないための多文化共生よろず相談など、多角的な取り組みを行う「One SUMIDA Project(ワンスミダプロジェクト)」を立ち上げ、活動を行っています。
<One SUMIDA Project(ワンスミダプロジェクト)の背景>
墨田区はもともと地域活動が盛んで人情豊かな下町。しかし長引くコロナ禍によって催事や回覧板などの地域活動が中止となり、住民同士のゆるやかなつながりが薄れてしまいました。しかし、児童館やワーカーズコープの活動を通じて、地域から「なにかしたい」「こんな地域にしたいがどうしてよいかわからない」という声が上がりました。
そこで、様々な地域活動を行う団体や個人が集まり、1人1人の負担を少なくしながら継続した地域づくり活動をめざす「One SUMIDA Project(ワンスミダプロジェクト)」を発足。墨田区立花地域・文化地域を中心に、高齢者・外国人・子育て世帯の孤立防止、見守り活動を行っています。
*One SUMIDA Project(ワンスミダプロジェクト)の詳細はこちら http://onesumida.com/
江戸川ベースnappa あなたの困りごとはみんなの困りごと。
子ども、おとな、ヤングケアラー、こもりびと…。地域で悩む人たちの「衣・食・住・心の困りごと」にゆるっと対応。
ひとりであることが孤独なのではなく、相談できる人や場所がないことが孤独であり孤立を生むのではないか。「江戸川ベースnappa(江戸川区東葛西1-9-15)」は、児童相談所の電話相談事業に携わったワーカーズコープのある人の思いから始まりました。
子どもに関わる虐待や貧困、不登校、ひきこもり(こもりびと)、ヤングケアラーなど、子どもと家庭に関わるさまざまな問題は、その家の中だけの問題ではなく、地域と社会全体の課題です。江戸川ベースnappaはそんな思いを同じくする仲間たちと一緒に、地域で困っている人たちのための「居場所づくり」事業として立ち上がりました。
夏休みの江戸川ベースnappaには、子ども食堂や弁当配達、カフェ開催はもちろん、ママの相談部屋、お昼ごはん付きの宿題室、英語やプログラミングなどの学習教室、床屋さんにいけない子どもたちのためのヘアーカットなど、それぞれの目的と思いを抱えた子どもたちや保護者が集います。また、近所の人や地域の高齢者なども気軽に集まり、和気あいあいとした「みんなの居場所」となっています。
さらに、江戸川ベースnappaでは、ただ来訪を待つのではなく、積極的に地域や行政と積極的に連携していくことで、ひとりの困りごとや悩みをみんなの困りごととして捉え、社会全体で乗り越えていくことをめざしています。
*江戸川ベースnappaの詳細はこちら https://edogawabasenappa.amebaownd.com/
生活が苦しいという理由で、子どもたちがつらい思いをしてはいけない。
子ども食堂や居場所で夏休みを過ごす子どもたちの中には、家族でのキャンプや旅行などにいけない子どもも多くいます。家庭ごとの経済の格差は、食事だけでなく子どもたちの経験の格差も生み出しています。
全国のワーカーズコープ・センター事業団は、困難を抱えているすべての子どもたちと家庭にしっかりと向き合い、それぞれの地域で、子どもたちと家庭を応援する活動を続けています。誰かが抱える課題は、私とあなたの課題であり、地域と社会の課題です。
「そういえば、あの子、ごはんちゃんと食べてるかな」「困ってないかな」と近くの子どもたちを見つめてください。
すべての子どもたちが、笑顔で新学期を迎えられますように。
*「もっと詳しく知りたい」「地域に困っている子どもたちがいる」「こうした活動をしたい」という方は、下記、ワーカーズコープ・センター事業団までご相談ください。
◇参考資料
立花児童館
江戸川ベースnappa
https://edogawabasenappa.amebaownd.com/
地域子育ちフォーラム2024(9月14日)を開催いたします【プレスリリース】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000074386.html
労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団 概要
設立 |
1987年12月 |
代表 |
代表理事 平本哲男 |
所在地 |
東京都豊島区東池袋1丁目44-3 池袋ISPタマビル7階 |
事業内容 |
1 保健、医療又は福祉の増進を図る活動 |
ホームページ |
労働者協同組合法について(2020年12月成立、2022年10月施行)
労働者協同組合(ワーカーズコープ)にはかつて農協・生協・漁協のような法人格がなく、「協同労働」の法制化をめざす動きが1998年から始まりました。協同労働の実践を全国で広げ、団体署名や意見書の採択に取り組む中で、与野党全会派一致で法制化が実現しました。
協同労働とは「協同の関係」で働くこと。働く人が自ら出資して組合員となり、話し合って事業を行う働き方です。企業組合やNPO法人と違い認可認証が不要で、NPO法人のように活動分野の規定もなく3人以上で設立ができます(NPO法人は10人以上、出資不可)。
法律では、出資額に関係なく「一人一票」の権利が認められています。「一人ひとりが出資して組合員となり、意見反映を通じて運営に参加し、自ら事業に従事する」、これが労働者協同組合の基本原理です。この法律を活用し、協同労働が社会を変えていく推進力となることを目指します。
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