台湾大学とTFBS Bioscience、希少遺伝子疾患シアリドーシスに対するアデノ随伴ウイルスベクター遺伝子治療の開発に向けた業務提携

台湾大学医学部の胡務亮名誉教授は、希少な遺伝性疾患「シアリドーシス」に対する新たな遺伝子治療の開発を始動しました。本研究では、アデノ随伴ウイルス9型（AAV9）をベクターとして用い、シアリダーゼ遺伝子を体内に導入することで、患者に対して効果的な治療選択肢を提供することを目指しています。本プロジェクトにおいて、TFBS Bioscienceが、AAV9ベクターのプロセス開発、GMPグレードの臨床試験用製造、品質試験および安全性試験など、ワンストップのCDMOサービスを提供し、フェーズI/II用の治験製品を供給します。

シアリドーシスは、シアリダーゼの欠損により引き起こされるライソゾーム病の一種で、シアル酸オリゴ糖が分解されずに細胞内に蓄積されることで、中枢神経系、骨格系、網内系などに影響を及ぼします。症状としては、歩行障害、視力低下、ミオクローヌス（筋肉の痙攣）、運動失調、振戦、てんかん発作などが挙げられ、筋肉の痙攣は進行すると、座ったり、立ち上がったり、歩いたりすることが困難となり、最終的には車椅子の介助が必要となることもあります。現在のところシアリドーシスに有効な治療法はなく、対症療法が中心です。今回のAAV9による遺伝子治療が臨床試験で安全性と有効性を示せば、新たな治療の道が開かれることが期待されます。

胡教授は、台湾における遺伝子治療のパイオニアとして知られ、台湾大学病院小児科および遺伝医学部門に在籍中に、世界初の芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素欠損症（AADC欠損症）に対するAAV遺伝子治療を開発し、台湾国内初となる遺伝子治療の海外製薬会社へのライセンスアウトを実現し、2022年に欧州、2024年には米国にて同製品が承認を取得しました。胡教授は、シアリドーシスに対する遺伝子治療の開発の他にも、台湾大学を退官後、中国医薬大学附属病院にて、さらに多くの希少遺伝性疾患に対する遺伝子治療の開発に取り組んでいます。

TFBS Bioscienceは、バイオ医薬品の安全性試験機関として創業し、現在では台湾初にして唯一のGMPグレードのウイルスベクターCDMOとして、バイオ医薬品および遺伝子細胞治療製品の開発から製造・試験まで、ワンストップのサービスを提供しています。

胡教授によるAADC欠損症の遺伝子治療はすでに患者に恩恵をもたらしています。その実績と経験をもとに、今回のシアリドーシスに対する遺伝子治療プロジェクトが始動しました。既に台湾大学附属病院先端医療センターのサポートにより、マウスモデルでの治療に成功しており、一日でも早くこの病気に苦しむ患者さんを助けられるよう、開発を加速させるよう計画しています。パートナー企業であるTFBS Bioscienceは、台湾初のGMPに準拠したウイルスベクター製造施設を有し、研究開発から製造までを一貫して対応できる体制を持っています。今回の連携によりシアリドーシスに苦しむ世界中の患者さんに新たな希望をもたらします。

問い合わせ先

TFBS BIOSCIENCE合同会社

事業開発部長　満尾　裕

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