治療可能時間を“5倍拡大”に向けて 日本発の脳梗塞治療薬候補、ティムスが研究開発

政権の成長戦略17分野“創薬”を追い風に

株式会社ティムス

 2025年10月、高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に就任し、「日本成長戦略本部」が設置され、注目の投資対象としてこれからの日本経済を支える17の戦略分野が定められました。その一つである創薬・先端医療分野では、再生・細胞医療、遺伝子治療、がん・認知症治療などの研究開発への投資強化が打ち出されています。

令和5(2023)年度 国民医療費の概況 - 厚生労働省

日本の医療費は近年大きく膨らんでおり、2023年度には「国民医療費」が48兆915億円※1となり過去最高を更新。創薬分野の発展は「超高齢社会」である日本の医療費逼迫の問題を解決する可能性を秘めています。特に脳梗塞を発症すると、その後遺症で介護の対象となる方も多く、新しい治療薬は国民医療費の抑制に大きく貢献することが期待されます。

 これまでの脳梗塞治療薬では、副作用として脳出血が起こることがあります。そのため、発症から投与までが原則的に4.5時間以内という時間制限が設けられています。しかし、ティムスが開発中の脳梗塞治療薬「TMS-007」は、治験(前期第2相臨床試験)において、4.5時間を超えても脳出血の頻度は上がりませんでした。

 この結果より、ティムスはTMS-007を、従来の脳梗塞治療薬とは異なり、脳出血リスクを伴わない、抗炎症作用を併せ持つ新しい血栓溶解剤と位置づけています。この特性により脳出血のリスクを抑えることができ、発症後最大24時間までと、既存薬の4.5時間という制限を大きく超える時間枠での投与が可能になると期待されます。また、TMS-007の抗炎症作用は脳組織の壊死を防ぎ、神経細胞の損傷を最小限に抑える効果につながると考えられています。

 これらの複合効果により、発症後時間が経過した患者にも有効な治療法になると期待されます。既存薬では投与が間に合わない患者にも効果的に作用し、広範囲の患者に適用可能な新たな治療薬候補として注目されています。

※1:厚生労働省 令和5(2023)年度 国民医療費の概況

■脳梗塞とは

 脳梗塞は脳卒中の過半を占める病気です。血栓などにより脳の血管が詰まり、血流が十分に脳細胞に行き渡らなくなると、血流低下の度合が高い箇所から徐々に脳細胞が死んでしまいます。死んでしまった脳細胞は生き返ることはなく、その結果半身麻痺や言語障害などの後遺症が残る可能性があります。

 また、脳梗塞が原因となり亡くなる患者も多く※2令和5年の死亡数を死因順位別にみると、第1位は悪性新生物<腫瘍>、第2位は心疾患(高血圧性を除く)、第3位は老衰、第4位は脳梗塞を含む脳血管疾患で、その数は10万4,518人となっています。※3

※2:国立研究開発法人 国立循環器病研究センター

※3:厚生労働省「令和5年(2023) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」

■ティムスが開発中の新薬TMS-007

 現在、ティムスが開発しているTMS-007は、血栓を溶かす効果に加え、脳の炎症を抑える作用も持っています。これにより、脳梗塞の治療において血栓を溶かしつつ、脳出血のリスクを抑えることが期待されています。2018年に当社が国内で実施した臨床試験(前期第2相臨床試験)ではTMS-007が脳梗塞の後に起こる脳出血を抑えることが示唆されており、既存薬よりも安全に治療が行える可能性があります。

上図:Niizumaet al. (2024) Stroke55,2786–2794

 mRSスコア(modified Rankin Scale)は、脳卒中やその他の神経疾患における後遺症の程度や、どこまで日常生活を自立して営めるかを客観的に評価する国際的な指標です。スコアは0~6で構成され、0は「後遺症なし」、1は「軽度の症状はあるが日常生活は自立」、2は「身の回りのことは介助なしに行える」と評価され、機能回復の度合いが明確に分類されます。医療現場では、急性期治療の効果検証や治療薬の有効性を評価するうえで最も重要な指標の一つとされています。

国内で90人の患者を対象としたTMS-007の臨床試験では、投与から90日後に「ほぼ完全に回復した」と判断されるmRSスコア0~1の患者割合が、偽薬(プラセボ)と比較して統計的に有意に増加しました。現在、20ヶ国に及ぶ大規模な国際臨床試験(ORION試験)において、この結果を検証中です。

1.Niizumaet al. Anti-Inflammatory “Thrombolytic JX10 (TMS-007) in Late Presentation of Acute Ischemic Stroke” Stroke. 2024

■ ティムスとは

当社は、2005年に、東京農工大学発酵学研究室教授(2023年定年退職、現特任教授)の蓮見惠司(当社設立以来、研究成果実用化のため、取締役、代表取締役社長等を兼務)らが発見した医薬シーズを実用化することを目的に設立されました。

同研究室は、故遠藤章博士(コレステロール低下薬スタチンの発見者、2008年ラスカー臨床医学研究賞、2017年ガードナー国際賞)の研究の流れを汲むもので、微生物由来の生理活性物質の探索研究を行い、それらの作用機序および薬効を明らかにしてきました。その過程で、TMS-007を含む多数の新規化合物が見出されました。

2018年6月には、リード化合物であるTMS-007をバイオジェン(米国)に総額3億5,700万ドルで導出する、日本のバイオベンチャーによるディールとして大規模なオプション契約を締結しました。

■会社概要

会社名 :株式会社ティムス

代表者 :若林拓朗

所在地 :東京都府中市府中町1丁目9番地 

     京王府中1丁目ビル 11 階

設立  :2005年2月17日

事業内容:医薬品、医薬部外品、医薬品原材料、医療用機器及び医療用消耗品の研究および開発

URL  :https://www.tms-japan.co.jp/ja/index.html

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業種
医療・福祉
本社所在地
東京都府中市府中町1丁目9番地 京王府中1丁目ビル 11 階
電話番号
-
代表者名
若林拓朗
上場
東証グロース
資本金
11億3761万円
設立
2005年02月