東京大学大学院教育学研究科附属 学校教育高度化・効果検証センター(CASEER)が「個人研究型探究学習を指導する高校教員を対象とする研修プロジェクト」の2026年度参加校の募集を開始します!
―2025年度に参加した教員の方からのコメント「レクチャーのほか各校の取組の実際をお聞きすることができて、大きな刺激になりました」―
東京大学大学院教育学研究科附属 学校教育高度化・効果検証センター(センター長:本田由紀、以下CASEER)は、個人研究型探究学習を推進している高校において、指導に当たっている教員や制度設計に関わっている教員に向けて、生徒の学びをより充実させるための指導方法、カリキュラム設計や学校全体の体制の整備を支援する研修プロジェクトを2025年度から開始しています。この度、2026年度の参加校の募集を開始しましたのでお知らせします。
個人研究型探究学習への期待と課題
2022年度の学習指導要領で高校に導入された「総合的な探究の時間」は、地域課題や企業課題の解決に生徒がグループで取り組むなど、多様な内容で実施されています。その中で、生徒個々人が独自のテーマと問いを設定し、様々な研究方法を駆使して取り組む個人研究型探究学習には、進路選択や高大接続の面から期待が寄せられていますが、生徒の個別的な関心をどのように指導していくかについて教員の困惑も大きくなっています。生徒にとって「やらされ探究」になってしまう、問いが深まらず通り一遍の「調べ学習」に終始してしまう、といった声が教員の中から多数あがっています。
探究学習の効果検証を国内最大の研究大学で蓄積してきたCASEER
私たちCASEERは、2017年度の改組発足以降、東京大学教育学部附属中等教育学校(以下、東大附属)との緊密な連携のもとに、10年間にわたる全生徒の追跡調査を実施し、学力や体力などのデータベースとも接続することにより、協働的・探究的な学びの効果に関して研究成果を蓄積してきました。東大附属は学習指導要領により「総合的な探究の時間」が高校現場に導入される半世紀以上前から、独自の理念に基づき、全教科において探究学習に取り組むとともに、その最終成果としての卒業論文を全生徒が2年間をかけて執筆するという実践を続けています。データに基づく実証研究からは、東大附属の探究学習が、卒業後の大学等の進学先においても、またさらに社会に出てからも、効果を発揮していることが検証されています。
2026年5月には、実践と研究の成果をまとめた書籍を刊行予定です。(https://www.utp.or.jp/book/b10159416.html)
こうしたCASEERの研究成果に加えて、CASEERのスタッフは国内最大の研究大学に属する研究者として、日々、アカデミックな共同体の中で研究に従事しています。そこから得ている研究という営みの実態やノウハウをも活かして、高校現場における個人研究型探究学習内容の水準向上や、指導に当たる教員の方々の困りごとの解消・軽減に貢献したいと考えて、三菱みらい育成財団からの助成に基づき、この研修プロジェクトを2025年度から開始しました。2025年度には全国の9校の高校から、合計69名の教員の方々に参加していただき、9月から3月まで毎月定例の研修会をオンラインで開催しました。研修会ではCASEERスタッフによるレクチャーと、参加者全員でのディスカッションが展開され、個人研究型探究学習に関する学習リソースの活用方法や生徒への声かけの方法などについて、情報や意見の交換が活発に行われ、次年度の指導計画に具体的に反映される形での研修成果につながりました。
▼2025年度参加教員の感想(研修会後のアンケートより)
・「考えが深まるだけではなく、他の先生方の視点が聴けて今回もワクワクが止まりませんでした。日々忙殺されている中でモチベーションが爆上がりするこの定例会は大変貴重です。」
・「他校の取り組みや参考になるツール・文献などを知ることができてよかった。」
・「生徒のざっくりした関心事項から具体的な研究テーマや適した研究方法を深めていくあり方が、とても楽しそうだと感じました。」
▼2025年度研修会後の事後アンケートにおける「研修会の内容が参考になりましたか」という問いへの回答分布

▼2025年度の各定例研修会の報告
https://www.schoolexcellence.p.u-tokyo.ac.jp/mmpro/
2026年の研修プロジェクトの概要
2026年度の研修プロジェクトは、2025年度の内容をさらに発展・拡充させ、年度前半を「基礎プログラム」、年度後半を「発展プログラム」として実施します。前半のみ、後半のみ、あるいは前半・後半を一貫でご参加いただくこともできます。
定例の研修会は毎月1回、17時30分から19時30分までオンラインで開催し、内容はレクチャー、事例紹介、ディスカッションから構成されます。各回の研修会終了後にもお時間のある有志の教員の方々により30分~1時間程度の「延長戦・自由雑談会」を実施します。
■各プログラムの流れ(予定につき、変更となる場合があります)
基礎プログラム<夏期5~9月>
対象:個人研究型探究に取り組み始めた学校
第1回 5月 キックオフ:個人研究型探究学習とは何か、生徒に求める学びの姿、参加校の紹介
第2回 6月 問い・テーマの設定:良いテーマ/問いの条件、「興味」から「問い」への変換
第3回 7月 方法論:質的・量的・実践的研究の違い、中高生に現実的な方法の範囲など
第4回 8月 みとりと支援:教員がいかに生徒の学びを見とるのか、やりすぎない支援の線引き
第5回 9月 評価:形成的評価/総括的評価、ルーブリックの設計と運用、生徒の自己評価・相互評価
発展プログラム<冬期10月〜3月>
対象:個人研究型探究をより深め、質を高めたい学校、あるいは、教員の指導スキルアップを目指す学校
第1回 10月 指導体制と学校運営:探究を支える役割分担と学校運営の仕組み
第2回 11月 学年間のカリキュラム・教科との関係:教科学習と総合学習の接続、学校カリキュラムに合わせた探究など
第3回 12月 探究における「問い」の深化と再構成:良い問いがどう変化していくか、問いの再設定・再定義の支援、生徒の認知的飛躍をどう支えるか
第4回 1月 情報リソース・研究倫理とAI:探究における情報収集と活用、研究倫理へ配慮した研究手続き、生成AI活用上の注意
第5回 2月 研究方法の発展と混合アプローチ:方法の組み合わせ(mixed methods)、データの解釈と限界の扱い、倫理的配慮・研究としての妥当性
第6回 3月 学校別発表:参加校の実践の振り返りと課題整理

2026年度研修プロジェクトへの参加校募集を開始
このような2026年度の研修プロジェクトの参加校の募集を開始しました。詳細は以下の募集概要をご覧ください。参加高校数は約15校、参加教員数は約80名程度を目途と考えておりますので、ご応募が多数に及びました場合、先着順でご参加校を決定します。
【募集概要】
■対象:個人研究型探究学習に取り組んでいる高校の教員の方々
■参加要件:1校当たり、管理職を含む3人以上でのご参加をお願いしております。
■募集期間:2026年4月1日~2026年4月30日
※応募が多数になりました場合、期間の最終日に達する以前に締め切らせていただく可能性があります。
■費用:無料
※定例の研修会はオンラインで開催しますが、キックオフミーティングおよび最終回など対面開催の回に現地参加いただく場合、交通費のご負担をお願いします。
■応募方法:caseer@p.u-tokyo.ac.jpに、メール件名を「2026年度教員研修プロジェクト参加申し込み【学校名】」としたメールをお送りいただき、メール本文には①学校名、②参加される教員の方のお名前とメールアドレス(その中でお一人を「連絡担当」として指定してください)、③前半・後半・両方のいずれへのご参加を希望されるかを記載してください。
■説明会 2026年4月11日(土)16~17時(オンライン開催)
説明会へのご参加を予定されている方は、以下のフォームより事前にご登録ください。
ご登録後、説明会のZoom URLをご案内いたします。
https://forms.gle/vWjSq8ZNYc5dgtct6
★CASEERでは上記の研修プロジェクトとは別に、個別の学校の探究学習に関するお困りごとに対して、東京大学の「学術指導」の枠組みにより、有償でご支援するプロジェクトも実施しております。詳しくは以下をご参照ください。
https://www.schoolexcellence.p.u-tokyo.ac.jp/supportprojectspaid/
【運営団体】
主催:東京大学大学院教育学研究科附属 学校教育高度化・効果検証センター(CASEER)
https://www.schoolexcellence.p.u-tokyo.ac.jp/mmpro/
助成:一般財団法人三菱みらい育成財団



すべての画像
