外国にルーツをもつ子どもたちが“自分の物語”を日本語で絵本に。「ことばのヤングケアラー」支援へ、100冊寄贈を目指すクラウドファンディング開始
kodomoえほんの普及を目的に、絵本の製本・寄贈に向けた企画を開始しました。まず100冊の絵本製本を目標とし、教育機関や支援現場へ届けることで、子どもたちの表現と社会理解のきっかけを広げていきます。

【プロジェクト公開終了日時】4月19日(日)午前12時
【プロジェクトページ】https://readyfor.jp/projects/kodomoehon2026
背景にある社会課題――ヤングケアラーと「ことばのヤングケアラー」
こども家庭庁は、ヤングケアラーを「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこども・若者」と説明しており、責任や負担の重さによって学業や友人関係などに影響が出る場合があるとしています。令和6年6月の法改正により、子ども・若者育成支援推進法でも、ヤングケアラーは国や自治体等が支援に努めるべき対象として位置づけられました。
また、こども家庭庁が紹介する実態調査では、世話をしている家族が「いる」と回答した割合は、小学6年生で6.5%、中学2年生で5.7%、高校2年生で4.1%、大学3年生で6.2%でした。中学2年生では約17人に1人に相当し、ヤングケアラーの問題が決して例外的ではないことが示されています。
さらに、こども家庭庁は、ヤングケアラーのいる子ども・若者には、勉強の時間が十分に取れない、友人と過ごす時間が少ない、将来の進路を狭く考えてしまうなど、学業・友人関係・就職にまで影響が及びうると示しています。 (参考:https://kodomoshien.cfa.go.jp/young-carer/about/)

「ことばのヤングケアラー」
ともくらでは、こうしたヤングケアラーの中でも、日本語を第一言語としない家族のために、行政窓口、病院、学校とのやりとりなどで通訳・代筆・説明役を担う子どもたちに着目し、この状態を「ことばのヤングケアラー」と呼んでいます。これは、私たちが現場で見てきた、外国にルーツを持つ家庭特有の負担を可視化するための言葉です。
子どもが家族を支えること自体は一見“よくある手伝い”に見えるかもしれません。しかし、制度や手続きを理解しきれない年齢で、大人同士の会話や医療・行政情報の橋渡しを担うことは、単なる手伝いではありません。子ども自身の学習、遊び、進路選択、そして「子どもとして過ごす時間」を圧迫しうる、見えにくい負担です。ヤングケアラー支援の調査研究でも、こうした課題は家庭内の問題として表面化しにくく、本人や家族に自覚がない場合もあるため、支援につながりにくい構造が指摘されています。 (参考:https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001510066.pdf)

外国にルーツを持つ子どもを取り巻く環境は、今後ますます重要に
出入国在留管理庁によると、2025年6月末時点の在留外国人数は395万6,619人で、過去最高を更新しました。前年末比でも5.0%増となっており、日本社会における多文化共生の重要性は、ますます高まっています。 (参考:https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00057.html)
こうした社会の変化の中で、外国にルーツを持つ子どもたちが安心して学び、将来を描き、自分の力を発揮できる環境を整えることは、一部の家庭だけの課題ではなく、地域社会全体の課題です。
「kodomoえほん」プロジェクトとは

「kodomoえほん」は、外国にルーツを持つ子どもたちが日本語を使って物語を考え、絵を描き、1冊の絵本づくりに挑戦するプロジェクトです。
この取り組みには、外国にルーツを持つ子どもたちに、楽しく日本語に慣れ親しんでほしい、自分の想像や思いを表現する経験を通じて自信を持ってほしい、という願いが込められています。絵本は、短い言葉、色彩、物語、登場人物の感情を通して、子どもが自由に想像し、自分を表現できる媒体です。ともくらは、日本語を「勉強する対象」としてだけでなく、「自分を表すための道具」として使える体験が、子どもたちの自己肯定感や達成感につながると考えています。


また、この絵本は何かを教え込む教材ではありません。
違う言葉を話す子がいること。
文化や家庭環境が違う子がいること。
自分とは少し違う日常を生きている子がいること。
そうした事実を、子どもたちや大人が自然に知る“入口”として、学校や地域の中に置かれることを目指しています。
外国にルーツを持つこどもがみんなでつくる絵本 「kodomoえほん」full ver.
なぜ、今あらためて「届ける」のか
ともくらはこれまで、絵本を制作するためのクラウドファンディングに挑戦し、多くの支援を受けて1冊の絵本を完成させてきました。完成後には、学校関係者や支援者から「学校で使いたい」「図書室に置きたい」「子どもたちに読ませたい」といった声が寄せられました。
一方で、手元にある冊数には限りがあり、本当に必要としているすべての場所へ届けることはできませんでした。そこで今回、ともくらは“つくること”の次の段階として、“届けること”に焦点を当てたクラウドファンディングを立ち上げました。
今回の第一目標は、絵本100冊の製本です。製本費は約35万円を見込み、READYFOR手数料を含めた第一目標金額は40万円に設定しています。製本した絵本100冊の中から、学校や教育機関、福祉団体などへ寄贈を行う予定です。
団体のこれまでの歩み
・2019年 小中学校の校長会にてヤングケアラーの経験を発表
・2020年 共愛学園前橋国際大学竹内愛准教授との共同研究
・2021年 多言語版動画「小学校の持ち物」30本以上
・2022年 NHK ことばのヤングケラー番組取材
・2022年 NHK Worldにて英語版の記事が掲載
・2023年 高校での教員研修会
・2023年 多文化共生イベントでパネリストで登壇
・2023年 群馬イノベーションアワード ファイナリスト
・2023年 外国にルーツを持つこどもを対象とした書道イベント
・2024年 kodomoえほん「第 1 弾実施」
・2024年 kodomoえほん「第 2 弾実施」
・2024年 NHK WORLD-JAPAN ドキュメンタリー(Where We Call Home)
・2024年 ともくら塾を開催(夏休み期間に月8回)
・2024年 日本の小学校の持ち物動画(日本・英語・スペイン語・中国語)
・2024年 ともくら塾を開催(冬休み期間に月4回)
・2025年 ともくら食堂の実施 (全7回)
・2025年 ともくら塾を開催(夏休み期間に月4回)
・2025年 高校進学のガイドブック制作
・2025年 JICA基金活用事業「教員研修会」
・2026年 「ともくら®︎」は特許庁にて正式に商標として登録されました。
・2026年 ともくら祭「3月28日」開催
※スペースの関係で一部省略されているものもございます。
ともくらは、外国にルーツを持つ子どもや保護者が安心して暮らせる日本社会を目指し、映像、Web、印刷物、SNSなど多様な媒体を活用して支援活動を展開してきました。法人登記上の目的にも、教育制度・行政制度・日本文化に関する多言語情報提供、多文化共生の啓発、学校教育現場における言語サポートなどが位置づけられています。
これまでの主な活動には、教員研修会の実施、多言語による「小学校の持ち物」動画の制作、高校進学ガイドブックの制作、ともくら塾の開催、ともくら食堂の実施、kodomoえほん第1弾・第2弾の開催などがあります。2026年には「ともくら®︎」が特許庁で正式に商標登録されました。

代表理事からのコメント
私は日本語がまったく分からない状態で、9歳のときに家族と一緒に来日しました。10歳頃からは、家族のために市役所や病院の手続き、学校書類の代筆などを担うようになりました。日本語を書くことの難しさだけでなく、日本の制度そのものを理解しなければならないことも、大きな負担でした。いま、日本には多くの外国にルーツを持つ子どもたちが暮らしています。その中には、ことばや制度の壁の中で、本来子どもが担う必要のない役割を引き受けている子どもたちもいます。私たちは、その子どもたちが自分の将来や夢に向かって進んでいける存在として支えたいと考えています。
代表理事 アジズ・アフメッド からのコメント
今回の「kodomoえほん」プロジェクトは、子どもたちが日本語で物語を考え、絵を描き、1冊の絵本をつくる挑戦です。その経験は、子どもたちにとって自信や達成感になります。そして、その絵本を社会に届けることは、違いを知り、理解し合うきっかけにもなります。小さな1冊かもしれませんが、その1冊が誰かの視野を広げ、やさしさや理解につながると信じています。
団体概要
団体名:特定非営利活動法人共に暮らす
通称:NPO法人ともくら
代表理事:AZIZ AHMED (アジズ・アフメッド)
所在地:〒371-0021 群馬県前橋市住吉町1丁目4−1 KAWA BUILDING 3階302号室
法人成立:2023年8月29日
ともくらは、外国にルーツを持つ子どもや保護者に対し、日本で生活するために必要な情報を映像化し、WebやSNS等を用いて多言語で提供すること、さらに教育制度や行政制度、日本文化への理解を促す活動を通じて、多文化共生と異文化理解の促進に寄与することを目的とするNPO法人です。
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