日本のデジタルノマドは「ビーチ」を目指さない?求めているのは“安心できる自由”

全国1,000人を対象にした調査で、海外に住みながらリモートワークをした経験がある人はわずか3%。経験者の働き方も、国内・自宅中心で、安定性、通信環境、セキュリティを重視する傾向が明らかに。

Proton AG

「デジタルノマド」と聞くと、南国のビーチでノートパソコンを開き、国を移動しながら自由に働く姿を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、日本における実態は、そうしたイメージとはかなり異なるようです。

Proton VPNが実施した調査では、日本の回答者は海外リモートワークにおいて、ビーチや冒険、生活費の安さよりも、慎重さ、安定性、集中できる環境、言語や文化の壁、安定したインターネット、そしてオンライン上の安全性に注目していることがわかりました。

海外に住みながらリモートワークをした経験がある人は、全体のわずか3.0%。さらに、リモートワーク経験者のうち66%は「日本国内でのみ」リモートワークを経験しており、66%が主に「日本の自宅」で働いていました。

この調査から見えてくるのは、国境を越えて自由に働くというよりも、安定性、仕事の質、安心感を守りながら柔軟に働きたいという、日本ならではのリモートワーク観です。


主な調査結果

  • 日本のデジタルノマドは、まだ国内中心。海外に住みながらリモートワークをした経験がある人はわずか3.0%で、リモートワーク経験者の66%は日本国内でのみリモートワークを経験していました。

  • 「ビーチで働く」イメージは、日本の実態とは大きく異なります。リモートワーク経験者の66%は主に日本の自宅で働いており、海外のホテルや短期滞在先で働いた経験がある人は15%にとどまりました。

  • リモートワークの価値は、旅行ではなく「暮らし方の自由」にあります。経験者のうち、移動や旅行のしやすさを最大のメリットとした人はわずか2%。一方で、「働く場所や方法の自由度」(31%)、「ワークライフバランスの向上」(30%)が上位となりました。

  • 海外で働く場合に最も恋しくなりそうなものは、日本の食事。52.2%が「日本食やコンビニ」を選び、日常の快適さが海外生活への不安や抵抗感に深く関係していることがうかがえます。

  • リモートワークでVPNを使う人の主な目的は、仕事上のセキュリティです。VPN利用者の66.7%が「仕事用システムへの安全なアクセス」、50.0%が「公共Wi-Fi利用時の通信保護」を目的としていました。

調査結果

海外に住みながらリモートワークをした経験がある人はわずか3%

調査質問:リモートワークおよび海外生活の経験について、最も近いものを選んでください。

図1:リモートワークおよび海外生活の経験

まず明らかになったのは、海外に住みながらリモートワークをする働き方が、日本ではまだ非常に限られているということです。

全国1,000人の回答者のうち、67.0%は「リモートワークや海外生活の経験も関心もない」と回答しました。14.0%は「経験はないが試してみたい」、9.9%は「日本国内でリモートワークをしたことがあるが、海外ではない」と回答しています。

一方で、「海外に住みながらリモートワークをしたことがある」と答えた人は、わずか3.0%でした。

デジタルノマドという言葉は世界的に注目されていますが、日本の回答者においては、海外リモートワークの実体験はまだごく一部に限られています。

リモートワーク経験者も、働く場所は日本の自宅が中心

調査質問:これまで主にどのような場所でリモートワークをしたことがありますか。(複数回答)

図2:リモートワーク経験者が働いたことのある場所

リモートワーク経験者100人を対象にした追跡調査でも、働く場所は日本国内、特に自宅に集中していました。

最も多かったのは「日本の自宅」で、リモートワーク経験者の66%が選択しました。次いで「日本国内のカフェやコワーキングスペース」が32%、「日本国内のその他の場所(ホテルや一時滞在先など)」が25%となっています。

一方、海外でのリモートワーク経験は限定的でした。「海外のホテルや短期滞在先」は15%、「海外のコワーキングスペース」は10%、「海外の長期滞在先」は8%にとどまりました。

この結果は、一般的なデジタルノマドのイメージとは対照的です。日本のリモートワーカーにとって、主な仕事場所はビーチやリゾート、海外のコワーキングハブではなく、日本の自宅であることがわかります。

リモートワークの価値は、旅行ではなく自由とバランス

調査質問:リモートワークが生活にもたらす最大のメリットは何だと思いますか。

図3:リモートワーク経験者が感じる最大のメリット

リモートワークの魅力についても、旅行中心のデジタルノマド像とは異なる結果が見られました。

リモートワーク経験者が最も多く選んだメリットは、「住む場所や働き方の自由度が高いこと」(31%)でした。ほぼ同じ割合で「ワークライフバランスの向上」(30%)が続き、「働く時間を柔軟に調整できること」(18%)、「通勤時間の削減」(16%)も挙げられています。

一方で、「旅行や新しい場所に行きやすいこと」を最大のメリットとした人は、わずか2%でした。

つまり、日本におけるリモートワークの価値は、移動そのものよりも、日々の働き方を自分でコントロールできることにあると考えられます。旅人のように暮らすことではなく、より自由で、よりバランスの取れた働き方を実現することが重視されています。


海外で最も恋しくなりそうなのは、日本食とコンビニ

調査質問:海外に住みながらリモートワークをする場合、日本のどのようなものが恋しくなると思いますか。(複数回答)

図4:海外に住みながらリモートワークをする場合に、恋しくなりそうな日本のもの


調査では、海外でリモートワークをする場合に、回答者が何を恋しく感じると思っているのかも尋ねました。

最も多かった回答は「日本食やコンビニ」で、52.2%が選択しました。これは、「日本の治安や日常生活の安心感」(37.1%)、「家族や友人」(33.4%)を上回る結果です。

そのほか、「日本のエンタメやメディア」(19.9%)、「日本の接客サービス」(18.6%)、「日本のデジタルサービスやアプリ」(14.9%)も挙げられました。

この結果は、海外で働くことへの不安が、ビザ、仕事、言語、通信環境だけに限られないことを示しています。日本食、コンビニ、治安、サービス、そして日常生活がスムーズに回る感覚。こうした身近な快適さが、日本人にとって海外生活を考えるうえで大きな意味を持っているようです。

VPN利用は、主に仕事上のセキュリティ目的

調査質問:リモートワーク中にVPNを利用する主な目的は何ですか。(複数回答)

図5:リモートワーク中にVPNを利用する主な目的

リモートワーク中にVPNを利用している回答者に、その利用目的を尋ねたところ、主な目的は仕事上のセキュリティであることがわかりました。

VPNを利用しているリモートワーカー30人のうち、66.7%が「仕事用システムへの安全なアクセス」を目的として挙げました。50.0%は「公共Wi-Fi利用時の通信保護」、33.3%は「個人情報の保護」を選択しています。

一方で、「日本のウェブサイトやサービスへのアクセス」は30.0%、「動画視聴などの個人利用」は23.3%でした。

この結果から、日本のリモートワーカーにとってVPNは、主に娯楽や利便性のためのものではなく、仕事を安全に行うためのツールとして認識されていることがうかがえます。仕事用システムに安全にアクセスすること、通信を保護すること、通常のオフィス以外で働く際のリスクを減らすことが、主な利用目的となっています。

これは、今回の調査全体に通じる傾向とも重なります。日本の回答者が問うているのは、単に「リモートワークができるかどうか」ではなく、「安全に、安定して、仕事の質や個人のセキュリティを守りながら働けるかどうか」が重要な判断軸になっていることが伺えます。

まとめ

今回の調査から見えてきたのは、日本における一般的なデジタルノマド像が、海外でよく語られるような、「国境を越えて海辺やホテルのプールサイドなどで自由に働くスタイル」とは異なるということです。

日本の回答者にとって、リモートワークは今も国内中心、自宅中心であり、安定性へのニーズと強く結びついています。その魅力は、常に旅をすることではなく、仕事と暮らしのバランスをより自由に設計できることにあります。

同時に、その自由が魅力的に感じられるためには、言語、病気や緊急時の対応、お金の管理、インターネット環境、仕事と私生活の境界、オンラインセキュリティといった不安が解消される必要があります。

日本のデジタルノマドが追い求めているのは、南国のビーチよりも、慣れ親しんだ環境での安心や自由なのかもしれません。


調査概要

本記事は、Proton VPNの委託により、2026年にFreeasyを通じて実施された調査に基づいています。

最初のスクリーニング調査は、2026年3月18日に実施されました。対象は日本全国の20歳から99歳までの男女1,000人です。この調査では、デジタルノマドというライフスタイルへの印象、海外リモートワークへの関心、利点や不安、デジタル面での懸念などを尋ねました。

その後、2026年3月31日に、リモートワーク経験のある100人を対象とした追跡調査を実施しました。この調査では、リモートワークをした場所、感じているメリットや課題、オンラインセキュリティ対策、VPN利用、リモートワークによる仕事観の変化などを尋ねました。

男女差については、2標本比率のz検定を用いて検証し、詳細な分析では統計的に有意な差のみを報告しています。

Proton VPNについて

Proton VPNは、デジタルプライバシーと自由を重視するユーザーに向けて、オンライン上のプライバシーとセキュリティを守るVPNサービスです。Protonは2014年に設立され、個人データの収集を前提とする大手テック企業に代わる、安全な選択肢の提供を使命としています。 

開示および出典について

本記事は、Proton VPNの委託により実施された、2026年の日本国内調査に基づいています。

追加の調査結果、グラフ、詳しい分析を含む完全版の記事は、Proton VPNのウェブサイトで公開されており、本記事のPDF添付ファイルとしてもご覧いただけます。

出典記事:
 https://protonvpn.com/ja/blog/japan-digital-nomad-survey

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