"三方良し"で歯科衛生士不足を解決へ──滋賀南部4市の地域歯科医師会が歯科医療を守るプロジェクト始動
手に職、一生もの、人の役に立つ。それが歯科衛生士という仕事。
草津市・栗東市・守山市・野洲市の4市の歯科医師で構成する一般社団法人 草津栗東守山野洲歯科医師会(以下、当会)は、深刻化する歯科衛生士不足の解消に向け、「歯科衛生士が輝ける地域づくりプロジェクト」を始動します。

いま全国では、歯科衛生士不足が地域医療の大きな課題となっています。少子化や職業認知不足により、将来の担い手不足も深刻化しています。一方で、資格を持ちながら働いていない歯科衛生士は全国に約17万人。これは、免許保有者の半数以上にのぼります。
「働きたい気持ちはある。でも、戻りづらい」
そんな声の背景には、出産・育児・介護などのライフイベントに加え、復職への不安や、働き続けにくい職場環境の問題があります。
当会は、この課題を単なる"人材不足"ではなく、「地域医療の未来を支える人づくり」の課題だと考えています。だからこそ、"採用"だけでは終わらない、「目指したくなる」「戻りたくなる」「長く働きたくなる」地域づくりを、歯科医師会として本気で進めます。

【数字で見る危機】
歯科衛生士は、予防歯科や口腔ケアを担う国家資格の専門職です。しかし免許保有者321,241人のうち、実際に就業しているのは149,579人(就業率46.6%)にとどまります。毎年約7,000人が新たに資格を取得しているにもかかわらず、2年間の就業者純増はわずか4,396人。同じ2年間で約9,600人が、資格を持ちながら働いていない状態になっている計算です。

2年間の就業者純増がわずか4,396人にとどまる背景には、現場を離れてしまう歯科衛生士の多さがあります。その理由は、結婚・出産・育児・介護といった女性のライフステージの変化が大きいと考えられます。一度現場を離れた後に戻りにくいという構造的な課題、そして育児や家事と業務を両立できる配慮の不足も今後解決すべき課題です。
口腔の健康は全身の健康に直結します。歯科衛生士が地域からいなくなることは、定期検診や予防ケアが受けられなくなることを意味し、むし歯・歯周病の重症化、ひいては全身疾患リスクの増加につながります。
8020運動が掲げる「80歳で20本の歯を残す」という目標の達成においても、歯科衛生士によるメインテナンスや保健指導の果たす役割は非常に大きいものがあります。スウェーデンの歯科医師アクセルソンらが30年以上にわたる追跡研究で示したとおり、歯科衛生士による継続的なメインテナンスが適切に行われれば、歯の喪失はほとんど防ぐことができます。その担い手が地域からいなくなることは、継続的なケアの機会を失うことを意味し、歯の喪失が進めば咀嚼機能の低下や栄養状態の悪化を通じて、全身の健康も損なわれやすくなります。
※1 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者の概況)」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/24/dl/kekka2.pdf
※2 一般財団法人歯科医療振興財団「歯科衛生士国家試験」第34回(令和6年度)合格者数7,300人、第35回(令和7年度)合格者数7,452人 http://www.dc-training.or.jp/siken1.html
【滋賀南部が直面するリアル──なぜ当会が動くのか】

南部エリアには歯科衛生士養成校(滋賀県立総合保健専門学校・通称「総保専」)が存在します。しかし近年、大阪・京都など近隣府県の養成校に進学する滋賀県出身者は年間50名以上にのぼり、県外に出た多くがそのまま地元に戻らないという現実があります。地域の学生が地域の医療を支える担い手になりきれていない構造が続いています。
一方、滋賀県には歯科衛生士を目指す学生を対象に、年額264,000円を貸与し、卒業後に滋賀県内の医療機関で5年間勤務すれば返還が免除される「修学応援資金制度」があります。県内・県外どちらの養成校に在学していても申請可能です。
滋賀県で働く歯科衛生士が増えることは、地域の健康推進に直結します。当会は、歯科衛生士が「滋賀で働きたい」と思える環境をつくることこそが、地域医療の未来を守る第一歩だと考えています。
学びたい学生に情報を届けたい。離職した方には温かく戻れる場所でありたい。そしてここで働く歯科衛生士が「ずっとここで働きたい」と思える職場環境でありたい。
そんな思いで当会が立ち上がりました。
※3 滋賀県「看護職員・歯科衛生士・歯科技工士修学応援資金」 https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kenkouiryouhukushi/iryo/349829.html
【滋賀らしく、"三方良し"で取り組む】
本プロジェクトの根底にあるのは、滋賀県に根付く近江商人の理念「三方良し」です。
・「患者にとって安心できる歯科医療」
・「歯科衛生士にとって働きやすい環境」
・「地域医療にとって持続可能な体制」
この3つが揃ってこそ、本当の意味で地域医療は守られる。当会は、その実現を地域全体で目指します。
【プロジェクトの5本柱】
① 職業認知の拡大
TikTok・Instagram等のSNSを活用し、歯科衛生士の仕事内容・やりがいを中高生や保護者にわかりやすく発信。
② 入学者増加の支援
歯科衛生士養成校への進学を後押しするため、学校説明会や進路相談会と連携し情報提供を強化。
③ 奨学金制度の周知
卒業後5年間の県内勤務で返還免除となる滋賀県修学応援資金制度(年額264,000円)を広く周知し、進学時の経済的不安を軽減。
④ 復職・定着支援
育児・介護等で離職した歯科衛生士が安心して戻れる環境づくりを歯科医師会が主導。
⑤ 医院の労働環境改善
歯科衛生士が安心して長く働けるよう、勤務環境や働き方の改善を地域全体で推進。
【次世代へ、離職中の方へ──SNSで随時発信中】

当会では、以下の方々へ向けてSNS(TikTok・Instagram)にて情報を配信しています。
Instagram:https://www.instagram.com/kurimoya.dh/
TikTok:https://www.tiktok.com/@kurimoyadh
【歯科衛生士とは】
歯科衛生士は、歯科医師の指導のもとで予防処置・歯科診療補助・歯科保健指導を行う国家資格の専門職です。むし歯や歯周病の予防を通じて患者の全身健康を支える、医療現場に欠かせない存在です。
歯科衛生士の業務は、むし歯治療と異なり継続的な通院が基本となります。同じ担当者がいつもそばにいることで、患者は口腔内の変化を気軽に相談でき、深い信頼関係が生まれます。歯科医師よりも患者と接する時間が長いからこそ、歯科衛生士は「かかりつけの歯科医院」の顔とも言える存在です。
地域に根ざした歯科衛生士が長く働き続けられる環境をつくることは、患者一人ひとりの安心につながり、地域全体の口腔健康を守ることにもなります。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
