東日本大震災から15年。8/25、石巻で再起した定食店店主たちが「地方飲食店を支える無料コミュニティ」を始動
月商2倍超・LINE会員9,000人超を実現した経験をもとに、店主同士が学び合う場を提供
宮城県石巻市の定食店『楓楸栞(ふうしゅうかん)』店主・神野文寿(かみの ふみとし)はからあげ専門店『一歩』などの飲食事業を展開してきた波城獎徳(なみき たかのり)氏とともに、地方の飲食店店主が無料で学び合える「地方飲食店共創コミュニティ」の運営を開始します。それに先駆けて、2026年8月25日(火)にオンラインにて発足式を取り行います。

神野は東日本大震災で職場と自宅を失い、震災の1年後に夫婦で『楓楸栞』を開業。その後、コロナ禍や物価高で再び経営危機に直面しましたが、波城氏の伴走支援を受けながら店づくりと経営を見直しました。その結果、2年半で月商は160万円台から338万円へ、LINE会員数は67人から9,000人超へと改善しました。
震災・コロナ禍・物価高を経験し、石巻で再起した小さな飲食店店主たちが、今度は同じように悩む地方の飲食店店主とつながり、学びを共有する側へ。東日本大震災から15年の節目に、地方の個人飲食店が孤立せず、支え合える場づくりに挑戦します。
【地方飲食店共創コミュニティ概要】
代表:神野文寿(石巻市の定食店『楓楸栞(ふうしゅうかん)』店主)
副代表:波城獎徳氏(からあげ専門店『一歩』創業者)
相談役:中西卓己氏(株式会社鳥貴族 元専務取締役/株式会社Find good 代表取締役)
料金:無料
対象者:席数30席前後の個人飲食店店主
提供場所:オンライン
実施予定内容:『楓楸栞』を立て直した実践内容を学べる勉強会(毎週月曜、15~16時)
動画コンテンツ視聴
全国店主との交流会の実施等
申し込み方法:https://young-base-589d.namikisyoutoku.workers.dev/
発足式:2026年8月25日(火)15時~(オンライン)
飲食業倒産は過去最多ペース。
小・零細飲食店に重くのしかかる物価高と人件費高騰
東京商工リサーチのTSRデータインサイトによると、2026年1~6月の飲食業倒産は509件となり、上半期で過去最多を更新しました。食材費・光熱費などの物価高に加え、人手不足や人件費高騰も重なり、資本金1,000万円未満の小・零細事業者の倒産が9割超を占めています。
地方の個人飲食店では、値上げに慎重にならざるを得ないケースも少なくありません。だからこそ、これからは地元のお客様に何度も選ばれる店づくりが欠かせません。
神野自身も、コロナ禍や物価高、融資の返済に直面し、思うように利益を確保できない時期を経験してきた一人です。震災後の復興の中で開業した『楓楸栞』も、例外ではありませんでした。
震災、コロナ禍、物価高。石巻の定食店が直面した経営危機
神野は20歳で仕出し店に就職し、13年間、調理の仕事に携わってきました。「いつか自分の店を持ちたい」と思い描いていた矢先、東日本大震災が発生。幸い家族は全員無事でしたが、津波によって職場と自宅を同時に失いました。
ボランティアによる温かい炊き出しを口にしたとき、心が救われるような感覚があり、「いつか食で恩返しをしたい」という思いも芽生えました。
再就職も考える中で、「家族と一緒に生きていられるなら、長年の夢だった飲食店をやろう」と決意。震災の1年後、夫婦で定食店『楓楸栞』をオープンしました。店名は、3人の子どもたちの名前にちなんで名付けたものです。

しかし、経営はほぼ独学。数字面も手探りのまま、気合いと根性で店を維持してきました。そこにコロナ禍が直撃し、客足は減少。さらに原材料・人件費・光熱費の高騰、コロナ禍で受けた融資の返済も重なり、売上があっても利益が残りにくい経営状況に陥りました。
夫婦2人のマンパワーに頼らざるを得ず、朝から晩まで働きづめの日々。定休日にも買い出しや仕込みに追われ、家族との時間が十分に持てないほどでした。
波城氏の原点も震災。「一歩目を踏み出そう」と唐揚げ販売から再出発
波城氏が飲食事業を始めたきっかけも、東日本大震災でした。当時、波城氏がよく通っていた多賀城市の居酒屋が津波で被災。再開の目処が立たず、途方に暮れる店主を見た波城氏は「この店を僕に貸してほしい」と申し出ます。
仲間と厨房を片付け、2011年9月に路上で唐揚げ販売を開始。街灯を失い真っ暗だった町に提灯を灯し、「みんなで一歩目を踏み出そう」という思いから店名を『一歩』としました。
その後、『一歩』は居酒屋・定食店・テイクアウト・通販・キッチンカーへと広がり、2019年には年商2.4億円規模の飲食事業へ成長しました。
震災経験者の2人が出会い、二人三脚での取り組みがスタート
「このままでは店が潰れてしまう」と感じていた神野が相談先を探していたところ、出会ったのが波城氏でした。震災をきっかけに飲食店を始めた共通点、そして飲食事業を成功させてきた当事者から語られる言葉の説得力に、神野は心を動かされたのです。
神野は10年以上、飲食店を続けてきたプライドを捨て、「もう遠回りはしたくない。経営改善に向けて伴走支援をお願いしたい」と波城氏に頼み込みます。こうして、店の再生をかけた2人の取り組みが始まりました。

SNSより先にやることがある。地域のお客様に選ばれる店へ
『楓楸栞』は、大通りから約200m奥まった場所にあり、初めて訪れた波城氏が思わず「最悪ですね」と声を漏らすほどの立地でした。しかし、震災ですべてを失った神野が、予算内でやっと手に入れた場所でもありました。
そこで2人は「場所はそのままに、お客様が明確な目的を持って来たくなる店に変える」という方針で改善を開始。まず取り組んだのは、集客のために必死に発信していたSNSの頻度を下げ、メニューと価格を見直すことでした。「既存のお客様を大切にし、また来たいと喜んでもらえる店をつくること。それができていないまま、新規のお客様に対してSNS発信しても意味がない」。波城氏は神野に既存のお客様を大切にする姿勢・考え方を伝えました。
そのうえで、メニュー・価格・厨房ホールのオペレーション・プロモーションなど、地域のお客様との関係づくりもひとつずつ見直し、選ばれる店づくりに取り組みました。伴走期間中も、波城氏は「それは本当にお客様のためか」と繰り返し問い続け、神野自身も、お客様を起点に店づくりを考える大切さに気付いていきました。
その結果、取り組み開始から2年半で、『楓楸栞』の売上・利益ともに大きく改善。直近5か月間は過去最高益を更新中です。
【楓楸栞の業績変化】

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伴走前(2023年11月) |
現在(2026年5月時点) |
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月商(税込) |
160万円台 |
338万円 |
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営業利益率 |
1%未満 |
20%超 |
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LINE会員数 |
67人 |
9,000人突破 |
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LINE会員向け販売 |
なし |
1回の売上20万円超 |
※数値はいずれも『楓楸栞』による店舗集計。
※LINE会員向けには「冷凍唐揚げ」や「唐揚げドッグ」などを販売
売上・利益の改善に加え、仕事をスタッフに任せられるようになったことで、神野自身にも家族と過ごす時間や将来を考える余裕が生まれています。この経験から「地方の飲食店でも、店づくりや経営の順番を見直せば再起できる」と実感するようになりました。
東日本大震災から15年。
悩みを抱える飲食店へ経験を共有する「地方飲食店共創コミュニティ」始動

日本各地には、かつての『楓楸栞』と同じように、悩みながら日々の営業に追われている個人飲食店が多くあります。神野自身がその苦しさを経験してきたからこそ、「今度は自分が得てきた学びや知見を、同じように悩む地方の飲食店へ届けたい」と考えるようになりました。
今回始動するコミュニティでは、東日本大震災15年の節目に神野と波城氏がタッグを組み、『楓楸栞』で実践してきた店づくりや経営改善の考え方・LINE会員化・限定販売・オペレーション改善などの実例を、無料の勉強会や動画コンテンツを通じて共有します。参加店主が自店の状況に合わせて取り入れられるよう、実例をもとに学び合う場を目指します。
また、相談役には、鳥貴族の黎明期から成長を支えた元専務取締役の中西卓己氏が参画。地方飲食店の未来づくりに共感し、中西氏の経験や現場で活きる知見を会員に伝えます。
将来的には1,000人規模を目標に。
共同仕入れや販促で、個店同士が支え合う仕組みを目指す
地方には、自分の置かれた状況に悩み、相談もできずにいる飲食店店主が多くいるはずです。しかし、そのような店主が集まり、みんなで一緒に学び、頑張っていこうとする場は多くありません。無料で継続的に学び合える場は、さらに限られています。
将来的には、参加店主を1,000人規模に広げ、共同仕入れ・共同販促・商品開発・取り組み事例の共有など、個店単独では実現しにくい連携にも取り組む予定です。組合化も視野に入れ、地方飲食店が孤立せず、学び合い、支え合える仕組みづくりを目指します。

地方飲食店共創コミュニティ代表
神野文寿(かみの ふみとし)
震災で仕事と家を失い、コロナ禍では店を続けられるのかという不安の中にいました。波城さんと出会い、店づくりや経営の順番を見直したことで、数字だけでなく、自分の考え方も大きく変わりました。
大通りから200m奥まった石巻の小さな店でも、やり方を変えれば再起できる。今悩んでいる地方の飲食店店主のみなさんに、再起できることを伝えたいです。
愚痴や悩みも気軽に話せて、学び合える場所を、自分が率先してつくっていきます。

地方飲食店共創コミュニティ副代表
波城獎徳(なみき たかのり)
地方飲食店は、地元のお客様に何度も選ばれる店にならなければ続いていきません。神野さんには、流行りの集客を追う前に「本当にお客様のためなのか」ということを考え続けてもらいました。
『楓楸栞』は立地条件の良い店ではありませんが、商品には力がありました。順番を間違えず、店主が本気で変わろうとすれば、地方の個人飲食店にも再生の可能性はあります。
自分の店と向き合い、本気で変えていきたいと思う方々とともに、学び合い、実践していきましょう。

お食事処 楓楸栞 ふうしゅうかん
〒986-0855 宮城県石巻市大街道東4丁目5−47
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