レポート「霞が関の働き方改革に向けて~ICTを活用した長時間労働是正と生産性向上~」の発表

長時間労働の一因とその解決策を分析

慶應義塾大学大学院経営管理研究科の岩本隆特任教授は、レポート「霞が関の働き方改革に向けて~ICTを活用した長時間労働是正と生産性向上~」を発表しましたのでお知らせします。
【サマリー】
■政府発表のデータ等を用いて、霞が関の労働環境を分析。月平均残業時間は民間の約7倍、自殺率は1.5倍など、厳しい状況にあることが判明。
■霞が関においてはテレワーク環境整備が遅れており、利用実績は限定的。実効的な「チーム型」テレワーク体制確立に向け必要な具体的技術・システムを提言。さらに、これによるコスト削減効果を試算。年間1400億円以上のコスト削減が可能との試算。
■中長期的な取組推進のため政府横断的なロードマップの作成を提言。  

 霞が関で働く国家公務員の月平均残業時間は一般就労者の約7倍にものぼり、自殺率、メンタルヘルス等の面でも過酷な状況に置かれています。これまでも霞が関の働き方改革を推進する様々な方針が決定されてきましたが、状況は改善されておらず、職員の判断力や創造性の低下、人材の流出などが危惧される状況です。

 長時間労働の是正においては、ICTの活用などが民間では実績を上げており、生産性の向上にもつながっています。霞が関におけるICTのさらなる活用が喫緊の課題となっていますが、現状ではテレワークの環境整備は不十分で、かつ各省の間で取組にばらつきがあり、利用実績も限定的となっています。

   
   【勤務実態】

   

 

   【テレワーク利用実績】
     ■利用者数4,460人(全職員の8.6%)

     ■「週数回テレワークを実施した」人数170人(同0.3%)
       (平成28年実績)
   【各省のテレワーク環境整備】
     ■日常業務で使用する業務用端末が使用可能:4府省
     ■私用端末が使用可能:6府省
     ■貸出用端末のみ使用可能:13府省
     ■自宅で業務メールを閲覧可能:9府省
       (母数は22府省庁)


 霞が関の業務実態に合わせた適切なICT環境を各省横断的に整備するとともに、テレワークを前提として業務フローや人事・予算制度の見直しを行うことが必要とされています。

   
   【対応策】
 

 

 
 ICTの活用により業務効率化が達成された場合、総労働時間減少による超過勤務手当の減1255億円、国会関係業務合理化による超過勤務手当の減102億円など、年間で総額1417億円のコスト削減が見込まれることを試算しました。


   【コスト削減効果の試算】
     ■国会関係業務の合理化による超過勤務手当削減:102億円
     ■業務効率化を通じた超過勤務手当削減:1,255億円
     ■深夜残業抑制によるタクシー代削減:22億円
      その他のコスト削減と合わせた削減効果合計:1,417億円

 
これまでのテレワーク環境整備に関する政府横断的方針は具体性に欠いており、実効性が薄いことを踏まえ、一括・大規模な導入によってスケールメリットを活かしたコスト削減を行うためにも、政府横断的・具体的ロードマップを定め、各省庁のシステム更改のタイミングを適切に捉えた計画的整備を進めることを提言しています。

【提言】
■チーム型テレワーク環境の本格的整備と、これに付随する業務フロー・制度改善を一部省庁で先行導入する。
■政府横断的で複数年度にわたるロードマップを策定し、各省のシステム更改時期を捉えてシステムの集約化を進める。


(レポート本文は、下記URLから御確認ください。)
https://www.tiwamoto.jp/report/

【執筆者プロフィール】
岩本 隆 慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授
 東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)工学・応用科学研究科材料学・材料工学専攻Ph.D.。
 日本モトローラ株式会社、日本ルーセント・テクノロジー株式会社、ノキア・ジャパン株式会社、株式会社ドリームインキュベータ(DI)を経て、2012年より慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授。「技術」・「戦略」・「政策」を融合させた「産業プロデュース論」を専門領域として、様々な分野の新産業創出に携わる。
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