全国初「フォント」による業務改善について検証
〜年間約2,989時間・約709万円分の労働コスト減につながる試算も〜
茨城県行方市は、株式会社モリサワ、三重県いなべ市、埼玉県三芳町(みよしまち)と協働で、ユニバーサルデザイン(UD)フォントの有益性の検証を行いました。
その結果、一般的に使われているOS標準フォントを使ったときと比べて、モリサワのUDフォントを使ったときの方が、全世代での「誤読の回避」、40歳代以上で「読みの速度向上」に効果があるということが分かりました。
その結果、一般的に使われているOS標準フォントを使ったときと比べて、モリサワのUDフォントを使ったときの方が、全世代での「誤読の回避」、40歳代以上で「読みの速度向上」に効果があるということが分かりました。
■検証に至る背景
「伝わる」情報発信や情報のユニバーサルデザイン化を目指す茨城県行方市では、UDフォントを全職員端末に導入し、職員(教職員含む)が作成する通知文や庁内発行物に活用しています。 また、日本では少子高齢化が進んでおり、労働力人口を年齢別に見ると20年前(2000年)と比較して35歳以上の割合が8%増える※1など、企業や自治体の働き手も高齢化が進んでいます。
そうした背景を踏まえ、職員の業務改善と、今後の高齢化による職員の視力低下が見込まれることを鑑み、同様の取り組みを行っている三重県いなべ市、埼玉県三芳町と共に、UDフォントの有益性の検証を行いました。
※1 総務省統計局 労働力調査 長期時系列データ(基本集計)
「表1 月別結果の季節調整値及び原数値a-2」を加工
https://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.html#hyo_1
■検証概要
1 実施日時:2020年10月
2 対象者:20〜60歳代の男女294人
3 内容:業務で利用するジャンルの文章サンプルを、UDフォントと一般的なOS標準フォントの両方で用意。それぞれ文章を読み、「誤読の回避」と「読みの速度」について検証した。
■検証結果
1 UD フォントは全ての世代において、文字の誤りを見つけられる確率が平均で5.34%高く、誤読の回避に効果があることが分かりました。
2 UD フォントは40 歳代以上の世代において、特に読みの速度が上がり、OS 標準フォントよりも約3.3%速く読めることが分かりました。
円グラフ参考:総務省統計局 平成30 年 労働力調査年報 統計表 Ⅰ-A-第2 表
https://www.stat.go.jp/data/roudou/report/2018/index.html
■検証結果についての考察
1 業務効率化や労働時間短縮、コスト削減に効果
検証結果に基づいて考察を行うと、UDフォントの活用について下記内容が明らかになりました。
①誤読を回避できる → 内外への情報伝達ミスの軽減に繋がり、「業務効率化」を図れる。
②読みの速度が向上する → 「労働時間の短縮」ひいては「コスト削減」につながる。
2 年間約2,989時間・約709万円分の労働コスト削減につながる可能性 ※行方市職員データ
検証の結果に基づき、行方市が削減できるコストを以下条件で算出したところ、年間約2,989時間・約709万円分の労働コストの削減につながる試算となりました。
〈試算条件〉
・行方市の40歳代以上が222人※2
・年間の労働時間 2,040時間※3
・行方市の平均時給 2,372円※4
・1日の労働時間のうち20%が文章を読んでいる時間と想定
・40歳代以上はUDフォント活用で読みの速度が3.3%速くなる(今回の検証結果)
〈計算式〉
2,040時間×0.2×0.033=13.464時間(年間削減時間)
13.464時間×222人=2,989.01=約2,989時間(年間削減時間/40歳代以上)
2,372円×2,989.01時間=7,089,931.72=約709万円(年間削減人件費)
※2 平成31年度 行方市の給与・定数管理等について
https://www.city.namegata.ibaraki.jp/page/page000644.html
※3 年間の法定労働時間(2080時間)から有給休暇5日分(40時間)を引いて計算
※4 平成31年度職員の平均給与月額(403,200円)×12か月÷年間労働時間(2,040時間)
■今後について
これらは、職員の業務において、生産性向上や働き方改革につながると考えています。また、住民とのコミュニケーションツールである通知書や窓口でお渡しする情報の紙面、学校から発行されるプリント類はもちろん、WebサイトでもUDフォントを活用していく動きをさらに強化していく予定です。
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