展覧会「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」開催
展覧会開催および前売券発売のご案内
旅情詩人と呼ばれた木版画家、川瀬巴水
大正から昭和にかけて活躍した木版画家・川瀬巴水(1883~1957〔明治16~昭和32〕年)。近代化の波が押し寄せ、街や風景がめまぐるしく変貌していく時代に、巴水は日本の原風景を求めて全国を旅し、庶民の生活が息づく四季折々の風景を描きました。
巴水とともに木版画制作の道を歩んだのが、新時代の木版画「新版画」を推進した版元の渡邊庄三郎(現・渡邊木版美術画舗初代)や彫師、摺師といった職人たちです。四者は一体となって協業し、伝統技術を継承しながらもより高度な技術の活用を求めました。そして新たな色彩や表現に挑み続け、「新版画」を牽引する存在として人気を博します。
本展では、季節や天候、時の移ろいを豊かに表現し「旅情詩人」とも呼ばれた川瀬巴水の画家としての生涯を、初期から晩年までの代表的な作品とともに紹介します。まとめて観る機会の少ない連作(シリーズ)も含め約180点を展示し、叙情的な巴水の世界へと誘います。
開催概要
展覧会名:川瀬巴水 旅と郷愁の風景
会 期:2023年9月2日(土)~10月1日(日)※会期中無休
開館時間:9時30分~18時00分 (※入場は閉場の30分前まで)
会 場:石川県立美術館(金沢市出羽町2-1)
主 催:北陸中日新聞、石川テレビ放送、石川県立美術館
後 援:石川県、金沢市、金沢市教育委員会、NHK金沢放送局、
エフエム石川
特別協賛:アルスコンサルタンツ、東海東京証券
特別協力:渡邊木版美術画舗
資料提供:大田区立郷土博物館
企画協力:ステップ・イースト
公式HP :https://www.hokuchu-event.com/pickup/kawase-hasui2023/
チケット
◆観覧料(税込み)
一般1,200(1,000)円 高校・大学生900(700)円 小・中学生600(400)円
★前売券は6月1日(木)10:00から販売予定。
※20名以上の団体の場合、前売り料金でご入場いただけます。
※未就学児は無料。
※身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者福祉手帳、ミライロIDをご提示の場合は、ご本人様は前売り料金、そのお付き添い1名様は無料でご入場いただけます。
※各種割引は重複してご利用いただくことはできません。
◆チケット取扱場所
チケットぴあ(Pコード:686-396)、セブンチケット、イープラス、ローソンチケット(Lコード:41810)、Boo-Wooチケット、★北陸中日新聞販売店、★金沢中日文化センター(金沢エムザ2F)、★中日サービスセンター(中日新聞北陸本社1F)、★石川県立音楽堂チケットボックス、★香林坊大和プレイガイド、★アピタ松任ティオ、★うつのみや各店、など(★は前売券のみ)
川瀬巴水とは
川瀬巴水(かわせ はすい)
1883~1957(明治16~昭和32)年
▶1883(明治16)年、東京市芝区(現港区)で生まれる。本名は文治郎。
▶1910(明治43)年、27歳で日本画家・鏑木清方に入門。
「巴水(はすい)」の画名を与えられる。
▶1918(大正7)年、35歳の時、伊東深水の木版画『近江八景』に影響を受け、木版画家に転向。
▶版元の渡邊庄三郎や彫師、摺師らとの共同作業を通じて、伝統技術を継承しながらもより高度な技術の活用を求めて新たな色彩や表現に挑戦し続け、「新版画」 を確立させる。風景画の絵師として新版画の中心的作家となり、1957(昭和32)年11月27日に74歳で亡くなるまで約40年間にわたって日本中を旅し、600点以上の作品を残した。
▶日本の原風景を描いた巴水の作品は海外にも多く輸出され、風景美を叙情的に描き出し、繊細で臨場感ある画風が評価されている。
画像:川瀬巴水 1939(昭和14)年7月 大田区立郷土博物館蔵
みどころ
第1章 版画家・巴水、ふるさと東京と旅みやげ
鏑木清方から「巴水」の画名を授かり、木版画家・川瀬巴水として版元の渡邊庄三郎と歩み出した初期から関東大震災が起きるまでの作品を紹介。各地で描いた画集『旅みやげ』や『東京十二題』など、まとめてみる機会の少ない連作を展示します。
左:《木場の夕暮》東京十二題 1920(大正9)年秋 木版・紙
右:《月嶋の渡舟場》東京十二ヶ月 1921(大正10)年10月 木版・紙
★注目!巴水、金沢を描く
巴水は1920(大正9)年秋などに北陸を幾度も旅しました。武家屋敷や浅野川の風景は、巴水の目にどのように映ったのでしょうか。会場では、巴水が描いた北陸三県の作品も展示します。
左:《金澤下本多町》旅みやげ第二集 1921(大正10)年9月2日 木版・紙
右:《金澤浅野川》旅みやげ第一集 1920(大正9)年秋 木版・紙
第2章 「旅情詩人」巴水、名声の確立とスランプ
関東大震災で家が全焼し、写生帖や画業の成果物が焼失した巴水は、再建の旅に出ます。結果的に人生最長となった旅の中で、巴水はより写実的で華やかな画風へと変わっていきます。
代表作となった《芝増上寺》や《馬込の月》を含め、『東京二十景』に描いた作品は人気を博し、震災後の新版画を象徴する存在となりました。
左:《芝増上寺》東京二十景 1925(大正14)年 木版・紙
中:《馬込の月》東京二十景 1930(昭和5)年 木版・紙
右:《十和田子之口》日本風景集 東日本篇 1933(昭和8)年7月 木版・紙
第3章 巴水、新境地を開拓、円熟期へ
風景版画家として高い名声を得ながらも作風のマンネリ化を感じ、葛藤していた巴水は、画家仲間からの誘いで朝鮮半島へ旅に出ます。異国の風景や風俗の新鮮さに魅了された巴水は、画風の新境地を開拓し、円熟期へと入ってきました。
戦後、巴水の木版画は進駐軍関係者等から好評を得ており、1952(昭和27)年には、文部省文化財保護委員会による木版画技術記録事業の対象に選ばれています。
絶筆《平泉金色堂》を含む、新版画界を牽引し続けた巴水の作品世界をお楽しみください。
左:《金剛山三仙巖》朝鮮八景 1939(昭和14)年8月 木版・紙
右:《平泉金色堂》1957(昭和32)年 木版・紙
★スティーブ・ジョブズも魅了した巴水
アップル・コンピュータの共同創業者スティーブ・ジョブズは、日本の新版画を愛し、特に川瀬巴水はお気に入りの作家でした。会場で展示される《西伊豆木負》はジョブズが購入した中にもあった作品です。
《西伊豆木負》1937(昭和12)年6月
※図版の作品所蔵先はすべて渡邊木版美術画舗
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