ispace U.S.、2基のリレー衛星を活用したデータサービスを開始
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、当社US法人であるispace technologies U.S., inc. (以下ispace U.S.)が、2基のリレー衛星を活用した新たなデータサービスを開始することを発表しました。2基のリレー衛星は、ispace U.S.が2026年に予定しているミッション3においてSpaceX社のFalcon 9により打ち上げられ、APEX1.0ランダー(月着陸船)により月周回軌道に展開される計画です。本詳細は、米国ジョンズホプキンス大学応用物理学研究所が主催するLunar Surface Innovation Consortium 2024春の会合の中で発表されました。
2基のリレー衛星は、月の南極付近に位置するSchrödinger Basin(シュレーディンガー盆地)に着陸する予定のAPEX1.0ランダーと地球との間の通信を可能にします。ispace U.S.は、Team Draperの一員としてアメリカ航空宇宙局(NASA)の商業月面輸送サービス(CLPS: Commercial Lunar Payload Services)のタスクオーダーCP-12に採択され、ミッション3ではNASAによる複数の科学的ペイロードを、月の裏側、南極付近に位置するシュレーディンガー盆地へ輸送する計画です。このリレー衛星は、タスクオーダーCP-12の実現に向けて設計されており、衛星は、月面に着陸する前に月周回軌道上で展開される計画です。
CP-12における科学調査完了後、2基のリレー衛星は極域を起点に月のほぼ全球をカバーする、円形に近い高高度の月の極軌道、高円極軌道(High Circular Polar Orbit 、HCPO)を航行する計画です。これにより、7割近くの月面南極域と地球の間の通信が可能となり、より貴重なデータサービスの利用機会を顧客へ提供可能となります。
リレー衛星はミッション3完了後も数年にわたって月周回軌道上に留まる予定であり、月面上または周回軌道上のペイロードによって収集されたデータを顧客に提供するだけでなく、データの処理と統合により、将来的なミッションの実現、強化に貢献することが期待されています。リレー衛星として月周回軌道に展開する2基の小型衛星バス(Venus級)の設計・製造は米国RTX 社の子会社であり、小型人工衛星の製造およびミッションサービスを手掛けるBlue Canyon Technologies社が担い、月周回軌道上では、通信装置を搭載した小型衛星が月の裏側の着陸地点と地球を結ぶ通信を中継し、月面のランダー及びペイロードからの高速データを地球上で受信することを可能にします。
ispace U.S.は現在、ミッション3におけるAPEX1.0ランダーと2基のリレー衛星への商業的なペイロード輸送サービスに関して、複数の民間企業や政府系機関、研究機関と継続的に商談を行っています。既に測位・航法・タイミング(PNT)情報の提供に向けた技術実証など様々な目的のペイロードの搭載が決定しており、今回、ispace U.S.は新たに、リレー衛星の活用を希望する顧客との協議を開始いたしました。
APEX1.0ランダーについて
ispace U.S.が開発するAPEX1.0ランダーは、現在、ispaceが提供可能な最も高性能な商業ミッション向けのランダーの一つです。2023年4月にミッション1を行ったシリーズ1ランダーから得られたデータやノウハウを活用し、更なる性能の強化を行っています。シリーズ1ランダーの10倍以上のペイロード容量となる、最大300kgのペイロードを月面に輸送可能な設計であり、将来的には拡大する顧客の要求に応えるために、APEXシリーズのペイロード容量を段階的に増加させ、最大500kgのペイロード設計容量の実現を目指しています。月の周回衛星や、月面ペイロード、月面展開ペイロード(小型ローバー等)など様々なペイロードを月の裏側や表側に輸送可能な設計となっています。高度な構造耐久性、信頼性、製造性により、一貫した品質と性能の実現を可能にしています。
ispace technologies, U.S., inc. (https://ispace-us.com/)について
コロラド州デンバー郊外に位置する、株式会社ispace のUS法人。地球から月への輸送サービスを政府及び民間顧客に提供する米国の月開発企業。月の資源活用に着目し、月、及び地球と月の間において人類の生活圏、経済圏を構築することを目指している。ispace U.S.は米国で設計・製造・打ち上げが行われるAPEX1.0ランダー開発の中心地であると同時に、北米における事業の拠点としての役割を担う。Team Draperの一員として、アメリカ航空宇宙局(NASA)の商業月面輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services, CLPS)に採択され、NASAが後援する3つの科学ペイロードを月周回軌道及び月面へ輸送する予定。ispace U.S. CEOのRonald J. Garan Jr.は元NASA宇宙飛行士であり、宇宙産業における第一人者。彼を含むispace U.S.の経営陣には、米国の数々の宇宙プログラムにおいて活躍したプロフェッショナルが集結。
株式会社ispace (https://ispace-inc.com/jpn/)について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続く2024年冬iにミッション2の打ち上げを、2026年iiにミッション3、2027年にiiiミッション6の打ち上げを行う予定。ミッション1の目的は、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化であり、ミッション1マイルストーンの10段階の内Success8まで成功を収めることができ、Success9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現する上での貴重なデータやノウハウなどを獲得することに成功。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされる予定。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。
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