福島県矢吹町スポーツ×デジタル振興プロジェクト「バイタルウォッチを活用した子どもの体力・運動能力向上プログラム」実証事業報告会を開催

福島県矢吹町

2025年3月7日 13時11分

　福島県矢吹町は、スポーツ振興とデジタル技術を融合させた「矢吹町スポーツ×デジタル振興プロジェクト」を推進しており、その一環として「バイタルウォッチを活用した子どもの体力・運動能力向上プログラム」の実証事業を実施しました。2025年2月17日、本事業の成果を共有するため、関係者を招いて報告会を開催しました。

■プロジェクトの背景と目的

本町は、元プロ野球選手の中畑清氏や、北京オリンピック出場の千葉麻美氏を輩出するなど、スポーツが盛んな地域です。町の貴重な資源を活かしながら、スポーツとデジタルを組み合わせた新たな施策を展開することで、町民の健康増進や地域活性化を目指しています。本プロジェクトでは、子どもから高齢者までを対象とした健康プログラムを開発し、実証事業を通じて効果を検証しています。

■実証事業の概要

本事業では、矢吹町立三神小学校の2年生を対象に、バイタルウォッチを活用して運動時のデータを収集。機械学習による解析を行い、通常の体育授業と比較しながら、子どもたちの運動能力向上を目指しました。なお、バイタルウォッチの活用に際しては、事前に小学校を通じて保護者の同意を得た上で実施しています。また、本事業で収集されたデータはすべて仮名化処理を施し、個人を特定できない形で分析・活用しています。データの管理は厳格なセキュリティ対策のもとで行い、本事業の目的以外での使用は行いません。

対象：矢吹町立三神小学校2年生
実証期間：2024年11月21日（木）～2025年2月13日（木）
協力企業：みらい株式会社、株式会社Cellence、NXTech株式会社

■報告会の概要

開催日：2025年2月17日（月）13:30～15:00
会場：矢吹町役場会議室
発表内容：

・実証事業の分析結果

・データに基づく運動能力向上の可能性

・体育授業への活用の展望

■分析内容

本プログラムでは、

体力テストや睡眠時間等のアンケートデータの収集
運動教室と通常の体育授業時の客観的データ（心拍数や活動量）の取得
機械学習を用いた上記の高次元データの解析と可視化

を実施しました。
これにより、児童を統計学に基づき分類し、分類された児童集団を特徴づける因子を特定し、児童の特性に基づく授業目標の設定を通した「学びの最適化」を実現できるかを検証しました。

なお、本プロジェクトでは、デジタル技術の活用により、子どもたちの能力を高低で序列化するのではなく、一人ひとりの特性や強みを活かし、それぞれに適した学習方法を提供することに重点を置いています。運動特性の違いを多様性として尊重し、個々の成長を最適に支援することで、すべての子どもが自信を持って体育活動に取り組める環境づくりを目指していくものです。

■主な分析結果

運動能力に基づく3つのグループに分類

・体力テストの結果（高次元データ）の解析により、運動能力の「高・中・低」の3つのグループに分類できることが明らかになった。

・性別や体格等ではなく、運動能力を基に個別の目標設定、支援を通した最適な運動プログラム（学び）を提供できる可能性が示唆された。
運動に対する児童の生理的耐性の違いを可視化

・授業で取得した心拍数データの解析により、運動負荷耐性に基づく3つのグループに児童が分類されることが明らかになった。

・授業毎に児童の運動負荷耐性に基づく個別の目標設定、支援を通した学びの最適化を提供できる可能性が示唆された。

■所感

体育の教育現場で「学びの最適化」を実現するには、