世界難民の日に寄せて:日本で学ぶ難民・避難民の若者の姿を発信する#日本で学び希望をつなぐ #Pathways for Learning and Hope キャンペーン開催
世界で、紛争、迫害、暴力、人権侵害により避難を余儀なくされた人が増加し、その多くが特に低中所得国で長期間にわたって不安定な生活を強いられる中、より多角的で、イノベーションに富んだ、新たなアプローチが求められています。パスウェイズ・ジャパンは難民や避難民を教育を通じて日本に受け入れる「新しい道筋」(=パスウェイズ)を作ることに取り組んできました。この度、6月20日の世界難民の日に寄せて、日本で学ぶ難民・避難民の若者の姿をより多くの方に知っていただきたいという思いから、6月1日から30日までキャンペーン「#日本で学び希望をつなぐ #Pathways for Learning and Hope」を開催します。

約200名の難民・避難民を日本で受け入れ
パスウェイズ・ジャパンの団体名には、国外から日本への道筋、そして難民となる経験を経た若者たちの未来への道筋という2つの意味が込められています。これまで紛争や政変が起き難民の状況となったシリア、アフガニスタン、ウクライナの若者を日本で受け入れ、2017年の事業開始以来、その数は約200名に上ります。
パスウェイズ・ジャパンでは、来日前から来日後まで、難民・避難民の若者が日本でキャリアを築いていけるよう、一貫した支援を行なっています。日本で受け入れられた若者は、進学・就職に必要な日本語力を習得するとともに、アルバイトや地域のコミュニティ活動、様々な学習の機会を活用し、スキルを伸ばし、日本での未来を切り拓いていっています。
これまで日本に受け入れた205名(帯同家族含む)のうち、113名がプログラムを卒業し、うち34名は進学、また日本での就業を希望した55名の内約76%が就職またはフリーランスとして活躍しています。人財不足に直面している日本社会にとって、様々な困難を乗り越え、多様な経験・スキルを持った難民・避難民の若者は、新しい人財との出会いにもなっています。
卒業生の進路(合計113名、2025年4月時点)
就業35名
就職活動(パートタイム就業中)13名
フリーランス7名
大学院博士課程進学1名
大学院修士課程進学9名
大学学部進学13名
大学非正規課程進学(研究生等)3名
専門学校進学8名
進学準備中(パートタイム就業中)3名
第三国に移住4名
本国に帰国16名
その他1名
来日時受け入れ日本語学校・大学に在学中:92名
また、「渡邉利三国際奨学金」の提供を通じて、日本に逃れたり帰国が困難となったりした若者の高等教育への進学を年間約20名支援しています。個々の置かれた状況は異なりますが、祖国の内戦や紛争、抑圧等の困難な経験を経ても学ぶ気持ちを持ち続けており、将来、それぞれの分野で日本社会に、そして祖国と国際社会に貢献しようとの強い意志と高い目標をもって学業に励んでいます。
*「渡邉利三国際奨学金」の詳細はこちらをご覧ください
日本で学び希望をつなぐ若者たち
2017年の事業開始から約9年を経て、先輩学生が後輩学生にアドバイスするコミュニティも生まれてきています。今回は、5月に就活に取り組む学生を対象に行った「就活説明会」で話した2名の先輩の話を紹介します。
アブダッラさん(シリア出身)
シリアでの内戦勃発後、イエメン、サウジアラビア、トルコと複数の国に逃れた後、2019年に19歳で来日しました。日本語学校で2年間学んだ後、大学に進学し、情報電子工学を専攻、この4月より都内のIT企業で働いています。

「就職活動では、自己分析がとても重要になりました。ただ採用されることをゴールにするのではなく、自己分析をした上で、自分に合う企業を見つけることが大切です。企業をリサーチするところから始め、自分自身の過去・今・未来を考えながら進めていきました。
企業によって選考プロセスは異なり、SPI試験など日本語が母語ではない外国人にとっては難しい試験もありますが、選考が通らない時は自分に合わなかったと考え、次に進むようにしました。企業理念やミッションを見て、自分の価値観に合う企業を探し、自分に本当に合う会社を見つけるために多くの企業に応募しました。
自ら主体的に企業を選んでいくというマインドセットで臨みました。限られた時間で準備するのもスキルの1つで、学び続ける姿勢が重要だと思います。
働き初めて約2ヶ月になりますが、想像していたよりも仕事はとても楽しく、働く環境もとても恵まれていると感じます。」
ダリナさん(ウクライナ出身)
ロシアのウクライナ侵攻により、2022年に来日し、日本の大学院に入学。卒業後、昨年より政府機関でウクライナ関連の仕事をしています。

「ロシア侵攻により来日したため、今後のことは状況を見て考えようと思っていました。結果として日本に長くいることになり、就活することになりました。
日本では、日本語力が求められ、私自身も職場で日本語を使っています。大変に感じる時もありますが、職場の人は優しく接してくれています。
就活に臨むため、パスウェイズ・ジャパンのイベントやブルームバーグと協力した就活メンターシップのほか、様々なイベントに積極的に参加し、知識を深めるとともに、コネクションを広げていきました。
多くの企業に応募する場合もありますが、私の場合は、「量より質」と考え、自分のスキルにマッチした企業を探すようにしました。結果、ボランティア活動に一緒に参加していた友人からインターンシップの機会を紹介してもらい、それが今の仕事にもつながっています。当初は、日本の就活プロセスに合わないと感じていましたが、ボランティアやイベント等に恐れずに参加することで、機会をつかむことができました。」
このように母国での紛争や政変から難民の状況となり、日本で受け入れた若者は、日本で日本語や専門分野の学びを深めるとともに、アルバイトや地域のコミュニティ活動を通じて日本社会とのつながりを広げ、未来への道を拓いていっています。
日本で学び希望をつなぐ道(Pathways)を広げるために
今回のキャンペーンでは、6月中、ソーシャルメディアで、シリア、アフガニスタン、ウクライナから日本に受け入れた学生や、「渡邉利三国際奨学金」を通じて大学・大学院で学ぶ奨学生からのメッセージを発信していきます。
より多くの方に難民・避難民の若者の姿を知っていただけるよう、ぜひ皆さんが感じたことと一緒に、#世界難民の日 #日本で学び希望をつなぐ をつけてSNSでシェアして、キャンペーンにご参加ください。
パスウェイズ・ジャパンでは、今後も、故郷を追われ学ぶ機会を求める難民・避難民の受け入れを日本で広げていくために、パートナーの教育機関や企業・団体、支援者の皆様と協力して取り組んでいきます。また、今回のキャンペーンのように、日本社会において、難民・避難民の受け入れと高等教育への理解が広がるよう、活動を展開していきます。
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