「まちを、湯で編みなおす」 —— 台湾・北投と山口・長門湯本が出会うとき

2025年6月6日(金)から6月19日(木)まで、「北投温泉博物館」は「ようこそ台湾・北投 in 長門湯本」をテーマにして、海を越えて山口県長門市を訪れます。長門市は、約600年の歴史を誇る山口県最古の温泉郷です。地域の発展過程に共通点を持つ北投と長門湯本が、温泉を架け橋として、台湾と日本の交流を目的とした特別展を開催します。長門湯本は2017年から地域再生プロジェクトを始動し、古い温泉街に新たな命を吹き込みました。この改造計画の成功により、2020年には「地方創生大賞」を受賞し、2023年には「日本温泉百選」のトップ30にランクインしています。


今回の「ようこそ台湾・北投 in 長門湯本」の展示は、日本百名湯にも選ばれた地元の有名な公共温泉「恩湯(Onto)」と築50年の古民家をリノベーションした新たな交流空間「まちの番台(MACHI NO BANDAI)」を会場に、北投の独特な歴史、文化的エネルギー、自然が持つ癒やしの力を紹介します。

展示は「北投の家紋」から始まり、北投の重要な芸術文化施設、自然景観、地域文化を通して、北投を感じる旅へといざないます。今年は土地の記憶を「触れて使えるかたち」へと転化するため、台湾と日本の4名のデザイナー(聴勧九個N、香蘭男子電棒燙、亮亮天天画画、杉の下意匠室)による、「銭湯」と「温泉文化」をテーマにした手ぬぐいを共同制作しました。さらに、北投の多様な現代生活を表現するため、台湾のアーティスト・聴勧九個Nによる、コラージュやデジタルペインティングを用いた北投を再解釈する作品も展示し、北投の日常に対するより深い共感やつながりを呼び起こす内容となっています。
会場には北投温泉で採取された「湯の花」、地元の長生堂薬房が独自に調合した漢方、季節に合わせた端午節の匂い袋など、「北投温泉博物館」が所蔵する展示品も並び、香りを通して北投の地熱の動脈と癒やしをお届けします。また、「北投公共浴場」をメインに編集された雑誌『浸北投』も展示され、歴史・風土・温泉文化から、北投が持つ多層的な姿と唯一無二の「北投の味」を感じていただけます。


今回の交流のもう一つの目玉は、6月7日(土)に開催されたイベント「まちを、湯で編みなおす—北投温泉 × 長門湯本温泉」です。北投温泉博物館の館長・鍾兆佳氏と長門湯守株式会社の共同代表・大谷和弘氏が温泉と公共浴場文化に焦点を当てたトークを展開し、それぞれの都市再生の経験について語り合いました。今回の「ようこそ台湾・北投」は、北投の暮らしのリズムと文化の温度に触れることができる貴重な機会となっています。



北投温泉博物館と長門湯本温泉は、まるで遠くから互いを見守るような存在です。どちらも豊かな温泉の歴史と文化を受け継ぎ、近年は進化と再生を遂げ、地域文化伝承の模範となっています。北投温泉博物館は、かつて荒廃していた公共浴場であったものが、北投小学校の教職員と児童、住民たちによる保存運動により、文化遺産として蘇りました。一方、600年以上の歴史を持つ長門湯本温泉は、近年は「湯の町の再生」というコンセプトのもと、建築と芸術を取り入れて温泉街復活に取り組み、伝統と現代が融合した設計により、「地方創生大賞」の栄冠に輝きました。北投と長門湯本は温泉という景観の中で、歴史の伝承と現代の発展という共存・共栄を実現し、それぞれのペースで土地の癒やしと文化が共鳴する日常の風景を描き出しています。


[展示会情報]
名称:ようこそ台湾・北投 in 長門湯本
期間:2025年6月6日(金)〜6月19日(木)
場所:長門湯本温泉 恩湯、まちの番台(MACHI NO BANDAI)
住所:山口県長門市深川湯本2265、山口県長門市深川湯本2270-5
[講演情報]
時間:2025年6月7日(土)16:00〜17:00
テーマ:まちを、湯で編みなおす。北投温泉(台湾) × 長門湯本温泉
講演者:北投温泉博物館 館長 鍾兆佳、長門湯守株式会社 共同代表 大谷和弘
場所:長門湯本温泉 恩湯広場
住所:山口県長門市深川湯本2264
※日本語で発表し
※参加費:無料(先着20名様に、台湾から手土産を贈ります)
主催:北投温泉博物館
協力:長門湯守株式会社、長門湯本温泉まち株式会社、SOIL Nagatoyumoto
企画:初耳 / hatsumimi
北投溫泉博物館
台北市北投區中山路2號
hotspringmuseum.taipei
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長門湯本溫泉
yumotoonsen.com/
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