【山形・米沢】校舎に泊まれる宿「米沢みさわ小学校|とここと」が2026年 度グッドデザイン賞を受賞。米沢市三沢地区の人口に迫るほどの人が訪れ、地域資源をつなぐハブに
受賞を節目に、ゼロからの起業でかつての校舎を宿にした歩みと、この冬・来春の取り組みをお伝えします。「ダメ元」のご相談も歓迎です

山形県米沢市の「米沢みさわ小学校|とここと」は、旧三沢東部小学校を活用した宿泊・地域体験施設です。2025年7月の開業から1年3か月を迎え、このたび2026年度グッドデザイン賞を受賞しました。開業初年度には、三沢地区の人口1,157人(※1)に迫るほどの、延べ約1,000名が訪れました。泊まった人は、米沢・置賜の織元や温泉、農家、酒蔵にも足を運んでいます。
運営は、校長(CEO)の谷山紀佳が率いる、一般社団法人 米沢みさわ小学校です。
受賞したのは、私たちの取り組みである「自走型廃校再生×地域滞在×共創モデル」(カテゴリー:地域の取り組み・活動)です。

■ 2026年度 グッドデザイン賞 審査委員による受賞コメント
施設名でもあるように、施設と体験をパッケージ化し、選択可能にし、地域との関係の入り口にするその手法が評価された。 また、その手法が、手法にとどまらず、内容のあるものになっていることが、本取り組みの評価につながっている。廃校を残すことを目的ととらえず、使って活かすことを軸においた本活動の中心が若者であることは、地域にとっても希望であり、また多くの地域の大人が関わっていることも、地域の魅力の表出といえる。
今回は、この受賞を節目に、これまでの歩みと、この冬・来春の動きをご報告します。
学校跡地の新たな使い道を、私たちは「ゼロからの起業」でつくりました
文部科学省の調査では、2004〜2023年度に全国で8,850校が閉校し、施設が残る学校の約4分の1は使われていません(※2)。
米沢市では、財源不足などを補う2つの基金の残高が、2023年度末の約50.7億円から2025年度末の約42.5億円へ減少しました。直近では、市が見込む実質単年度収支の黒字化も、2028年度から2032年度へと4年先に延び、収支改善の見通しは遠のいてしまいました(※3)。
こうした状況のなか、学校跡地の活用では、行政の追加支出に頼らず、民間が改修や運営の資金を集め、地域の魅力で人を呼び込み、事業の収益で続けられる仕組みをつくる。それが、私たちの挑戦です。

開業までの経緯、学校跡地の活用への思いを語ったインタビュー動画を、本リリースの末尾で紹介しています。その対話のなかで、発起人の一人である伊藤夢人さんは、学校跡地の活用の難しさと、自走する仕組みづくりについて次のように語っています。
学校跡地の活用は実はとても難しく、大きな費用がかかります。学校は宿として使うには建物が大きく、その分お金もかかる。その負担を民間が引き受け、市が校舎を貸す。そこで、どう自走する仕組みをつくるかを考えてきました。この1年半で、その仕組みがかなり形になりました。全国や世界に発信できる、米沢市の地域資源になりつつあると感じています。
私たちが選んだのは、前例の少ない「ゼロからの起業」です。学校跡地を活用する事業を立ち上げ、地域の皆さんと一緒に宿へと生まれ変わらせました。改修を支えてくださったのは、フィリップ モリス ジャパン合同会社からのご寄付と、クラウドファンディングで応援してくださった皆さんです。運営は、補助金や母体となる事業の収益を前提にせず、自分たちの手で回しています。
毎日が試行錯誤ですが、この挑戦が、同じように学校跡地の使い道を模索するほかの地域のヒントになればと考えています。




宿を、埋もれた地域資源への入口に
宿泊だけで収益を上げ続けるのは、簡単ではありません。そこで私たちが目を向けたのが、米沢・置賜にたくさんありながら、まだ十分に知られていない地域資源です。泊まりに来た人が地域の作り手に出会い、そこにお金が落ちる。宿がその入口になることこそ、学校から生まれた宿の役目だと考えています。
開業から1年3か月、地域内の事業者との連携や実績を着実に積み上げています。
■ 小野川温泉

■ 食と農
- 若手の移住農家 岡義将さん(りんご収穫/パフェづくり教室)
- 佐藤畜産(米沢牛のBBQ/すき焼き)
- 酒蔵「東光」の小嶋総本店(日本酒/イベント)
- 農園 成(アスパラ収穫体験)
- 鈴木精一さん(さくらんぼ農家体験)
- カクリキ味噌(朝食メニュー)
- 新杵屋(牛肉どまん中 駅弁づくりワークショップ)

■ 学び

■ 観光・まちづくり
- プラットヨネザワ(株)(観光PJやイベントの共同実施)
- 米沢まちづくりラボ・(株)つなぐ(事務局/運営)
- 山形まちづくり大学(事務局/運営)
- 株式会社網代建設(施工/DIY廃材提供)
- 黒澤建築設計事務所(ベッドデザイン/設計/用途変更)
- 天元台高原スキー場(スキー場 割引特典)
- 三沢コミュニティセンター(体育館の予約管理)

■ 県外
- 産業能率大学 経営学部 (鷹山堂×3泊4日ビジコン合宿)
- フィリップ モリス ジャパン合同会社(設備導入の支援/寄付)

開業からの1年3か月
■ 米沢みさわ小学校|とここと を支える皆さま
地域の合意形成から開業、運営体制の確立まで、ともに歩んでくださったのが、この校舎 旧三沢東部小学校を卒業した / 子どもを送り出した三沢地区・小野川温泉街の発起人(役員)の皆さまです。
思い入れのある母校・地域の学校を、再び人を呼ぶ場所に再編集するべく、宿泊事業の運営助言から地域連携の地盤までを支えていただいています。

そして、副業として関わる各分野の専門人材20名超が、本業では得られない挑戦と共感を原動力に、全国から参画しています。
専門人材にとって、地域に関わり、学校跡地を活かし、民間の立場で事業をつくること自体が面白い挑戦なのです。

■ 運営を一緒に支える、AIの仲間「ミニ校長」
校長の谷山紀佳が開発を主導した独自AIエージェント「ミニ校長」。自動化や予約管理などを担い、メンバーがおもてなしや新しいくわだて、地域/宿の魅力発信に専念できる時間を生み出しています。
空室/予約管理システムも、ミニ校長との連携を前提に自分たちで開発。地域の情報を届けるメールマガジンなど、必要な機能を自由に加えています。

■ ミニ校長のお仕事(一部だけご紹介)
- 見える化:売上や稼働率をまとめ、宿の状況をひと目でわかるようにする。
- 書記:会議中、リアルタイムでホワイトボードに書きまとめ、Todo提案する。
- 経理/勤怠:請求書・領収書や勤務時間を整理・集計して自動記帳する。
- 広告改善:反応を振り返り、次に届ける相手や内容を考えて自動更新する。
- 写真/動画:素材を見て名前やタグを付け、使いたい素材を探しやすくする。
- 仕事管理:「この件はどうなりましたか?」と聞き、返事を記録する。
- 不調点検:リンク切れやデータの食い違い、自動処理の停止を見つける。
■ 数字で見る「米沢みさわ小学校|とここと」
- 来訪者:開業初年度(2025年7月〜2026年2月の約8か月)に延べ約1,000名。三沢地区の人口1,157人(※1)に迫る人数です
- 利用の中心:大学のゼミ・部活動・サークルの合宿、家族連れ、企業の研修・視察。初年度は、約2割が海外からのお客さまでした
- 集客:予約の約8割が、自社の公式サイト・お問い合わせから
- 経営:2025年11月に初めて単月で黒字になり、初年度を黒字で終えました
- 開業前の資金:企業からのご寄付1,200万円と、クラウドファンディング239万円(189名)
- 運営体制:地域に根ざした役員と、全国から副業で関わる20名超の専門人材
■ これまでの歩み
2023年3月:旧三沢東部小学校が、創立100周年の年に閉校
2023年7月:世界各国の子どもたちが米沢で1か月を過ごす「国際キャンプ」が、教室を研修所として利用
2023年11月:三沢地区が米沢市へ、学校跡地の活用を求める要望書を提出
2024年4月:一般社団法人 米沢みさわ小学校を設立
2024年7月:企業からのご寄付で2段ベッドとシャワーを整備。国際キャンプが校舎に1か月宿泊
2025年2月:クラウドファンディングを達成(189名から239万円、目標の159%)
2025年7月:米沢市から校舎を借り受け、宿泊・地域体験施設として開業
2026年10月:2026年度グッドデザイン賞を受賞
団体合宿のご要望から、学校ならではの「学び」へ
校舎をまるごと貸し切れるため、私たちのもとには団体合宿のご相談を多数いただいております。大人数でにぎやかに過ごせ、思い切り体を動かせる環境が好評を博し、おかげさまで週末はほぼ予約で埋まるようになりました。
さらなる事業の発展に向けて、いまは平日の利用を広げようとしています。そこで力を入れているのが、地域の現場で学び、教室で考えを深める研修やワークショップです。2026年9月には、産業能率大学 経営学部の学生36名が、3泊4日のビジネスコンテスト合宿に参加しました。
このプログラムは、関西最大級オープンファクトリー「FactorISM」の松尾泰貴氏を招いた特別講義「ものづくり×まちづくり」に始まり、米沢織の織元・山口織物鷹山堂の企業課題をテーマに、工房見学や「360°よねざわオープンファクトリー」、まち歩きで地域を知り、教室やラウンジで議論しました。最終日には、7班が提案を発表しました。




また、班ごとの対話と振り返りには、私たちが独自に開発したワークショップツール「とここと録音帳」を活用しました。本ツールは研修やワークショップを企画される方にもオプションとして提供しており、まちづくりのシンポジウムなどの活用事例も増えています。
■ ワークショップツール「とここと録音帳」
「とここと録音帳」は、話し合いの録音からAIが書き起こし・分析を行い、レポートを作成するツールです。議論の積み重ねや、意思決定までの過程、そこから生まれた問いを振り返りに活かせます。最終発表の内容だけでなく、そこにたどり着くまでの対話のプロセスも、貴重な資産として蓄積できます。
「ダメ元」のご相談から生まれる企画
振り返ると、これまでの企画には共通点があります。「さすがに難しいですよね」というご相談に、校舎をまるごと使える自由さと、地域の作り手との顔の見える関係で、私たちなりに応えてきたことです。
研修、合宿、イベント、商品づくり。「こんなことはできますか」という思いつきがあれば、ダメ元でご相談ください。地域の作り手の皆さんと一緒に、私たちが実現の方法を考えます。
また、これまでに当施設で宿泊・体験・学習された多様な滞在事例をまとめた「とここと事例紹介」ページを新設しました。ぜひ参考にしてください。

この冬はスキー合宿、来春は地域の作り手と新しい企画を
三沢地区は、米沢のなかでも特に雪の多い地域です。この冬は、ゼミやサークル、部活動など、さまざまな団体からスキー合宿のご予約やお問い合わせが続々と届いています。昨冬に続いて天元台高原スキー場と連携し、宿泊する方にはリフト・ロープウェイとレンタル用品の割引をご用意しました。割引の内容は、宿泊プランの詳細をご覧ください。
雪解けのあとに向けては、織元や温泉街、農家、酒蔵など、地域の作り手の皆さんと組んだイベントや企画を準備しています。ほかにも、私たちが温めている面白い企画がたくさんあります。内容が固まったものから順にSNSやHP等でお知らせしてまいります。

開業までの経緯や廃校活用への思いを語ったインタビュー動画
発起人と校長が、かつての校舎を宿に変えてきた歩みと、自走する運営の仕組みづくりを語ります。
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■ 受賞の概要
受賞対象:自走型廃校再生×地域滞在×共創モデル[米沢みさわ小学校|とここと]
賞:2026年度グッドデザイン賞
カテゴリー:地域の取り組み・活動
受賞者:一般社団法人 米沢みさわ小学校
デザイナー:一般社団法人 米沢みさわ小学校(谷山紀佳、井上志音、木内麗奈、草薙幸乃、小田岳叶)、株式会社網代建設(網代修)、黒澤建築設計事務所(黒澤祐介)
■ 施設概要
名称:米沢みさわ小学校|とここと
所在地:〒992-0077 山形県米沢市大字簗沢3401(旧三沢東部小学校)
客室:3室(合計で最大36名)。校舎の貸切にも対応
開業:2025年7月
■ 会社概要
名称:一般社団法人 米沢みさわ小学校
所在地:〒992-0077 山形県米沢市大字簗沢3401
代表理事:谷山紀佳(校長・CEO)、遠藤泰久(共同代表)
設立:2024年4月
事業内容:学校の校舎を活用した宿泊施設の運営、地域体験・研修合宿の企画運営
■ 本件に関するお問い合わせ
一般社団法人 米沢みさわ小学校 担当:谷山
メール:contact@misawa-tokokoto.com
電話:070-1188-2834
出典
※1 米沢市「米沢市の統計 2024」地区別人口(令和2年国勢調査)
※2 文部科学省「令和6年度 廃校施設活用状況実態調査」(2025年3月31日公表)https://www.mext.go.jp/content/20250331-mxt_sisetujo-000012748_9.pdf
※3 米沢市「米沢市の財政状況 令和7年度決算」、「今後の財政見通し(令和8年3月)」。本文の2つの基金は、財政調整基金と公共施設等整備基金の合計です。
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