JISDA、軽量・低コストな発泡樹脂製固定翼ドローンの目視外飛行(BVLOS)に成功
運用・メンテナンスの容易性と、設計を細かく更新・改良し続けられる開発を重視した実装特化モデル
JISDA株式会社(Japan Integrated Security Design Agency/日本技術安全保障戦略機構、東京都千代田区、代表取締役:國井翔太、以下「JISDA」)は、2026年3月、無人アセットコンソーシアム「RISE(Resilient Initiative for Unmanned Systems Engineering)」による取り組みの一環として、発泡素材(EPO)を主要構造材とする軽量・低コストの固定翼ドローン「ACM-00 “Kabura”」の目視外飛行(BVLOS: Beyond Visual Line of Sight)を国外試験場で実施し、飛行試験を成功させました。RISEは、防衛・技術安全保障の観点から無人アセットの研究開発・製造・運用・後方支援を横断的に推進する産学官連携の枠組みとして、JISDAが2026年3月に設立したコンソーシアムです。
参考: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000179032.html

■「長く使う」より「すばやく改良する」ためのドローン設計
固定翼ドローンの現場導入では、高価な機体を長期間使い続ける設計思想だけが正解ではありません。実運用における条件は、地形・天候・電波環境・安全性・運用手順・搭載物の組み合わせによって頻繁に変わり、当初仕様が最適解から外れていくことも珍しくありません。JISDAは、そうした変化への対処を運用側に押し付けるのではなく、設計と手順そのものを細かく更新し、改良を積み重ねて最適化していくことを重視してきました。消耗や破損を前提に、入れ替えや再構成がしやすいドローンを用意し、運用のフィードバックを素早く次の仕様へ反映していく。今回のBVLOS試験は、こうした前提に立った開発運用が現実の試験環境でも成立することを示す成果です。
■改良しやすく軽量な発泡素材の機体
今回開発・実証した固定翼無人機は、主要構造材にEPO(発泡ポリオレフィン)を採用し、軽量(約500g)で取り扱いやすい機体を実現しています。発泡素材は、損傷時の補修や部材交換が比較的容易で、現場での復旧を前提にした運用と相性が良い素材です。さらに部品は入手性の高い汎用品を前提にし、特定部材の供給不安や専用品依存によって運用が止まるリスクを抑える考え方を採用しています。離陸は手投げまたはカタパルトを想定し、滑走路や大型設備を必要としない形となっています。こうした「運用側の負担を減らす設計」が、頻繁な改良や仕様更新を現場に近い場所で回す土台になります。
■初学者でも半日で組み立て可能、現場の学びを次の機体に反映
現場でのアップデートや改良を前提にする以上、組み立てに高い技能や長い時間を要求する設計は、運用の足かせになります。そこでJISDAは、全く経験のない初学者がはんだ付けから始めて半日程度で組み立て可能な工程設計を採用しました。今回の実証は、その組み立ての段階も含めた検証となっています。
今回の実証ではモジュラーな設計で配線や部材配置を整理し、点検・交換・再組立の手順を標準化しやすい構成とすることで、運用の中で得られた改善点を、次のロットや次の構成へ細かく反映できることを重視しています。現場で発生しがちな「直したいが手順が複雑」「交換部材が特定できない」「設定変更に時間がかかる」といった詰まりどころを減らし、運用者と開発側がコミュニケーションを取りながら、仕様の微調整を繰り返せる状態をつくることが、本機体の狙いです。
■GPS搭載とジャミング耐性を考慮し、厳しい運用条件を想定
本ドローンはGPSを搭載し、運用に必要なナビゲーション機能を備えています。さらに、防災・防衛用途における不安定な通信を考慮した設計としています。目視外飛行により広域で運用する際、常に良好な受信環境が得られるとは限らず、ノイズ源や地形の影響、運用地域の条件によって、測位や通信の前提が揺らぐ場面も想定されます。JISDAは、こうした現場の制約を十分に想定して設計することが重要だと捉え、基本機能を実装した上で、運用で見えてくる課題に対しても細かな改良で追従できることを重視しています。今回の試験は、その前提に立った機体・運用設計を国外の恵まれた試験環境で日本の法的な制約にとらわれず確認する機会でもあり、今後の国内環境向け最適化に向けた知見の獲得にもつながっています。
■原価10万円台というコスト効率の高さ
必要に応じて構成を入れ替え、更新し、最適化していくアプローチでは、1機あたりのコストが安価であることが重要になります。今回の実証では国外の部素材を用いて原価約10万円程度で構築可能であることが証明されました。これは国内で量産設備が整えば同様のコストで実装可能であることの裏付けとなります。軽量・低コストであることは、導入のハードルを下げるだけではありません。改良を反映した機体を追加投入しやすくし、運用で得た知見を次の設計へ移すスピードを押し上げます。
JISDAが主導するRISEコンソーシアムでは本成果を踏まえ、国内で量産体制を整えるためのサプライチェーン構築を進めます。品質や供給の継続性の観点から、国内で安定的に確保できる部材への置き換えや、組立・検査工程の整備、品質保証の仕組みづくりを推進します。あわせて、日本の電波法環境およびユースケースに合わせた改良を実施し、通信・運用設計の最適化、用途別の機能拡張、安全対策とフェイルセーフ設計の強化を進めてまいります。現場からのフィードバックを取り込みながら設計を細かく更新していく開発運用を継続し、現場で求められる実用性と導入しやすさの両立をさらに高い水準で実現していきます。
■JISDA代表取締役・國井翔太 コメント
日本のものづくりは、品質を突き詰めて「良いものを時間をかけて作る」ことで競争力を築いてきました。一方で、ハードとソフトの境界が曖昧になり、ハードウェアがコモディティ化した現在の局面では、本質的な価値は製品単体の性能だけでなく更新の速さや量産と供給の確実性に移っていきます。これからのエンジニアリングでは、安く早く量産できる状態を最初に作ることが、むしろ出発点になると考えています。
そのためには、アジャイルに学習し続けるための設計が必要です。モジュラー化されたアーキテクチャでコンポーネント単位に更新できる前提を置き、運用から得た知見を細かく反映していく。スペックを一回で最適化しようとするより、ユースケースに合わせてユーザーと対話しながら仕様を微調整し続ける方が、結果として強いシステムになります。今回のように安価で、初学者でも組み立てやすい設計は、その更新サイクルを回すための土台となります。
今回の実証は、国外パートナーとの連携により、RISEコンソーシアムとして実績を形にできた最初の取り組みでもあります。短い期間で検討から実証まで到達できたのは、開発を高速化するための枠組みが機能した結果だと捉えています。この成果を最初のマイルストーンとして位置づけつつ、今後も早いペースで実証を繰り返し、運用知見と技術要素の接続を強めていきます。
■JISDA株式会社について
JISDA株式会社は、2025年11月に設立された、安全保障分野における高度な研究開発およびインテグレーションを行うスタートアップ企業。国内外の運用現場に関する情報収集を通じて、技術シーズと防衛ニーズを統合的に追求する体制を有する。試作から量産に至る技術的基盤を自社内に保持するとともに、現場部隊の運用知見および中央省庁における制度設計・政策形成に関する理解を持っている。自由で開かれた市場を尊重する主体として、民間の立場から次世代の安全保障スタンダードを日本から発信することを目指す。
■RISEコンソーシアム新規参画企業及びスポンサー募集
RISEは、参画主体を今後も拡大し、業界の垣根を超えた連携を強化してまいります。参画・協業・スポンサーシップに関心のある企業・団体の方は、下記問い合わせ先までご連絡ください。
Email: info@rise.jisda.jp
(なお先週のリリースで、一部のメールが届かない不具合がございました。お手数ですが、担当者からの返信がない場合、もう一度お問い合わせをいただけますと幸いです。)
【本件に関するお問い合わせ先】
社名:JISDA株式会社
所在地:〒100-0005 東京都千代田区丸の内1丁目7-12 サピアタワー8F
代表者:代表取締役社長 國井翔太
E-mail: info@rise.jisda.jp
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