“作るだけでは続かない”農業を変える。和歌山の夫婦農家が、加工品とECで広げる小規模農家の可能性
農林水産省「令和7年度 食料・農業・農村白書」掲載事例。都市部で育った夫婦が、農業未経験から和歌山の農園を継ぎ、果物を育て、加工し、全国へ届ける農業に挑戦。
和歌山県紀美野町で柑橘類を中心に果樹栽培と加工品開発を行う「きみのフルーツ」(代表:吉瀬雄也)の取り組みが、このたび農林水産省「令和7年度 食料・農業・農村白書」において、地域の果物に新たな価値を加える小規模農家の事例として紹介されました。

食料・農業・農村白書は、農林水産省が日本の食料・農業・農村をめぐる動向や施策、全国各地の事例を取りまとめる政府の公式報告書です。
白書では、きみのフルーツの取り組みが、果物を育てるだけでなく、加工品として新たな価値を加え、全国へ届ける小規模農家の事例として掲載されています。
全国的に農業の担い手不足や耕作放棄地の増加、小規模農家の経営継続が課題となる中、きみのフルーツでは青果販売だけに頼らず、加工品開発やEC販売、百貨店催事への出店などを通じて、地域で育つ果物の価値を高め、安定した販路づくりに取り組んできました。
代表の吉瀬雄也は大阪生まれ大阪育ち。東京大学卒業後、民間企業勤務を経て、母方の実家がある和歌山県紀美野町で農業を継承しました。妻のりえは東京生まれ東京育ち。気象キャスターとして活動した後、現在は商品開発、情報発信、EC販売などを担当しています。
都市部で育ち、それぞれ異なる分野で働いてきた経験は、農業を「作る」だけで終わらせず、商品としてどう価値を伝え、どう届けるかを考える現在の取り組みにも生かされています。

夫婦が和歌山へ移り住んだ当初は、農業の知識も経験もなく、子育てをしながら農園経営を軌道に乗せるまで試行錯誤の日々でした。そうした中で、自社栽培の果物を活かした加工品づくりを始め、ハッサクジュースやジャム、ドライフルーツ、果実を使った菓子類などへ商品展開を広げてきました。
加工品づくりの一例が、ハッサクの皮を活用した商品展開です。
きみのフルーツでは、自社栽培のハッサクを1本180mlに約6個分使用した、贅沢な100%ストレートジュースを商品化しています。搾汁後に残る皮は、通常であれば廃棄されることも多い部分ですが、香りやほろ苦さといった果実の個性が残る魅力的な素材でもあります。
そこで、皮を丁寧に下処理し、時間をかけて砂糖漬けにすることでコンフィとして再活用。ドライフルーツや菓子類、生チョコなどへ展開しています。
果肉、果汁、果皮、それぞれの特徴を見極めながら商品化することで、地域の果物に新たな価値を加えています。

現在は、夫が畑を管理し、ハッサクやみかん、梅、柿、ぶどうなどの果樹を育て、妻がそれぞれの果実の特徴を研究し、加工品の開発、情報発信、EC販売を担っています。
「作る」だけでなく、「加工する」「伝える」「届ける」までを夫婦で一貫して行うことで、地方の小さな農園でも価値を生み出せる農業のかたちを模索しています。
白書では、夫婦による経営体制、加工品開発への挑戦、EC販売による販路拡大、地域資源を活かした商品づくりなどが紹介されています。
掲載箇所:農林水産省「令和7年度 食料・農業・農村白書」第2章第2節 P95
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r7/index.html

【代表コメント】
「農業は、作るだけでは続けていくことが難しい時代になっていると感じています。私たちは農業経験のないところからのスタートでしたが、栽培だけでなく、加工や販売、情報発信にも取り組むことで、和歌山の果物の魅力を全国へ届けたいと考えてきました。
農家が加工品をつくる意味は、畑で見てきた果物の個性や、育つ過程、その背景まで含めて商品に込められることにあると思っています。畑で育った果物にもう一度手をかけ、作り手としてその価値を伝えていくことは、小さな農園が農業を続けていくための大切な方法の一つです。
今回、農林水産省の白書に掲載いただいたことを励みに、地域農業の未来につながる取り組みを続けていきたいです。」
【事業者概要】
きみのフルーツ
代表:吉瀬雄也
所在地:和歌山県紀美野町
事業内容:果樹栽培、加工品製造販売、EC販売
主な栽培品目:ハッサク、みかん、梅、柿、ぶどう など
加工品ブランド:8℃(ハチド)
公式サイト:https://www.kimino-fruit.com/
Instagram:@kimino_fruit(https://www.instagram.com/kimino_fruit/)
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