障がい者のIT就労に関する実態調査― 求められるのは“専門スキル”より“安定した勤怠”と鍵は「入社後に育つ仕組み」

― 7/1の法定雇用率2.7%改定を前に、当社提携先の就労移行支援員51名が証言。「入口は開いても、その先のキャリアがない」という構造課題が浮き彫りに

株式会社アストン

「DX×人材」総合アウトソーシングを展開する株式会社アストン(本社:埼玉県さいたま市、代表取締役CEO:上西 龍)は、障がい者(利用者)と企業を結びつける雇用支援の最前線に立つ、就労移行支援事業所で働く支援員51名を対象に、障がい者のIT就労について障がい者側・企業側それぞれの要望・実態を尋ねるアンケート調査を実施しました。

その結果、企業が最も求めるのは「継続的・安定した勤怠(毎日きちんと働き続けられること)」であり、次いで自己理解や報告・連絡・相談など、安定して働くための基本でした。一方で、特定の専門スキルは最も重視されていませんでした。ただしこれは必ずしも「簡単な業務しかない」とは限らず、企業側の期待値の低さや、本人がこれまでスキル・経験を積む機会を得にくかったことの表れである可能性も考えられます。2023年には障がい者である労働者の「職業能力の開発・向上に関する措置」が事業主の責務として法律に明記されており、本人がキャリアを積める仕事を用意することが、いまや企業に求められています。そして支援員の方が真に必要だと訴えたのも、入社後に段階的に育つ仕組みと、キャリアの階段でした。

調査の背景

近年、障がい者雇用は大きな転換点を迎えています。2023年には、障がい者である労働者の「職業能力の開発・向上に関する措置」が事業主の責務として障害者雇用促進法(第5条)に明記されました。障がい者雇用は、雇用率の達成だけでなく「雇用の質」――本人がキャリアを積み、活躍できる仕事を用意すること――が問われる段階に入っています。

さらに2026年7月1日には、民間企業の法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられ、対象企業は従業員37.5名以上へと拡大しますが、新たに対応を迫られる中小企業からは「何から始めればよいか分からない」「IT業務は専門的で難しそう」という声が聞かれます。

そこで当社は、障がい者(利用者)と企業を結びつける就職・定着支援を担い、双方の事情を最もよく知る提携先の就労移行支援員(現場の専門職)の声を集約しました。数の多寡ではなく、マッチングの最前線に立つ実務者の判断という質に立脚した“専門家調査”です。

■調査結果サマリー

  • 企業が最も求めるのは「安定した勤怠」でした。専門スキルは最下位です。最重視は継続的・安定した勤怠(平均4.84点)。対して特定の専門スキルは最下位(同1.94点)でした。

  • ただし“スキル不問”は朗報とは限りません。背景には「障がい者には任せやすい仕事を」という企業側の期待値の低さや、本人が経験を積めずにきたキャリア機会の不足がある可能性も考えられます。自由記述でも「ポテンシャルはあるが経験がなく選考に進めない」との声が寄せられました。

  • 現場が本当に求めるのは「入社後に育つ仕組み」です。短期実習の常設、入社後育成を前提とした雇用、キャリアアップの道筋を求める声が多数を占めました。

■主要データ①企業が「障がいのある方に求めている」もの

企業が求める要件の最上位は継続的・安定した勤怠(平均4.84点/5点満点)。次いで自己理解、報連相が続き、特定の専門スキルは平均1.94点で最下位。求められているのは高度な技術ではなく、毎日安定して働き続ける勤怠や、自己理解・報連相といった「仕事の基本」です。

*数値は支援員51名が各項目を5段階で評価した平均点(5=とても重要)。
*数値は支援員51名が各項目を5段階で評価した平均点(5=とても重要)。

■主要データ② 利用者が「就業先に求める」もの

利用者が就業先に最も重視するのは安定した雇用・長く続けられる環境(平均4.65点)。次いで職場の雰囲気、通勤、業務の明確化と続きます。その一方、待遇は6位(平均3.94点)にとどまり、「待遇より、配慮・明確さ・続けやすさ」という傾向が鮮明です。企業が求める「安定した勤怠」と、利用者が求める「安定して続けられる環境」は、同じ方向を向いています

数値は支援員51名が各項目を5段階で評価した平均点(5=とても重要)。

■主要データ③企業と利用者のマッチングで「最も難しい」点

マッチングで最も難しいと感じられているのは、突出して「障がいに対する理解」(平均3.92点)。企業と利用者の相互理解の不足が、最大の障壁です。

*数値は支援員51名が各項目を5段階で評価した平均点(5=とても難しい)

注目すべきは、2位以下が3.1〜3.5点に僅差で並ぶ点です。コミュニケーションの調整、スキルのギャップ、業務の理解、労働条件、待遇――マッチングは単一の理由ではなく、複数の摩擦が同時に重なって難しくなっています。だからこそ、双方の間に立って相互理解と条件のすり合わせを担う“第三者(支援員)の介在”が、定着の成否を分けるのです。

■支援員の声(自由記述より抜粋)

「ポテンシャルはあるが、経験がないために選考に進めないこともある。」

「就労後にスキルを身につけていくような雇用の仕方を増やしてもらえると、チャレンジしやすい。」

「成長機会やキャリアアップの道筋、それに伴う賃金向上が見えることで、働く意欲や定着率が高まる。」

「IT就労と聞くと、経験がないから難しそうと尻込みする訓練生が多い。わかりやすい言葉で業務内容を説明してもらえれば、ハードルは下がる。」

「入社後のミスマッチを防ぐため、短時間・短期間でも職場実習の機会を設けてほしい。」

■考察―「入口」を開き、「その先の階段」を架ける

候補者が求める「配慮・明確さ・継続性」と、企業が求める「勤怠安定・自己理解・報連相」。両者の共通解は“明文化”と“段階化”にあります。スキルへの期待が低いこと自体を是とせず、入口の業務から始め、働きながら段階的に力を伸ばし、キャリアの階段を上れる設計に転換することが、低い期待値と機会不足の悪循環を断つ鍵となります。

※調査結果から導かれる、障害者のIT就労に求められる支援設計

代表取締役CEO 上西 龍 コメント

「今回の調査で最も印象的だったのは、企業も、働く本人も、ともに"長く続けられること(継続)"を求めていたことです。立場は違っても、目指すものは同じでした。そして、その継続を実現する最も近い道は、本人がキャリアを積み、戦力として活躍できるようになることだと、改めて感じています。"簡単な仕事"を用意して終わりにするのではなく、入口の先に成長の階段を用意すること。それが、企業と本人の双方にとって、長く働き続けられる関係につながると考えています。」


【調査概要】 

名称:             障がい者のIT就労と企業との連携に関する実態調査

調査対象:       全国の就労移行支援事業所の支援員(現場の専門職)

有効回答数:    51名(個人単位の回答)

調査期間:       2026年6月2日 〜 6月18日

調査方法:       Webフォームによる回答(重要度を5段階で評価/構成比を併記)

設問:             希望業務分野、重視する条件、企業側ハードル、

                      企業が求める要件、マッチング難所、自由記述(全6問)

留意点:    支援員視点の回答であり、企業・本人の直接回答ではない。

                      専門家パネルによる定性的傾向として参照されたい。

        

【会社概要】 

社名:            株式会社アストン

代表:            代表取締役CEO 上西 龍(じょうにし りゅう)

本社所在地:   埼玉県さいたま市南区根岸3-16-17 神明Ⅲ1F

URL:            https://aston.jp/

設立年:         1998年6月

資本金:         1,000万円

従業員数:      62名(契約社員含む/2025年6月現在)

事業内容:      ITインフラ構築・保守、BPOサービス、人材派遣、業務支援

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業種
情報通信
本社所在地
埼玉県さいたま市南区根岸3-16-17
電話番号
048-866-3399
代表者名
上西 龍(じょうにし りゅう)
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
1998年06月