【開催レポート】42年ぶりの税制改正を機に、食事補助の普及促進へ。「食事補助推進協会」が設立ラウンドテーブルを開催
~「人への投資」としての食事補助の普及を目指し、業界ガイドラインと活動方針を発表~
一般社団法人食事補助推進協会(英語名称:Meal Benefit Association of Japan、以下「MBAJ」)は、2026年10月15日(木)に「『食事補助推進協会』設立ラウンドテーブル」を開催いたしました。
本ラウンドテーブルは、2026年4月1日より施行された「食事補助制度」における所得税非課税限度額拡大(月額3,500円から7,500円への2.1倍引き上げ)という42年ぶりの歴史的な税制改正を機に、食事補助サービスを展開する事業者3社(株式会社エデンレッドジャパン、Gigi株式会社、株式会社ネオマルス)が競合の垣根を越えて手を組み、設立された当協会のミッションと今後の展望を発表したものです。当日はメディア各社を迎え、非課税枠拡大に伴う企業の利用拡大の実態、実務現場での適正利用を促進する「ガイドライン」の策定、そして「人への投資」としての食事補助の役割について意見が交わされました。

◇ 実施の背景 42年ぶりの歴史的改正と、急拡大する市場における「適正運用」への要請
長引く物価高騰と深刻な人手不足は、働く世代の家計と企業の持続的な成長の双方に深刻な影響を与えています。こうした中、2026年4月に実施された食事補助の非課税限度枠の引き上げ(月額3,500円→7,500円)は、実質的な手取りを増やす働く人への支援や人的資本への投資の一環として、企業の関心を集めています。
しかし、これまで日本の食事補助は社員食堂という認識が強く、企業規模や地域によって福利厚生の利用機会に差が存在していました。また、諸外国に比べて普及率が低く(欧米主要国の50〜70%台に対し、日本は14%※1)、非課税制度の認知度も約24.2%※2にとどまっています。

さらに、市場の急拡大に伴い「税務上どのような運用を行えば非課税になるのか」という相談や不安の声も企業から多く寄せられていました。こうした社会的要請を受け、物理的設備を持たない企業でも導入可能な決済型・食事券型サービスを提供する3社が連携し、健全な市場の育成と社会インフラ化を目指して本協会を設立いたしました。
※1:就業人口、食事補助支給者数、食事券支給者数は、Edenred 各国の調査レポートより推計
※2:ビジネスパーソンのランチ実態調査2026
◇日本の食事補助を「社会インフラ」へ。会長 天野より設立趣旨と活動方針を説明
発表会の冒頭、MBAJ会長の天野総太郎(株式会社エデンレッドジャパン 代表取締役社長)が登壇し、食事補助を取り巻く環境変化と協会のビジョン、活動の3本柱について説明しました。
【食事補助を取り巻く「3つの社会変化」と企業の問い】
現在、企業が直面する社会課題として、「物価の上昇」「人手不足の深刻化」「人的資本経営の広がり」の3点を提示しました。物価高によって働く人が食費を切り詰める状況や、人手不足関連倒産が過去最高水準で推移する中、従業員の健康維持と人材の確保・定着を支える施策として、食事補助の重要性を説明しました。

また、会長の天野は「給与のベースアップが重要であることは言うまでもありません。そのうえで、食事補助は日々の食生活を支えることで、企業からの支援を継続的に実感しやすい施策でもあります。働く人の健康やウェルビーイングを支える取り組みとして、人的資本経営の観点からも重要性が高まっています」と述べ、食事補助を単なる福利厚生ではなく、人的資本経営を支える施策として位置づけました。
【改正後の反響:中小企業を中心に商談・契約が急増】
4月の非課税枠拡大以降、会員3社の実績(2026年4月〜8月/前年同期比)では、エデンレッドジャパンが新規契約数210%、Gigiが新規問い合わせ件数168%、ネオマルスが商談件数850%と大幅な伸長を記録※3。利用企業の大半が中小企業であることに触れ、「従来は大企業を中心に普及していた社員食堂型の食事支援に加え、食事券型や地域連携型などの選択肢への理解が広がった結果である」と述べました。
※3:株式会社エデンレッドジャパン、Gigi株式会社、株式会社ネオマルスにおける2026年4月〜8月の実績(前年同期比)
【活動の3本柱と適正利用を促す「ガイドライン」の策定】
MBAJは、「食事補助が、人への投資、そして社会インフラに」をビジョンに掲げ、その実現に向けた「認知向上」「教育」「政策提言」の3つの活動方針を発表しました。
認知向上:セミナーや発信を通じ、42年ぶりの改正を一過性の話題で終わらせず定着を図る。
教育 :労務担当者向けの無償オンライントレーニングツールおよび認定テストを提供。
政策提言:「物価スライド制」の導入検討や適時・適切な上限引き上げを政治・行政へ提言。

さらに、食事補助制度の適正利用を促進するため、実務現場での利用基準を明確化した「ガイドライン」を策定し、会員各社の遵守状況を毎年点検・公表していく方針も示しました。
◇設立3社によるクロストーク:人的資本経営と地方・中小企業における食事補助の真価
続いて、MBAJの設立3社によるクロストークを実施しました。山本祐也専務理事の進行のもと、天野総太郎会長、今井了介副会長、岡田百代副会長が登壇。人的資本経営における食事補助の役割や、地方・中小企業への普及に向けた課題と解決策について、それぞれの事業現場での経験を交えながら意見を交わしました。

【人的資本経営が問われる中、食事補助が果たす役割とは?】
●日常的に利用される福利厚生としての食事補助(副会長 今井了介)
「保養所などの福利厚生は利用機会が限定される場合があります。一方、食事補助は就業日の食事という日常的な場面で活用されるため、多くの従業員がそのメリットを実感しやすい制度です。物価高が続く中、企業による食事支援は、従業員の経済的な負担軽減だけでなく、安心して働ける環境づくりにもつながります。従業員満足度やエンゲージメント向上への寄与が期待される施策です」
●地方・中小企業における人材確保と定着への貢献(副会長 岡田百代)
「地方は都市部と比べると社員食堂を設置できる企業は多くなく、最大の課題は『採用』と『若者の都市部流出』です。物価高は地方でも同様に家計を圧迫しており、街の飲食店を活用した食事補助は、設備投資が難しい地方企業にとって、採用力の向上や人材の定着にも寄与することが期待されています」
●持続的成長を支える働く人の健康とコンディション(会長 天野総太郎)
「中長期的な企業価値の向上を支えるうえで、働く人の健康とコンディションは重要な要素です。物価高による家計負担の増加は、日々の食生活にも影響を及ぼしています。企業が食事を支援し、安心して働ける環境づくりを進めることは、従業員のエンゲージメントや組織活力の向上につながる重要な経営施策であると考えています」
【食事補助がまだ十分に広がっていない背景と解決策】
●固定費化しない「柔軟性」の訴求(副会長 今井了介)
42年にわたり非課税枠が月額3,500円に据え置かれていたことで制度のメリットが見えにくかった点を指摘。「非課税限度額が7,500円に引き上げられたことで、従業員が食事補助のメリットをより実感しやすくなりました。企業にとっては補助額を増やすことで負担も増えますが、給与のベースアップとは異なり、従業員への支援策として、企業の状況に応じて柔軟に運用できる制度設計が可能です。この経済合理性を経営者に伝えることで、導入のハードルを大きく下げることができるのではないでしょうか」

●制度理解の促進と従業員ニーズの顕在化(副会長 岡田百代)
「地方の中小企業では、『税金や福利厚生に関する手続きは複雑』というイメージが根強く残っています。一方で、SNSなどを通じて制度を知った従業員から導入を求める声が上がり、それをきっかけに導入を検討する企業も増えています。制度への理解を深め、現場のニーズと経営層をつなぐことが、さらなる普及を後押しする重要な要素になると考えています」

【目指す未来 - 働く人、企業、地域が共に豊かになる「食の社会インフラ」へ】
セッションの結びとして、協会が目指す社会像が宣言されました。
●経済合理性と地域共生による持続可能な社会インフラ化(副会長 今井了介)
「食事補助は、経済合理性を持って地域経済と従業員の健康をマッチングさせることができる重要な取り組みではないでしょうか。街の飲食店を社員食堂のように利用できる仕組みは、飲食店の売上支援やフードロス削減にもつながります。従業員の食事の選択肢を広げるとともに、飲食店の利用促進にも貢献します。働く人、企業、地域の飲食店それぞれにメリットをもたらす仕組みとして、食事補助を持続可能な『社会インフラ』へと育てていきます」
●地域や企業規模を問わない公平な選択肢の創出(副会長 岡田百代)
「大企業か中小企業か、都市部か地方かを問わず、日本全国どこで働いていても、同じように食事のサポートを受けられる環境を整えることが私たちの使命です。特に、社員食堂の設置が難しい中小企業や地方の事業所でも、地域の飲食店を活用することで、食事補助を身近な制度にしていきたいと考えています。働く人の健康や生活を支えるとともに、企業の人材確保・定着や地域経済の活性化にもつなげ、三者が支え合う好循環をつくっていきます」
●時代が変わっても揺るがない「食」と「人への投資」の普遍的価値(会長 天野総太郎)
「AIなどの進展により社会環境が変化し、1年後すら予測が難しい時代です。その中で、10年後、20年後でも確実に変わらないことが2つあります。それは『人は食べる』ということと『働く人の力が企業活動を支える』ことです。人々が健全な心と体で、やりがいを持って働けるために、食事補助が社会を支える基盤の一つとして広く定着することを期待しています」
クロストークを通じて、食事補助は従業員の健康維持や人材の確保・定着を支えるだけでなく、地域の飲食店の利用促進など、日本の地域経済にも波及する可能性が示されました。
本協会では今後、企業規模や地域による福利厚生の格差解消に向けて、食事補助の普及と適正利用を推進し、働く人・企業・地域を支える社会インフラとしての定着を目指してまいります。
■食事補助制度・本協会への加盟に関するご相談・お問い合わせ
食事補助推進協会(MBAJ)専務理事 山本 祐也
TEL: 080-3721-4004 / Mail: info@mbaj.jp
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