アルスエレクトロニカ開催中の街角の写真一枚から、都市の雑誌記事が生まれた。
timespace株式会社、アルスエレクトロニカ 2026 開催中のオーストリア・リンツで、都市を瞬間で読める雑誌メディア「LINZ/ZINE」を5日間連続して発行
街を歩き、撮り、読み、毎日編集する
株式会社timespace(本社:京都市、代表取締役:井口尊仁)は、オーストリア・リンツで、都市編集プロジェクト「LINZ/ZINE」を実施した。トータル1,011枚の現地写真から6,585件の記事素材を独自AIが生成。それらを人間が編集し、全6号・計1,150部のZINE(雑誌)として現地で印刷・配布した。

timespace ZINEは、街で気になったものをスマートフォンで撮ると、AIが画像と位置情報から、その場所の歴史や文化、背景を読み解き、記事の素材をつくるプロダクト。AIが拾い上げた街の断片を人間が選び、編集し、ZINEとしてもう一度街へ届ける。LINZ/ZINEでは、この循環をリンツの街で5日間にわたって動かした。

アルスエレクトロニカ フェスティバル 2026が開催された9月9日から13日までの期間中、リンツ市の中心部Hauptplatz 23に仮設編集部を設置。そこを市民が出入り可能なオープンラボとして開放した。
チームは街を歩きながら、建築、交通、店舗、工場、歴史遺跡、展示会場、大学、博物館、美術館、様々な公共空間などをスマートフォンで撮影した。撮影された写真と位置情報を元に、ZINEアプリ搭載のAIが記事素材を生成し、その中から人間の編集者がテーマを決め、記事を選び誌面をつくる。そして完成したZINEを、再び街へ戻す。誌面を印刷し、直接市民やアルスエレクトロニカ来訪者へ渡し、対話を繰り返した。
そして、このLINZ/ZINEプロジェクトはアルスエレクトロニカ 2026の公式プログラムではなく、timespace社が独自に実施したインディペンデント・プロジェクトである。

1,011枚の写真から、6,585件の「街の断片」
2026年9月14日12:00 CEST時点で、現地で撮影・投入された写真は1,011枚。
そこから自社データベースから採用されたFact (街の発見の断片) は6,585件に達した。
撮影枚数:現地で撮影し、システムに投入した写真の数 1,011枚
AI生成ファクト:写真と位置情報から生成した、編集前の記事素材の数 6,585件
発行数:全6号 vol.00〜vol.05まで毎日連続発行
印刷部数:1,150部 (750部+増刷400部)
現地での対話・接点:現地チームが記録した対話の接点 500名超
デジタル閲覧:期間中ウェブ上の雑誌記事が開かれた回数120回

6,585件すべてが、そのまま記事になったわけではない。AIの役割は、街の中に埋もれている記事素材の候補をできるだけ多く拾い上げること。何を残すのか。何を並べるのか。今日のリンツを、どの視点から読むのか。そこは人間が決めた。
AIが見つけ、人間が意味をつくる
LINZ/ZINEでは、毎日異なるテーマで誌面編集した。AIが生成した素材を、そのまま並べることはしていない。人間の編集者が街を歩き、その日の空気を見ながら素材を選んで、複数の記事を組み合わせ、ZINE(雑誌)として構成した。
プレビュー版 Vol.00からVol.05まで、全6号。印刷部数は合計1,150部となった。これは、「AIに雑誌をつくらせる」実験ではない。AIによって街を見る範囲を広げて、人間がそこに意味を与える試みだ。
LINZ/ZINEが検証したのは、AIと人間の分業が、実際の都市空間の中で毎日実質的に回り続けるかどうかだった。現実の都市空間を読み解き、記事にし、それらを編集して誌面としてまとめ、特定の場所で、特定の人たちに手渡していく。LINZ/ZINEプロジェクトは新しい都市空間ないの場所の発見と編集を、人とAIがそれぞれの役割を担いながら進めるプロセスの実証だった。

完成したZINEはHauptplatz 23の編集部だけでなく、アルスエレクトロニカセンターや、レントス美術館、OK プラッツなど市役所、図書館、美術大学など、リンツの都市中心部で配布した。配布先では、その場でZINEを読んでもらい、対話を重ねながら、メディアとしての印象や改善点、そして次に向かうべき場所について、timespaceのチームが意見を聞いた。
会期中には、行政、大学・研究機関、メディア、公共交通、産業支援、アート/テクノロジー領域など、500名を超える現地関係者との対話を記録した。
デジタル版も同時に公開し、オンライン化されたZINE誌面は120回以上閲覧された。街を撮ることから始まった情報が、日々記事になり、翌日は紙になり、別の人の手に渡り、また新しい会話を生む循環がスタートした。LINZ/ZINEでは、この循環そのものを通じて、リンツの都市全体を、一つのメディアとして扱った。


検索する前に、街のほうから問いかけてくる
たとえば、timespaceのチームがHauptplatzで見つけた、路面電車の案内板の横にある、「50」という表示。何を意味するのか知らなくても、スマートフォンで撮影すると、AIがそれを読み解き、リンツ中心部とポストリングベルグ(地元で愛される山の頂)を結ぶ登山鉄道の50番線、「Pöstlingbergbahn」の案内であること、そしてその鉄道が1898年に開業した歴史を持つことまで辿っていける。
街で偶然目に入ったものを入口に、その土地の歴史、文化、産業、人々の暮らしへと入っていく。それがtimespaceの考える、新しい「街の読み方」だ。名前を知らなくてもいい。目の前にあるものを撮ればいいのだ。
フォロワー10万人超の「Ars Electronica」公式SNSも注目。現地で動画インタビュー取材・配信
街頭や会場でのゲリラ的な配布と対話は、フェスティバル本体の関心も集めました。会期中、世界的なメディアアートの祭典である「Ars Electronica」の公式Instagram(フォロワー10.2万人 / 2026年9月時点)の現地取材班よりインタビューを受け、timespaceチーム活動や発行したZINE(雑誌)が公式ストーリーズ動画として世界に向けてフィーチャーされました。公式プログラム外のインディペンデントな挑戦でありながら、その先駆的な都市編集の試みは、フェスティバル公式メディアを初めとする、グローバルなクリエイティブ・コミュニティからも大きな反響を獲得しました。

timespace 代表取締役 井口尊仁 コメント
「今回のリンツでは、AIのレンズを通して街を取材し、集まった素材をチームで眺め、議論し、編集の方向を決め、毎日ひとつの誌面へ落とし込んでいきました。
それは決して簡単な作業ではなく、5日間ずっと緊張の連続でした。何を残すのか。何と何をつなぐのか。リンツという都市を、私たちはどう読み解くのか。毎日その判断を迫られました。
でも、その日に刷り上がった物理のZINEを市民の方々やアルスエレクトロニカを訪れた人たちに直接手渡して、そこから会話が始まる。その瞬間、それまでの緊張や疲労が一気に吹き飛びます。
歴史も、芸術も、産業も、文化も、幾重にも重なった文脈を持つ都市をその場で読み解き、物理的な雑誌として編み上げる。そして、その雑誌を手に、また街の人たちと語り合う。この往復を毎日繰り返せたこと自体が、私たちにとって本当に固有のアルスエレクトロニカ体験になりました。」
timespace / ZINEとは
timespace ZINEは、検索語からではなく、目の前の街から発見を始めるphysical-world discoveryのためのプラットフォームです。街をScanし、AIが背景を読み、人間が編集し、メディアとして共有する。LINZ/ZINEは、この仕組みを都市スケールで運用したフィールドプロジェクトです。
今後、timespaceは世界中の複数都市での展開に加え、ホテル、交通、不動産、地域事業者、自治体など、日常的に人と場所の接点を持つ事業者の方々との社会実装を進めます。

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