【日本メドトロニック】心房細動検出の診断機能を搭載したシングルチャンバの植込み型除細動器(ICD)「Visia AF MRI™ ICDシリーズ」の販売を開始
日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:島田隆)は、2017年3月1日、心房細動(AF)検出の診断機能を搭載したシングルチャンバの植込み型除細動器(以下ICD)「Visia AF MRI ICDシリーズ(ヴィジア エーエフ エムアールアイ アイシーディーシリーズ)」(以下「Visia AF」)の販売を開始いたしました。
Visia AF MRI ICDシリーズ (販売名:Visia AF MRI ICDシリーズ 承認番号:22800BZX00304000)
Visia AFは、シングルチャンバのICDに心房細動検出の診断機能を搭載した製品です。脳梗塞の主な原因の一つである心原性脳塞栓症のうち70%は心房細動が原因[1]といわれており、脳梗塞の発症予防は重要です。しかしながら弊社の今までのシングルチャンバのICDでは、心房側の情報を入手することに限界がありました。そこでVisia AFでは、従来のICDのシステムに心房細動検出のアルゴリズムを追加し、従来製品からの除細動リードの構造を変更することなく長期の信頼性を維持しながら、心房細動の把握を可能にしました。Visia AFの心房細動検出アルゴリズムは、感度95.0%、特異度99.6%で心房細動を検出することができる[2]と論文において報告されています。当該検出機能は、医療従事者による心原性脳塞栓症の予防を目的とした抗凝固薬等の適切な薬物治療の検討に寄与します。
【製品の特長】
①SmartShock(TM) テクノロジー2.0を搭載
Visia AFは、T波オーバーセンシングを回避できるなど、不適切作動防止のための独自のアルゴリズムSmartShock(TM)(スマートショック)テクノロジー2.0を搭載しています。メドトロニック独自の技術によって、不適切作動の頻度を年間2.5%まで低減し、高い精度で致死性不整脈を検出することを可能としました[3]。
②条件付き1.5テスラ及び3テスラMRI全身撮像が可能
Visia AFは、一定の条件を満たした場合にMRI検査が可能となる条件付きMRI対応[4]のICDです。また、メドトロニックが1997年より約10年かけて開発し、2008年に弊社ペースメーカに導入した、条件付きMRI対応テクノロジーSureScan(TM)(シュアスキャン)を採用しています。また、MRI装置が1.5テスラ及び3テスラであることという条件下で、全身のどの部位についても、MRI撮像を可能としました。
③植込み部の圧迫を軽減する滑らかなデバイス形状、PhysioCurve(TM) デザインを採用
2014年に販売を開始したEvera(TM) MRI ICD(エヴェラ エムアールアイ アイシーディ)シリーズ(販売名:Evera MRI ICDシリーズ、承認番号:22600BZX00404000)と同様に、体の表面と同じように曲線を描き、植込み部の圧迫を軽減する滑らかなデバイス形状PhysioCurve(TM) (フィジオカーブ)デザイン、高い耐久性を実現したSprint Quattro(TM)(スプリント クアトロ)ICDリード(販売名:Sprint クアトロ MRI スクリューインリード、承認番号:22600BZX00406000)など、患者さんの負担をさらに軽減する低侵襲性を実現しています。
メドトロニックは、世界中の医師、研究者、科学者といった医療従事者と連携して、心血管疾患と心不整脈のインターベンション治療及び外科治療に、多くの医療技術を提供しています。Visia AFは、優れた耐久性と不適切作動を減らす技術で患者さんの負担を軽減することに加え、心房細動検出の診断機能を実現し、脳梗塞の発症予防に貢献します。
【植込み型除細動器(ICD)について】
植込み型除細動器(Implantable Cardioverter Defibrillator:ICD)は1996年に国内で保険収載され、2016年12月末までに累計約55,000人に植込まれている治療法です[5]。ICDは患者の心拍を感知することで、致死性不整脈と呼ばれる心室頻拍や心室細動を検知すると即座に治療を行い、心臓の働きを正常に戻すことで突然死を予防します。ICDのリード(導線)は血管(静脈)を通って心臓内にその先端がおかれ、心臓が発する電気情報を絶え間なく本体に送りモニターすると共に、拍動が異常に早くなった場合には、本体からの電気刺激を心臓内に伝えることにより治療を行います。ICDは、症状に合わせて、通常のペースメーカのような弱い電流による刺激を与えて不整脈を停止させる抗頻拍ペーシングと、AEDのように電気ショックを与えて発作を止める電気ショック治療の、2つの治療方法を選択します。ICDには「シングルチャンバ」「デュアルチャンバ」の2つのタイプがあり、シングルチャンバはリードが1本ですが、デュアルチャンバでは2本のリードで心室・心房の両方をそれぞれ監視して治療を行います。
【心房細動(AF)について】
心房細動(Atrial Fibrillation:AF)とは、心房の中で不規則に電気興奮が発生し、心房が痙攣したようになる不整脈です。心房の拍動数が1分間に300回以上となり、心臓は不規則に拍動します。加齢とともに発生率は高くなり、特に60歳を境に急激に頻度が高まります[6]。男性は女性に比べて約1.5倍発症しやすいと言われています[7]。AFが起こると、心房は血液を心室へ送り出す役割を果たせなくなってしまいます。AFが長期間続くと、心房の中で滞留した血液が凝固して血のかたまり(血栓)となり、それが他の臓器の動脈を塞いで血栓症(脳梗塞などの全身性塞栓)を引き起こすことがあります。AFのある人の脳梗塞の発生リスクは、正常な心拍の人に比べて、2~7倍高いことが知られています[8][9][10]。
また、持続的に心臓に負担がかかることから、心不全の原因にもなります。
【メドトロニックについて】
Medtronic plc(www.medtronic.com) は、アイルランドのダブリンに本社があり、世界中の人々の痛みをやわらげ、健康を回復し、生命を延ばすことを目指した医療技術、サービス、ソリューションを提供するグローバルリーダーです。全世界で8 万 8000 人を超える従業員を擁し、約 160 ヵ国の医師の方々や病院、そして患者さんに貢献しています。世界中のパートナーの皆様と力を合わせて、さらなる医療の発展に取り組んでいます。
【日本メドトロニック株式会社(Medtronic Japan Co., Ltd.)について】
日本メドトロニックは 1975年の設立以来 40年以上にわたり、生体工学技術を応用し、慢性疾患をお持ちの方々の痛みをやわらげ、健康を回復し、生命を延ばす医療機器を通して人類の福祉に貢献することを目指しています。Medtronic plc が提供する先端医療技術は、心臓疾患をはじめ、パーキンソン病、糖尿病、脊椎疾患、脳疾患、慢性的な痛みなど慢性疾患を広くカバーしています。
Web サイト http://www.medtronic.co.jp
なお、将来の業績見通しに関わるすべての記述は、メドトロニックが米国証券取引委員会に提出する定期報告書に記載されているようなリスクや不確定要素の影響を受ける場合があります。実際の業績は予想と著しく異なる可能性があります。
-----------------
[1] 2015年版脳卒中データバンク
[2] PACE 2016; 39:1031–1037
[3] Heart Rhythm 2015; Vol 12, No 5: 926-936
[4] 「条件付きMRI対応」とは、限定された種類のMRI装置を使用する、限られた設定下で撮像する、などの一定の条件を満たしたうえで、MRI装置での撮像が可能になるデバイスを指しています。
[5] 不整脈デバイス工業会調べ
[6] Feinberg WM, et al. 1995 より
[7] Framingham研究(Kannel WB, et al. 1998) より
[8] Wolf PA, et al. 1991 より
[9] Krahn AD, et al. 1995 より10 Levy S, et al. 1999 より
[10] Levy S, et al. 1999 より
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像