量子ドット技術による新たなソリューションは“センサー”
ディスプレイに次ぐ高機能化が量子ドットで実現された。
ナノテクノロジーと半導体材料のリーディングカンパニーである英国クアンタム アドバンスド ソリューションズ社(Quantum Advanced Solutions Ltd)は、“クアンタムソリューションズ”のブランドで展開する量子ドット事業を拡大するため、日本市場への本格上陸を発表した。(東京都港区)
イメージセンサーなどのフォトディテクターとX線シンチレーターを主なターゲットにする。
同社は世界の主要な研究機関であるサウジアラビアのKAUST (アブドラ王立科学技術大学) から2017 年に設立された企業であり、現在は本社を英国サウザンプトンに置いて、多くの半導体・イメージセンサー企業ならびにimec(ベルギー)などの研究開発機関と世界規模のパートナーシップを築いている。さらには、ノキア社よりスピンアウトした英Emberion社 (www.emberion.com) などとの戦略的協業関係によって、量子ドット技術を用いたイメージセンサー/カメラにおいて世界初の商用化・製品化に成功している唯一の企業である。同社の他にセンサー向け実用製品を出荷している企業は存在しない。
また、量子ドットと言うとカドミウムの含有が懸念される向きがあるが、同社の量子ドットにはカドミウムが使用されていない。さらには鉛化合物(PbS:RoHS指令適用外)をも全く使用しない量子ドット開発が急ピッチで進んでおり、既にリリースが始まっている。
同社は独自開発した量子ドット材料 (QDot™)だけにとどまらず、それらをシリコンチップと組み合わせる技術によって、より広い波長帯のイメージを捕捉するプラットフォームを提供している。長い波長の中波長赤外線 (MWIR)や短波長赤外線 (SWIR)といった低エネルギー域から、紫外線やX線などの短い波長で高エネルギー域の波長帯を捕捉することで、肉眼では見えない超人的な視覚を手にいれることを可能とした。
従来、広範囲な波長帯を捕捉するにはInGaAsセンサーが用いられており、中波長赤外線 (MWIR)や短波長赤外線 (SWIR)、またX線といった波長域をカバーするために使われているものの、InGaAs ベースのセンサーやそれを搭載したカメラは、1個(1台)あたり5,000ドル〜10万ドル(66,0000円〜13,100,000円)と非常に高価である。これが普及の妨げとなっている主要因であるが、その一方で技術的拡張性と高解像度の両方を満足させるには多段階の製造プロセスが必要であり、その結果、構造が複雑で時間を要する工程が避けられない。これがInGaAsセンサーやそれを用いた高機能カメラの価格を高止まりさせている
通常のセンサーでは捕捉できない可視光域を超えた領域が、“クアンタムソリューションズの領域”
クアンタムソリューションズの量子ドット技術はこのような課題のために開発されたものであり、シリコンCMOS上に量子ドット層の素子を形成するだけで幅広い波長域の情報捕捉を可能とする。すなわち、量子ドットによる高機能イメージセンサーとは、可視光外の短波長〜中波長赤外(SWIR〜MWIR)で捉えたモノクロな画像情報をCMOS素子が捉えた可視光域の画像情報と合成し、ダイナミックレンジの広い撮像を可能とする仕組みである。
同社は2018年にフィルジェン株式会社とパートナーシップを組んで日本事業を開始し、急速に成長する市場ニーズに応えるため、2022年より日本貿易振興機構(ジェトロ)の支援を受けて日本事業を拡大することとした。
同社日本代表の門田陽一は、「弊社の量子ドット技術を用いることで、従来のInGaAsに比して高機能センサーの製造コストを10~1000分の1に削減できる。これにより、さまざまなセグメントや大衆消費市場において高機能イメージセンサーが大規模に普及することになり、センサー各社は新たな商機を得ることが出来る。」と述べ、同英国本社CEOのマラット・ルトフリン(Dr Marat Lutfullin)は、「日本は新しいセンサー開発において常にリーダーであり、弊社にとって非常に魅力的な市場である。現在、すでに量子ドット技術を用いた高機能センサーは産業用カメラとしてFAやロボティクス、自動車、医療診断などに広く採用可能であり、また、量子ドットセンサーはスマートフォンやAR/VRヘッドセットなどの次世代家電の普及に大きく貢献する技術である。」、とコメントしている。
SWIR量子ドットセンサー素子
SWIR量子ドットセンサー搭載カメラ (ラボモデル)
可視光環境化でのウェハー観察
SWIRで捉えたウェハー観察。背後が透過して見える。
食品検査での使用例(可視光環境でのコーヒー豆)
SWIR (近赤外線)での観察例(コーヒー豆)。内部の状態が目視できる。左:SWIR、右:可視光
自動運転への適用。悪視界環境モデル1
自動運転への適用。悪視界環境モデル2。左:SWIRで環境補足、右:可視光環境
詳細:www.quantum-solutions.com
クアンタムソリューションズ日本代表事務所
info@quantum-solutions.com
Join us to enable a “super-human” vision!
* KAUST :https://www.kaust.edu.sa/en , King Abdullah University of Science and Technology.
** フィルジェン株式会社:https://filgen.jp/
Quantum Solutions, a leading semiconducting materials company, offers a quantum dot platform to enable “wide range” image sensors by supplying quantum dot (QDot™) materials and licensing their technology for integration/processing on silicon chips. These “wide range” image sensors enable “superhuman” vision and capture images that would be invisible to the naked eye, revealing lower energy middle-wave (MWIR), short-wave infrared (SWIR) lights or higher energy UV and X-ray lights.
The sensors that are currently used in wide ranges (MWIR, SWIR, X-ray) have a prohibitively high price, ranging from $5,000 to $100,000 per sensor/camera. This is because the process is demanding, due to a complicated sensor architecture involving a complex, multi-step and time-consuming manufacturing process which limits both the scalability of the technology and sensor resolution.
Quantum Solutions’ proprietary QDot™ quantum dot technology simplifies the fabrication process for wide range image sensors. QDot™ quantum dots can be processed on a silicon CMOS substrate by conventional and high throughput wafer-scale photolithography techniques.
The company was founded in 2017 as a spin out from KAUST (King Abdullah University of Science and Technology, www.kaust.edu.sa), the leading research institute in the Middle East. Currently, the company headquarters is in the United Kingdom and has built partnerships with multiple image sensor companies worldwide. Furthermore, it has succeeded in the launch of the first commercial images sensor cameras with strategic customers, such as Emberion (www.emberion.com).
Quantum Solutions started trading in Japan in 2018 with partner Filgen Inc (www.filgen.jp). As the market is rapidly growing, the company has expanded trade with Japan with support from JETRO (Japan External Trade Organization, a Japanese government-related organization). Quantum Solutions’ business representative in Japan, Mr Yoichi Kadota, is saying “Quantum Solutions’ quantum dot technology can offer new opportunities to image sensor companies as it can decrease the cost of wide range sensors fabrication 10-1000 times which will unlock large scale adoption of quantum dot image sensors in various segments and mass markets”. Dr Marat Lutfullin, CEO of Quantum Solutions, states that “Japan is a very appealing market for Quantum Solutions and Japan is the leader in new sensor technologies. The current technology can enable mass market applications of “wide range” image sensor in machine vision cameras used in industry/robotics, to automotive, medical diagnostics, and the next generation of consumer electronics in phones and for AR/VR headsets”.
Learn more at www.quantum-solutions.com
Contact Quantum Solutions - Japan Representative Office at:
info@quantum-solutions.com.
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* KAUST :https://www.kaust.edu.sa/en , King Abdullah University of Science and Technology.
** Filgen Inc:https://filgen.jp/Product/SI/English/
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