親が施設に入っても、介護は終わらない。実家管理を92.0%が「家族の負担」と回答

介護離職につながり得る“見えない家族負担”を可視化。2027年3月をめどに国・自治体へ政策提言、来年度のモデル事業化を目指す

一般社団法人空き家管理士協会

一般社団法人 空き家管理士協会は、「施設入所時における高齢者の自宅管理・家族負担に関する実態調査」の結果を公表しました。

本調査は、高齢者が介護施設へ入所したり、長期入院したりした後、本人の自宅管理が誰に、どのような負担として発生しているのかを把握し、家族介護負担の軽減、介護離職の予防、管理不全空き家の予防、今後の制度提言や自治体モデル事業の検討材料とすることを目的に実施したものです。

調査の結果、施設入所中の自宅管理について、92.0%が「家族にとって負担になっている」と回答しました。

また、83.5%が「現在の介護・福祉制度の中では対応しにくい」と回答し、介護と空き家対策の間にある制度上のすき間が浮き彫りになりました。

実家の管理

親が施設に入ったあとも、家族の負担は必ずしも終わりません。

庭木や雑草管理、郵便物の確認、防犯、雨漏り、災害後の確認など、日常の小さな確認のために遠方の実家へ通うことは、仕事や家庭生活との両立を難しくする要因にもなり得ます。

当協会では、この課題を「留守宅管理」と位置づけ、介護離職につながり得る見えにくい家族負担、本人の生活基盤の維持、管理不全空き家の予防に関わる新たな政策課題として、今後の制度提言や自治体モデル事業の検討を進めてまいります。

主な調査結果

本調査の有効回答数は200件です。

主な結果は以下の通りです。

・空き家や高齢者のみ世帯の増加を感じる:96.5%
・施設入所・長期入院後の自宅管理について相談や困りごとを見聞きした:62.5%
・現在の介護・福祉制度の中では対応しにくい:83.5%
・施設入所中の自宅管理は家族にとって負担になっている:92.0%
・最低限の見守り支援が必要:83.0%
・自治体による支援が必要、または条件付きで必要:58.0%

おもな調査結果

困りごとの上位は「雑草・庭木」「遠方家族」「郵便物」

施設入所・長期入院後の自宅管理に関する困りごとでは、「雑草や庭木が伸びる」が69.0%で最多となりました。

次いで、「家族が遠方で見に行けない」が47.5%、「郵便物がたまる」が44.0%、「近隣から苦情が出る」が37.0%、「誰が管理すべきかわからない」が32.5%となりました。

この結果から、施設入所後の自宅管理は、建物の劣化だけでなく、近隣関係、防犯、家族の移動負担、相談先の不明確さが重なった課題であることがうかがえます。

留守宅困りごと

主な担い手は「同居していない家族」

自宅管理の担い手については、「同居していない家族」が58.5%で最多となりました。

一方で、「誰も対応していない」とする回答も34.5%あり、家族が担い切れない、または担い手が不在となっている住宅が一定数あることも示されました。

親が施設に入ったことで介護が一段落したように見えても、実家の確認や管理は、遠方に住む家族に残り続けることがあります。

この負担は、介護保険制度の中では見えにくいものの、家族にとっては移動時間、交通費、仕事との調整、精神的な不安などを伴う「見えない介護負担」といえます。

おもな担い手

公的支援は「最低限の確認・異常把握」に限定する方向が現実的

本調査では、自治体による月1回程度の支援について、「必要」「条件付きで必要」とする回答が58.0%となりました。

一方で、支援の対象範囲については、何でも公的支援の対象にするのではなく、最低限の確認や異常把握に限定する方向が妥当と考えられます。

公的支援または自治体モデル事業として妥当とされた内容は、「郵便物の滞留確認」「近隣からの連絡内容の共有」「月1回程度の外観確認」「台風・地震・大雨後の一次確認」「不法侵入の形跡確認」などでした。

一方で、遺品整理、家財整理、修繕工事、売却準備などは、対象外とすべき内容として上位に挙がりました。

当協会では、留守宅管理の制度化を検討する場合には、私有財産の価値向上を目的とする管理ではなく、生活基盤の維持、異常の早期把握、関係者への報告、管理不全空き家の予防に資する最低限の支援として設計する必要があると考えています。

自宅の管理

介護離職につながり得る“見えない家族負担”

親が施設へ入所したことで、身体介護や日常的な見守りの負担が一時的に軽くなる場合があります。

しかし、実家の確認や管理はその後も家族に残り続けます。

郵便物の確認、防犯、庭木や雑草、雨漏り、台風や大雨後の確認など、一つひとつは小さな作業でも、遠方に住む家族にとっては移動時間、交通費、仕事との調整、精神的な不安を伴います。

今回の調査では、施設入所中の自宅管理について92.0%が「家族にとって負担になっている」と回答しました。

こうした負担は、介護保険制度の中では見えにくいものの、仕事と介護を両立する家族にとっては、介護離職につながり得る周辺負担の一つとして捉える必要があります。

当協会では、留守宅管理を単なる住宅管理ではなく、家族介護負担を軽減し、介護離職を予防する観点からも検討すべき課題だと考えています。

「留守宅管理」は介護と空き家対策をつなぐ新たな政策課題

施設入所後の自宅は、完全な空き家ではありません。
しかし、日常的に人が住んでいる家でもありません。

いわば、「誰も住んでいないけれど、まだ役割を失っていない家」です。

本人にとっては、退所後や一時帰宅時に戻る可能性のある生活基盤です。
家族にとっては、介護と並行して発生する見えにくい負担です。
地域にとっては、管理不全空き家を発生前に防ぐ予防的な対象でもあります。

そのため、施設入所後の自宅管理を、介護・住まい・地域をつなぐ新たな政策課題として整理する必要があります。

今後の展開

一般社団法人 空き家管理士協会では、今回の調査結果をもとに、アンケートへの反響があった自治体を中心に、自治体向けの「留守宅管理モデル事業提案書」の作成を進めてまいります。

モデル事業では、施設入所・長期入院後の高齢者宅について、月1回程度の外観確認、郵便物の滞留確認、災害後の一次確認、不法侵入や破損の有無の確認、必要時の家族・地域包括支援センター・ケアマネジャー等への報告など、最低限の見守り支援を想定しています。

今後は、自治体の高齢者福祉部局、介護保険部局、地域包括支援センター、空き家対策部局等との意見交換を進め、来年度から一部自治体でモデル事業を実施できるよう、具体的な事業設計・実施体制・費用負担のあり方を検討してまいります。

また、国および自治体に対しては、施設入所後の自宅管理を、家族介護負担の軽減、介護離職につながり得る周辺負担の軽減、本人の生活基盤の維持、管理不全空き家の予防に関わる政策課題として位置づけるよう、2027年3月をめどに政策提言を行う予定です。

当協会は、「留守宅管理」を介護・住まい・空き家予防をつなぐ新しい支援の仕組みとして社会に提案し、家族だけに負担を委ねない地域モデルの構築を目指してまいります。

調査概要

調査名:施設入所時における高齢者の自宅管理・家族負担に関する実態調査
実施主体:一般社団法人 空き家管理士協会
調査期間:2026年6月24日〜2026年8月5日
有効回答数:200件
調査対象:家族介護者、ケアマネジャー、地域包括支援センター職員、介護施設関係者、自治体関係者、その他
調査方法:Webアンケート

※本調査はWebアンケートによるものであり、回答者属性・地域に偏りがあります。

本件に関するお問い合わせ

商号: 一般社団法人空き家管理士協会

代表者: 代表理事 山下 裕二

電話: 03-6868-5265 

メール: info@akiyakanrishi.org

URL : https://www.akiyakanrishi.org/

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会社概要

URL
https://www.akiyakanrishi.org/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都港区南青山2丁目2番15号 ウィン青山942
電話番号
03-6868-5265
代表者名
山下裕二
上場
未上場
資本金
-
設立
2014年07月