株式会社トヨコーに対する支援決定および出資について
今後は、トヨコー社が実施する事業のモニタリングを通じて、同社のGHG削減に向けた取組み等を確認していく予定です。
1.事業者の概要
(1)名 称 株式会社トヨコー https://www.toyokoh.com/
(2)本社所在地 静岡県富士市
(3)代 表 者 代表取締役 豊澤一晃
(4)設立年月日 1996年3月1日
(5)主な事業内容
老朽化したインフラのさびや塗膜等をレーザーで除去する「CoolLaser」の製造・販売
(一点に集光された高い強度のレーザービームを高速回転させながら円状に走査(スキャン)させ、表面にある塗膜やさび・金属等を瞬間的に溶融、蒸散、熱破砕により除去する技術を搭載している点に特徴があります)3層の特殊な樹脂をスプレーコーティングして屋根を蘇らせる「SOSEI」の施工
(6)事業の実施状況と今後の計画
「CoolLaser」は、橋梁(道路、鉄道)、鉄塔(通信、送電)、海事(海運、ドック)、その他(プラント、石油貯蔵タンク)等で数多く施工されています。今後は、国内の建機レンタル会社などへの販売を拡大するとともに、海外へも展開していく予定です。
「SOSEI」は、大手自動車・電機メーカーの工場等で延べ140万m2の施工実績を有しています。今後は、太陽光パネルメーカーとの協業を拡大していく予定です。
※今般JICNから出資する資金は、主に、「CoolLaser」の製造・販売の事業拡大に充てられる予定です。
2.支援決定に係る政策的意義
(1)温室効果ガス排出削減の観点
橋梁、鉄塔、海事等の構築物は、経年使用および塩害等によりさびが発生します。これらのさびは、現在は、ブラスト工法(粒子状の研削材を吹き付け、構築物の表面の粗化、研削、研掃等を行う表面加工処理方法)やグラインダーにより除去するのが通常であり、構築物に塗布されていた塗料(塗膜)やブラスト工法の場合は除去のために吹き付ける研削材が粉塵化し、大量の廃棄物が発生します。これらの廃棄物の埋立に伴う、GHGが排出されています。
トヨコー社の「CoolLaser」を用いることで、レーザー照射によってさびや塗膜および塩分を蒸発させることを通じ、従来工法で発生しているような廃棄物の発生を削減し、ひいては、廃棄物の輸送と埋立に伴うGHGの排出削減に貢献することが期待できます。
(2)経済と環境の好循環の観点
経済社会および生活にとって必要不可欠なインフラは、高度経済成長期に整備されたものが多く、各地で老朽化が進み、事後・予防保全、そのためのコストが各分野・地域において大きな課題になっています。「CoolLaser」は、様々な点で施工に適しており、作業効率や労働環境の改善に寄与できます。
▶レーザー発振器自体は4トントラックに積載可能な大きさであるため運搬や使用がしやすく、また、100m離れたところでも施工が可能で、これまで足場を組めなかったような箇所や複雑な形状の対象への施工にも適しています。
▶作業員が実際に手にするレーザーヘッドは手持ち可能なサイズ(4kg)であり、放出される光は反力も無いため、作業員の負担軽減につながります。
▶粉塵が発生しないクリーンな環境での作業が可能となるため、大掛かりな飛散養生がいらなくなるなど、現場の作業環境が良好となります。
▶作業現場を外部から隔離するための簡易的な養生のみとなり、工数削減にも繋がります。
特に、沿岸部にある橋梁や鉄塔等においては塩害が発生し、さびの発生が頻発しています。従来工法のさび取りにおいては塩分を除去しきれず、塩分を構築物へ埋め込むことになる場合もある一方、「CoolLaser」を用いると、塩分を蒸発させるため、塩害によるさびの再発生を抑制する効果も期待できます。
トヨコー社は業界団体の組成も主導しており、屋外でのレーザー施工に伴う安全性に関する基準を定めたり、作業方法を指導して資格制度を設けたりするなど、安全性にも配慮した取組がなされています。
このように、地方の社会インフラのメンテナンス作業効率や労働環境を改善し、コストや頻度の抑制に寄与することで、地域経済社会の活性化の基盤整備に貢献することが期待できます。
JICNは、引き続き、様々なステークホルダーと連携しながら、脱炭素に資する多種多様な事業に対する資金供給を行い、また、ノウハウや情報、人財を普及・輩出し、多様な主体がもつアイディアや技術をつなぐことで、豊かで持続可能な未来づくりに貢献してまいります。
【参考2】株式会社脱炭素化支援機構 会社概要
名称:株式会社脱炭素化支援機構
Japan Green Investment Corp. for Carbon Neutrality (JICN)
代表者:代表取締役社長 田吉禎彦
設立年月日:2022年10月28日(予定活動期間:2050年度末まで)
資本金等:289億円(民間株主から108.5億円、国の財政投融資(産業投資)から180.5億円)
所在地:東京都港区虎ノ門1丁目21-19 東急虎ノ門ビル7階
メール:contact@jicn.co.jp
ウェブサイト:https://www.jicn.co.jp
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