第3回 伊藤熹朔記念賞 受賞者紹介
4月15日から26日まで東京芸術劇場アトリエウエストにおいて第3回伊藤熹朔記念賞・選考会を開催いたしました。
4月20日の選考展会場において協会内外7名の選考委員による厳正なる審査を経て以下の通り各賞の受賞者が決定いたしましたのでお知らせいたします。
【協会ホームページ】https://jatdt.or.jp/
【展示期間】2026年4月15日(水)〜26日(日)
【会場】東京芸術劇場アトリエウエスト Atelier West
【選考日程】2026年4月20日(月)
【選考委員】(順不同・敬称略)
≪外部選考委員≫ 徳永京子(演劇ジャーナリスト) 萩原健(明治大学国際日本学部教授)
≪協会選考委員≫ [東日本支部]杉山至、香坂奈奈、半田悦子
[中部支部]武井久徳
[西日本支部]堀田充規(*当初委員:影山宏氏都合により交代)
合わせて、下記日程にて賞の贈賞式を行う予定です。
【贈賞式】2026 年 5 月 25 日(月)17 時より
【会場】紀伊國屋ホール 〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目17−7 紀伊國屋書店新宿本店 4F

伊藤熹朔記念賞(旧:伊藤熹朔賞)とは
[賞について]
伊藤熹朔賞は、1967年、当協会初代会長の伊藤熹朔先生の没後先生のご友人達によってつくられた「熹朔の会」で創設され毎年舞台芸術をはじめとする各芸術分野において特に顕著な功績のあった人に「伊藤熹朔賞」が授与されていました。
しかし、1973年をもって「熹朔の会」による顕彰を終了し、当協会が舞台美術の賞としてその名称を引き継ぐことになりました。
舞台美術における年間最優秀作品の授賞はすでに46回を数えるまでになり、1977年に特別賞、1986年に新人賞、1996年に奨励賞が新設され、日本で唯一の舞台美術の専門の賞として高い評価をいただいています。
2021年に法人化への移行に伴い、更なる舞台芸術への創造発展に繋げてゆく事を目指して「伊藤熹朔記念賞」に改めました。
[伊藤熹朔]
1899年(明治 32年) 8月1日生まれ。
1925年(大正 14年) 築地小劇場第十九回公演『ジュリヤス・シイザア』の装置で舞台美術家としてデビューの後、
新劇、歌舞伎、新国劇、新派、商業演劇、オペラ、ミュージカル、日本舞踊、バレエ、ダンス、人形芝居など幅広いジャンルにおける数多くの舞台美術を手がけ日本舞台美術の先駆者となる。
1953年(昭和 28年) 株式会社俳優座劇場付属の舞台美術部を芝区川桜町に開設。
1967年(昭和 42年) 3月31日、死去。 満67歳 没。
[賞の概要]
表彰対象は舞台美術で、装置・衣裳・小道具・かつら・メイク等が含まれる。
本賞、新人賞、奨励賞、特別賞とし、選考対象期間(2年毎)に上演された古典からコンテンポラリーまで含むあらゆる舞台表現作品より選出する。
本賞:最優秀舞台美術作品(装置、衣裳、メーキャップ等のデザイン)に対して授賞。かかわった全スタッフは作品への協働賛助として記録される。
新人賞:舞台美術歴10年以内もしくは40歳以下の新人で、最優秀と認められる正会員へ贈られる。受賞は一度のみ。
奨励賞:制約された条件下(小規模劇場での公演・学校施設での公演・児童演劇等々)での活動や長年の実績、専門的な舞台美術に対する新たな取り組み等の実績のある正会員に贈られる。
特別賞:長年にわたり舞台美術全般に対して、研究・教育・発展等に対して寄与し顕著な功績を残した協会員以外の方や団体に贈られる。正会員はデザイン業務以外の活動ならば選考対象となる。
※特別賞をのぞき、授賞対象は当協会会員に限られます
第3回伊藤熹朔記念賞 受賞者
◆本賞 松生紘子〈装置〉
『歌劇 水車屋の美しい娘』

選出理由
1日限りの公演や反響板があるという大きな制約の中、「スズランテープ」という安価な素材を逆手に取り、水や時の流れを観客へ向かうように見事に表現しました。空間を大胆に切り取る潔さと、嫌味のないパワーをもたらす立体的な構成が絶賛され、本賞に最も相応しい作品と評されました。
受賞者略歴
大阪芸術大学卒業後、劇団四季在籍中に日生名作劇場など5作品の装置デザインを手がける。舞台美術家・土屋茂昭氏に師事。2009年渡英。 Royal Central School of Speech and Dramaにて空間デザインの修士課程を修め、2014年までロンドンを拠点に活動。Simon Holdsworth、Antony McDonaldのアシスタントを務めた。
帰国後の主な参加作品は「ファルスタッフ」「ニングル」「蝶々夫人」(岩田達宗演出)、「ランメルモールのルチア」「平家物語」(田尾下哲演出)、「フィガロの結婚」(三浦安浩演出)、「サンドリヨン」(広崎うらん演出)、「ミュージカルSPY×FAMILY」「月とシネマ」(G2演出)、「奇人たちの晩餐会」(山田和也演出)、「恋、燃ゆる。」「赤ひげ」(石丸さち子演出)、「せかいいちのねこ」(山田うん演出)、「マクベス」(吉田鋼太郎演出)、「演劇調異端 xxxHoLiC」「チェンソーマン the stage」(松崎史也演出)、「進撃の巨人」(植木豪演出)、「ブルーピリオド」「ミュージカル テニスの王子様4thシーズン」(三浦香演出)、「舞台 鬼滅の刃」(末満健一、元吉庸泰演出)、「バクマン。THE STAGE」(ウォーリー木下演出)など。2023年には香港と金沢の共同制作イベント「TIME IN A BOTTLE」にデザイナーとして参加。香港Performing Arts Expoにてオープニングを飾った。
大阪芸術大学舞台芸術学科にて客員准教授。 第44回伊藤熹朔賞奨励賞、第1回伊藤熹朔記念賞本賞受賞。
◆新人賞 久保田悠人〈装置〉
音楽座ミュージカル『ホーム』・東京二期会オペラ劇場『さまよえるオランダ人』


選出理由
「ホーム」では、昭和30年代の街並みを綿密にリサーチし、狭い空間に構築する若々しい挑戦や、蛍光塗料を用いた演出への説得力が評価されました。本賞候補にも挙がった「さまよえるオランダ人」では、ワーグナーの音楽に負けない力強い空間構成が見事でした。同時代の絵画の要素を取り入れつつ、明るさと洗練が共存する表現が新鮮であり、新人賞にふさわしい圧倒的な力強さがあると高く評価されました。
受賞者略歴
1990年生まれ。早稲田大学建築学科 建築史研究室卒業。2014年 日本舞台美術家協会 舞台美術賞・公募展 最優秀賞受賞。同年から舞台美術家 伊藤雅子氏に師事。2019年 独立
近年の主な舞台作品に、TSP『サド侯爵夫人』(宮本亞門演出)、CCCreation『近松心中物語』、あやめ十八番 音楽劇『金鶏二番花』、草創期『金鶏一番花』(共に堀越涼演出)、東京二期会オペラ劇場『さまよえるオランダ人』(深作健太演出)、奏劇vol.4『ミュージック・ダイアリー』(首藤康之演出)、音楽座ミュージカル『リトルプリンス』(相川タロー・ワームホールプロジェクト演出)、『劇団「ハイキュー!!」〝出逢い〟』(須賀健太演出)、ミュージカル『NO.6』(浅井さやか演出)、『カスパー』(ウィル・タケット演出)など。
◆奨励賞 根来美咲 松村あや 〈装置〉
「みんなのリトル高円寺 ウミゾコアイランドがあらわれた!〜ツナガルツアーへ出航〜」

選出理由
劇場を使って長期間子供たちと触れ合い、子供たちと一緒にプランニングをして空間と人(空間=人)を作っていくというプロジェクト性が非常に高く評価されました。段ボールやペットボトルなど身近な素材を活用し、長時間の体験型演劇という制約を見事にクリアしたチームでの取り組みは、演劇の社会的な繋がりに寄与するアートの観点からも奨励賞にふさわしいと絶賛されました。
受賞者略歴
[根来美咲]
滋賀県生まれ。大阪芸術大学舞台芸術学科を卒業後、2006年に劇団青年座・演出部に入団。 以降、ストレートプレイ・ミュージカル・子供向けステージ・市民参加型公演やワーク ショップなど幅広いジャンルの舞台で舞台美術家として活動中。 2014年「夜明けに消えた」で第41回伊藤熹朔賞・新人賞を受賞。 尚美学園大学・青山学院大学非常勤講師。
主な作品に、劇場創造ネットワーク『みんなのリトル高円寺 2022〜2026』、青年座「穏やかな人と機」(演出:磯村純)「柿紅葉のころ」(演出:須藤黄英)、NLT「ミュージカル O.G.」(演出:本藤起久子)、プリエール「マミィ!」(作・演出:田村孝裕)、JACROW「闇の将軍四部作」(作・演出:中村ノブアキ)、山田ジャパン「ドラマプランニング」「9でカタがつく」(作・演出:山田能龍)、石井智子スペイン舞踊団「ちはやふる」(演出・振付・構成:石井智子)、「だいすけお兄さんの世界迷作劇場シリーズ」(作・演出・振付:岸本功喜)、アンパンマンミュー ジカル「おもちゃの国とみんなのたからもの」(演出:大原晶子)などがある。
[松村あや]
佐賀県出身。佐賀大学文化教育学部美術工芸課程(日本画専攻)卒業後に日本工学院専門学校演劇スタッフ科に入学。日本工学院専門学校を卒業後、舞台美術家・島次郎氏に師事。新国立劇場『焼肉ドラゴン』『オペラ鹿鳴館』、演劇企画集団THEガジラ、など多くの作品のアシスタントを務める。
その後、舞台大道具製作会社にて営業として勤務しながら自身の作品を発表。現在はフリーランスの舞台美術家として活動。
主な作品としては、劇場創造ネットワーク『みんなのリトル高円寺 2023〜2026』、Alice『プロトデウスの方舟』『ネコたん!猫町怪異奇譚』、江戸糸あやつり人形結城座『変身』、劇団 温泉ドラゴン『痕、婚』『悼、灯、斉藤』、MAパブリッシング『宇宙戦争』『江戸川乱歩名作朗読劇』、劇団トリコ・A『そして羽音、ひとつ』など
◆特別賞 下重恭子 〈帽子・ヘッドドレス等製作〉

選出理由
デザイン業務以外の活動で舞台芸術全般の発展に顕著な功績を残した正会員として選出。
オペラやバレエに不可欠な帽子やヘッドドレス等の製作において、時代物から動物や植物を模したシュールな被り物まで幅広く製作し、演出や演者のストレスを軽減しつつデザイナーのイメージ以上のものを具現化する想像力と造形力は、日本の舞台業界を支える唯一無二の存在であると高く評価されました。
受賞者略歴
1960年 2月9日生まれ
1980 年 株式会社光子館入社 人形劇特殊美術製作を行う
1989 年 株式会社光子館退社
故)小寺洋子氏に師事 ヘッドドレス製作を始める
1993 年 サロンドシャポー入学
1996 年 サロンドシャポー卒業
アトリエ「Chapeaune」設立
演劇、バレエ、オペラ、ミュージカル、テーマパーク等の帽子・ヘッドドレス製作を本格的に始め、以後年間 40 本以上の舞台に関わる
2005 年 文化庁新進芸術家海外研修制度にてパリ・オペラ座等で研鑽を積む
2006 年 帰国
【主な作品】
・東京バレエ団 『眠れる森の美女』『ドンキホーテ』等
・牧阿佐美バレヱ団 『リーズの結婚』『ノートルダム・ド・パリ』等
・新国立バレエ団 『白鳥の湖』『ジゼル』『ホフマン物語』等
・K バレエカンパニー『ジゼル』『人魚姫』『眠れる森の美女』『クレオパトラ』等
・ミュージカル 『エリザベート』『レ・ミゼラブル』『アラジン』『ゴースト&レディ』『モンキーブーツ』等
・歌舞伎 『マハーバーラタ』等
その他多数の作品を手掛ける
一般社団法人 日本舞台美術家協会について
一般社団法人 日本舞台美術家協会 (略称JATDT:Japan Association of Theatre Designers &Technicians ) は、舞台芸術において視覚的・美術的立場から演出に参画する創作者と技術者、ならびに舞台美術教育者や研究者が集まった、国内唯一の舞台美術家のための職能団体です。
1958年 初代会長の伊藤熹朔(いとう きさく)を筆頭に、吉田謙吉(よしだ けんきち)・長谷川勘兵衛(はせがわ かんべえ)・三林亮太郎(みつばやし りょうたろう)など、気鋭の舞台美術家を中心に 日本舞台美術家協会 として発足し、以来、日本の舞台芸術全般の発展と高揚に貢献すると共に、舞台美術家の創作環境の向上を目指して参りました。
全国の舞台美術家の「創作活動に対する支援」「社会的地位の確立」「人材の育成」「専門的技術の記録・保存」等を主な目的とし、様々な事業活動を行っています。
2019年12月に法人化し、一般社団法人 日本舞台美術家協会 として新たなスタートをきりました。
【協会概要】
社名:一般社団法人 日本舞台美術家協会
本社所在地:〒151-0066
東京都渋谷区西原1-28-4 興和ビル
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