「高時給」「テレワーク」「正社員登用」は重視されない？派遣エンジニアが語る、仕事選びの本音とは？

MARKEDELIC株式会社

2025年6月26日 09時47分

MARKEDELIC株式会社は、派遣就業経験のあるエンジニア・プログラマー418名を対象にWebアンケート調査を実施しました。

【調査の背景とサマリー】

正社員雇用に加え、フリーランスや派遣社員、業務委託、副業など、働き方の多様化が進む現代では、エンジニアやプログラマーを取り巻くキャリア環境も大きな転換点を迎えています。本調査の結果、派遣エンジニアの意外な「仕事選びの本音」が明らかになりました。

派遣エンジニアとしての働き方を選んだ理由として、「高時給」「テレワーク可」「正社員登用」といった訴求力のある条件よりも、もっとも重視されているのは「スキルアップの機会」です。派遣という就業形態が「仮の働き方」ではなく、エンジニアにとって「能動的なキャリア投資」の一環として選ばれている実態が浮き彫りになりました。

派遣を選ぶ理由は「スキルアップ」──成長志向が鮮明に

「派遣エンジニアという働き方を選んだ理由」を複数回答形式で尋ねたところ、最も多かった回答は「スキルアップの機会が多いと感じた」（42%）でした。次いで「ワークライフバランスを重視したかった」（34%）、「多様なプロジェクトに関わりたかった」（33%）が続きます。

これは「給与や待遇が魅力的だった」（20%）や「正社員として働いていたが自分に合わなかった」（17%）などの回答を大きく上回る結果となっており、待遇よりも「学び」や「経験」に価値を見出す傾向がうかがえます。

案件選択でも重視されるのは「スキルが得られる環境」

「派遣先企業や案件を選ぶ際に特に重視しているポイントは？」という設問（複数回答形式）でも、最も多く選ばれたのは「新しいスキルや業務経験を獲得できる」（45%）でした。次いで「保有するスキルと業務内容が合致している」（42%）が続きます。

一方、「テレワークの可否」（27%）や「高時給案件への挑戦」（26%）といった「条件面」は中位にとどまります。「福利厚生の充実」（7%）や「正社員登用の可能性」（6%）といった項目に至っては、その選択率は1割未満となっています。

この結果からは、エンジニア職において、派遣先を選ぶ基準は「目先の条件」より「長期的な成長」にあることが読み取れます。

エンジニアの90％が「スキル習得を実感」

「過去に派遣先で新しいスキルを身につけられたと感じたことはありますか？」という設問（単一回答形式）に対し、「大いにあった」（30%）、「ある程度はあった」（60%）と回答した人を合わせると、全体の90%が何らかのスキル習得を実感していることがわかりました。

これは、派遣という働き方が「スキルアップの手段」として、意図通りに機能していることを裏付けるデータとして読み取れます。

成長は「技術」だけにとどまらない

「派遣就業において、具体的にどのような点で成長を感じましたか？」という設問（複数回答形式）では、「新しい技術を学ぶ機会が多かった」（49%）、「多様なプロジェクトに携われた」（44%）に加え、「異なる企業文化を経験できた」（35%）、「新たな人脈を獲得できた」（31%）、「コミュニケーションスキルが向上した」（29%）といったソフトスキル面の成長も上位に評価されています。

現場経験を積む中で、単に技術力だけでなく「職場適応力」や「対人能力」も育まれていることがうかがえます。

派遣はエンジニアにとって「目的を持った選択肢」に

本調査では、エンジニアという専門職において、派遣という働き方は「仮の姿」ではなく、意図的なキャリア形成の一手段として捉えられている傾向が強く見て取れました。特に、スキルアップへの強い志向性や、実際の成長実感の高さは、プロジェクト単位での経験を重ねることに価値を感じるエンジニアならではの傾向かもしれません。

ただし、こうした傾向がすべての職種に当てはまるとは限りません。安定性や長期雇用が重視されやすい職種では、まったく異なる傾向が表れる可能性もあります。

本調査は「特定職種における意識傾向を可視化する」ことを目的としており、特定の働き方や雇用形態を優劣づけるものではありません。MARKEDELIC株式会社は、今後も職種特性に応じたリアルなキャリア観を可視化する意識調査を継続し、社会的な議論や制度設計の素材として、客観的なデータを提供してまいります。

（MARKEDELIC株式会社　マーケティング事業部　久我航真）