地域と創る すみだ五彩の芸術祭〈公募プロジェクト〉募集始まる
区主催では23区初※の芸術祭にエントリーできるチャンス。まずは、12月と1月に行われる公募説明会にご参加ください。
すみだ五彩の芸術祭には、その下敷きとなる「隅田川 森羅万象 墨に夢」(すみゆめ)というアートプロジェクトがあります。「すみゆめ」は、隅田川と葛飾北斎を主なテーマに企画を募り、2016年から毎年開催され、これまで延べ152件の公募事業が行われてきました。
「すみゆめ」の公募事業は、企画の実現に向けて事務局スタッフが企画者の相談に乗り、地元の人や団体、技術スタッフなどの紹介や、地域での広報に協力する「伴走型」と呼ばれる支援が行われます。また、企画者同士のネットワーク形成と課題や情報を共有する「寄合」という場への参加など、手厚いサポートが用意され、参加者・団体に好評です。
来年初開催の「すみだ五彩の芸術祭」では、公募テーマを「地域資源の活用」と広くしつつ、採択件数も増やし、「すみゆめ」が10年間積み上げてきた多様なノウハウを活かして、公募プロジェクトに取り組みます。
※自治体が主催となり、数ヶ月に及び実施する総合的な芸術祭としては23区初。2025年9月現在、墨田区調べ
すみだ五彩の芸術祭〈公募プロジェクト〉詳細
◼︎募集対象
申請受付期間:2026年1月12日(月祝)~2月16日(月)
事業実施期間:2026年9月4日(金)~12月20日(日)
実施場所:墨田区及び隅田川流域で実施する企画
事業内容:
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発表・公開を伴うアートプロジェクト、公演、展示、上映等の芸術文化活動で、かつ、すみだの人やまちとかかわるプログラムを含むもの。
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芸術祭のテーマに、独創的かつ新たな視点でアプローチするもの。
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歴史、ものづくり、景観、地形、伝説、伝統芸能ほか、すみだの多彩な地域資源を活かすもの。
申請要件:
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営利を目的としない芸術文化活動を行っている団体及び個人。法人格の有無は問いません。
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申請者の活動拠点は、日本及び海外いずれも可能です。但し、申請用紙は日本語のみ受け付けます。
◼︎支援内容
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補助金
(ア) 上限額100万円 (対象経費以内 補助率10/10)
(イ) 上限額200万円 (対象経費以内 補助率10/10)
※うち1件は、東京鋲兼による特別支援枠
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墨田区が管理する文化施設などを減免料金にてご提供するほか、実施会場の手配に協力します。
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音響・照明や展示施工などの技術的なご相談に応じます。
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墨田区等の広報媒体、区内文化施設等でのチラシ配架、SNSでの情報配信など広報協力を行います。
2016年より10年続くアートプロジェクト「隅田川 森羅万象 墨に夢」(通称すみゆめ)で培った経験に基づいて、プロジェクト実施にあたり事務局が伴走します。
申請方法:
◎持込みによる提出はできません。
申請書類の提出方法は、原則的にオンラインで申請ください。
申請用紙(Wordファイル)をダウンロードし、必要事項をご記入後、申請フォームより必要書類のアップロードを行ってください。
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オンラインで申請できない方のみ、郵送にてご申請ください。
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オンライン申請先と郵送先は、申請受付開始日の2026年1月12日(月祝)に公開します。
申請締切:
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オンライン:2026年2月16日(月)23:59まで
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郵送:2026年2月16日(月)消印有効
※募集内容、申請用紙、申請方法等の詳細情報は、必ず「募集案内」をご確認ください。
◼︎公募説明会
・2025年12月14日(日)14:00〜@曳舟文化センター 第1会議室
・2026年1月13日(火)18:00〜@オンライン
・2026年1月20日(火)18:00〜@すみだ北斎美術館 講座室
公募説明会の詳細はこちら:
https://sumida-artfest.jp/details/dl/sumida_gosai_call_briefing_session_2026.pdf?ver=20251107
その他、詳細や募集案内は「すみだ五彩の芸術祭」WEBサイトにてご確認ください。
https://sumida-artfest.jp/details/
これまでに「すみゆめ」公募に参加した二人のアーティストにお話を伺いました。
今年度を含めてこれまで4回参加して、北斎漫画や地元の銭湯、町工場などを題材に舞踏公演( https://sumiyume.jp/report/5508/ )を行ってきたAGAXARTの我妻恵美子さんと、昨年度、隅田川の沈鐘(ちんしょう)伝説にインスパイアされ、ツアー型演劇作品( https://sumiyume.jp/report/5933/ )を発表した謎音研究所の植村真さんのお二人に、すみゆめ参加の経験を踏まえ「すみだ五彩の芸術祭」公募プロジェクトに対する期待などを伺いました。


企画者に伴走する「ちょうど良い」仕組み
植村さんは、すみゆめ事業の特色の1つである、伴走型のサポートがありがたかったと語りました。作品制作のためのリサーチ段階から地域の人や場を紹介してもらい、助成金を得るだけの一過性の支援ではなく、作品制作の手がかりがつかめないときにも伴走してくれる良さがあったと言います。美術館やホールで企画する場合、その施設の担当者により企画が作り込まれていたりテーマがはっきりしていたりするところ、「すみゆめ」は、テーマの解釈も幅広くでき、ただ金銭的に支援されるわけでもなく、その案配がちょうど良かったと振り返ります。
多様な交流の機会が作品世界を更新する
我妻さんは、参加をきっかけに他のプロジェクトとも交流でき、表現者同士のコラボレーションが生まれたと話します。2025年の公演では、昨年度行ったワークショップに参加したプロレスラーが我妻さんたちの舞踏の舞台に立ち、観客もプロレスファンとダンスファンが混ざり合う貴重な機会となりました。また、我妻さんは、すみだに暮らす人々の人情に魅力を感じていると語ります。地域の祭りや今回コラボした牛嶋木遣会の皆さんとの飲み会にも参加して時間を共有していき、地域コミュニティに温かく迎えられ、それらの経験が作品の世界観を広げていると分析しました。
地域に強い、充実した広報サポート
お二人が共通して挙げた点に広報面でのサポートがあります。自分たちでは届かない人たちに告知できたことや、公共施設やコミュニティーセンターなどでチラシが配布できたこと、地域団体や学校を対象とした告知など、よそから来た人間にとってはアプローチしづらい方々へも情報が届く仕組みがあったことでした。
地域資源を活かすことの重要性
植村さんは、どんな企画でもその場所でやる以上、土地のことを考えて作品を作ることが重要だと言います。我妻さんは、劇場で単独公演を行う場合と異なり、芸術祭のコンセプトやテーマと自分のやりたいことの間で対話が生まれ、それが作品制作のモチーフを探るきっかけになると公募プロジェクトへの参加の意義を語りました。テーマやコンセプトの「縛り」は「工夫を生む原動力」であり、その縛りがなければ「ふわっとしてしまう」、しかし縛りがあることで、新たな創造の視点や出会いのチャンスが生まれ、工夫の幅が圧倒的に広がると語りました。
東京23区で初となる本格的な芸術祭に参加できる「公募プロジェクト」。「先輩」企画者たちの経験を少し紹介しました。ぜひ応募の参考にしてみてください。
【プロフィール】
我妻恵美子(あがつま・えみこ)
舞踏家・振付家・演出家。早稲田大学文学部を卒業と同時に舞踏集団・大駱駝艦に入艦、麿赤兒に師事。2020年に独立し舞踏を中心とした舞台・イベントの企画制作を手掛けるAGAXARTを設立。近年は台湾と日本を行き来し、舞台表現を通じて国際交流を深めている。自身の舞踏作品に加え、野村萬斎、渡辺えり、杉原邦生、ペヤンヌマキなどによる舞台作品にも出演、振付も行う。
植村真(うえむら・まこと)
2015年 東京藝術大学大学院美術研究科 先端芸術表現専攻修了。土地のフィールドワークや歴史・民俗学的リサーチに基づくツアーパフォーマンスなどを通して、観客のナラティブや能動性の在り方、社会と芸術の境界について考える作品を発表。また、国内外のアーティストと領域を問わず協働を行っている。謎音研究所 主任研究員。展覧会・公演・パフォーマンスの演出の他、演劇、ダンス、演奏会等の照明デザイン、映像、デザイン等で幅広く活動。
「すみだ五彩の芸術祭」とは
墨田という文字に含まれる「墨」。
水墨画では、墨や筆遣いと余白を組み合わせて多彩な世界を表現することを「墨に五彩あり」といいます。
この芸術祭では「すみだの五彩」をテーマに、色彩溢れるこの世界を芸術を通じて表現し、地域や人の魅力、そしてすみだに暮らす喜びを再発見していきます。
コンセプトは「発気揚々」(はっきようよう)。
相撲の「はっきよい」というかけ声の元にもなったというこの言葉を胸に秘め、
作品を観て歩いたり、参加型の作品の一員になったり、作品をきっかけに話し合ってみたり。
そんな日々を繰り返すうち、仲間が生まれ、すみだがかけがえのない土地になっていく。
このコンセプトには、芸術を起点にすべての人がそれぞれのペースで居られる地域を創っていこうという気持ちが込められています。
2026年の秋、墨田区内各所で行われる、4ヶ月にわたるアートの祭りにご期待ください。

「隅⽥川 森羅万象 墨に夢」とは
「隅田川 森羅万象 墨に夢」(通称:すみゆめ)は、葛飾北斎が90年の生涯を過ごした隅田川流域で、墨で描いた小さな夢をさまざまな人たちの手で色付けしていくように、芸術文化に限らず、森羅万象あらゆる表現を行っている人たちがつながりながら、この地を賑やかに彩っていくことを目指すアートプロジェクトです。
「すみだ五彩の芸術祭」の一つの柱として、公募プロジェクトを担います。
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