Bulwark Dynamics、シードラウンドの初回クローズにおいて680万ドルを調達 — 尾道造船と提携し、無人揚陸艇「Caravel」を日米で生産へ
日本出身の創業者が米国で立ち上げたスタートアップが、米国の防衛技術と日本の造船技術を組み合わせ、インド太平洋の安全保障と海上輸送に寄与する。

メンローパーク(米国カリフォルニア州) — 2026年9月10日 — 無人揚陸艇を開発するBulwark Dynamics(ブルワーク・ダイナミクス、本社:米国カリフォルニア州メンローパーク=シリコンバレー、CEO:Nhat Lieu)は、シードラウンドの初回クローズにおいて680万ドル(約10.5億円)の資金調達を実施したことを発表しました。あわせて、尾道造船株式会社(兵庫県神戸市、以下「尾道造船」)と戦略的協業に関する基本合意書を締結し、無人揚陸艇「Caravel」シリーズの日米生産体制の構築に向けた取り組みを開始したことをお知らせします。
本ラウンドはローリングクローズ形式で実施し、日米の投資家として尾道造船、SBI US Gateway Fund LP、Archetype Ventures、Nēnē Venturesなどが参加しました。調達資金は、無人揚陸艇「Caravel」シリーズ量産機の開発・検証、日米での生産体制の立ち上げ、および実運用を想定した環境での検証に充てられます。
Bulwark Dynamicsが取り組む課題
有事や災害時における海上輸送では、有人船の運用自体に大きな危険が伴い、さらに港やクレーンなどのインフラが使えない場合もあります。その結果、命に関わる重要な物資が、必要なときに必要な場所に届きません。同社はこの構造的な制約を、船そのものの設計と製造から解こうとしています。
Bulwark Dynamicsは、日本出身の2人によって2025年に米国で創業されたデュアルユース防衛スタートアップです。危険かつインフラが整備されていない島嶼・沿岸部にも物資を届ける「Caravel」シリーズをはじめとする無人揚陸艇と、その運用ソフトウェア(自律航行・システム統合・ペイロード統合の各技術)を開発しています。安全保障・防衛用途をはじめ、災害支援や離島物流・エネルギー分野での活用も念頭に置いています。
なぜ、日本と作るのか
Bulwark Dynamicsは、Caravelの日本における船体建造に向けて体制構築を進めています。日本には、世界水準の建造品質と熟練した技能人材、そして長年にわたり蓄積されたノウハウを持つ造船産業があります。加えて、太平洋の反対側で建造や修繕を行うと、納入にも修繕にも長い海上輸送を伴い、必要なときに必要な数を揃えられません。日本で造り、運用し、修理する。ライフサイクル全体を運用の現場に近い場所で完結させることで、稼働率とコスト効率の両面で優位に立てると考えています。
日本での無人艇建造の判断は、日米双方の産業政策の流れとも重なります。両政府は2025年10月に造船分野の協力覚書に署名して「日米造船作業部会」を設置し、2026年2月にはワシントンD.C.で初会合が開かれました。日本政府は2025年12月、2035年までに建造能力を現在の約2倍に引き上げる「造船業再生ロードマップ」を策定。米国ホワイトハウスからも、同盟国の造船産業との協力を海事産業基盤の再建策として位置づける方針が示されています。
日本の造船業にとって、無人艇は新たな市場です。同社は、その最初の需要を日本の造船所に持ち込み、艦艇建造とも商船建造とも異なる「量産型無人艇」という製品分野を国内に立ち上げることを目指します。これは日本の防衛産業基盤の強化につながり、得られた技術は民間の海上物流分野への転用も見込めます。日米両政府が進める造船協力と同じ方向を向いた民間主導の取り組みとして、無人艇という新しい市場を国内に生み出し、日本の造船業の成長に寄与したいと同社は考えています。
尾道造船との協業

尾道造船は、1943年に創業された造船会社です。ばら積み貨物船、タンカー、RORO船、フェリーを含む700隻を超える建造実績を有し、69,500G/Tの船台を1本と、最大パナマックス船型が入渠可能な2本の修繕ドックを備えています。また、グループ会社にはばら積み貨物船を主力とする佐伯重工業があります。今回の提携により、尾道造船が船体建造を担う体制について、両社で協議を進めます。
両社は、尾道造船所の活用に加え、無人艇の量産に特化した新たな生産拠点の整備についても協議を進めています。
「造船業のみならず、船舶の運航に必要な乗組員の人員不足も深刻化しています。無人艇への取り組みを通じて省力化に関する知見・技術を獲得し、海運業界の人材不足の抜本的な解決に造船所として貢献すべく、協議を進めてまいります。」
尾道造船株式会社 代表取締役社長 中部隆
「Caravel」— 港のない海岸線に、物資を届ける

Caravelは、有事や災害時の危険な環境において、港・クレーン・岸壁のない浜辺に直接乗り上げて荷降ろしができる無人揚陸艇です。既存船体の改造や後付けの自律化ではなく、この一点のためにゼロから設計されました。一人のオペレーターによる複数隻運用と、GPS妨害環境下での自律航行を想定して開発され、有人艇ではコストや安全上の理由で到達が難しかった海岸線にも物資を届けることができます。
2026年2月には、米国にて全長15フィート(約5m)の試作機を用いた海上実証を行い、無人航行・ビーチへの上陸・荷下ろし・離岸の一連の流れを、人的介入なしで実証しました。
この15フィート型に加え、20ftコンテナを積載可能な35フィート型の開発を進めており、主要コンポーネントを共通化することで量産に適した設計としています。用途は防衛に限りません。離島への生活物資・医療物資の輸送、災害時の緊急支援など、海上輸送が求められる場面での幅広い活用を並行して進めています。
「多くの企業が偵察用や攻撃用の無人艇を作る中、私たちはエンドユーザーが本当に必要としているものを徹底的にヒアリングし、そこで浮かび上がった島嶼輸送という課題から逆算してCaravelを設計しました。Caravelは輸送任務における効率・安全性・到達可能性を大幅に改善できると考えています。そして、必要な場所すべてに必要な数を配備できる価格と体制を実現します。」
Bulwark Dynamics 共同創業者兼CEO Nhat Lieu
投資家コメント

「2025年7月、日米の懸け橋となる企業を創るという大きな志を胸に、2人の若き創業者が米国に渡りました。わずか1年余りの間に、NASA、米海軍、米海兵隊、Anduril Industries、Tesla出身の優秀な人材を招き入れ、無人水上艇の開発を推進しています。本格的な開発開始から短期間で水上試験に成功し、さらに尾道造船との協業を通じて開発から生産に至る道筋まで描きつつあります。私たちは、この圧倒的なスピード感と実行力こそがスタートアップの価値であり、Bulwarkの大きな強みであると考えています。
米国の先進的なソフトウェア技術と、日本が世界に誇るものづくりの力を融合することで、Bulwarkが日米を代表するディープテック企業へと成長することを期待しています。日本発のハードウェア技術と米国発のソフトウェア技術を結び付けることで、日米両国の産業競争力向上にも貢献できると信じています。」
SBI Holdings USA, Inc. CEO兼
SBI US Gateway Fund LP ジェネラル・パートナー 山田昌平

「インド太平洋の海上輸送と安全保障を確保するため、日米が連携して海洋産業を立て直す動きが政策・産業の両面で加速しています。Bulwarkはデュアルユースのスタートアップとして輸送に焦点を絞り、防衛の需要を起点に、離島物流・災害支援・洋上エネルギーといった民需インフラへの展開までを視野に入れた無人艇を開発しています。この流れを民間主導で具体化する担い手として、日米両国の産業競争力の向上に寄与する企業へと成長することを期待しています。」
Archetype Ventures General Partner 向川恭平、Partner 北原宏和

「インド太平洋の中心に拠点を置く私たちNēnē Venturesは、優れた艇を世に送り出すBulwark Dynamicsのミッションを支援できることを誇りに思います。Bulwarkのチーム構成は、日米という最も重要な同盟関係そのものを体現しています。すなわち、日本の卓越した製造技術と、米国の高い技術力の融合です。沿岸域モビリティの最前線における「Caravel」の新たな飛躍を、心より期待しています。」
Nēnē Ventures 共同創業者兼ジェネラル・パートナー J.P. Snyder
今後について
今回の調達により、量産機の開発・検証と運用フィードバックのサイクルを加速するとともに、尾道造船との協業を通じて今後必要とされる生産体制の構築を進めます。あわせて、日米両拠点でエンジニアリング・試験運用・事業開発の各部門で採用を強化します。
Bulwark Dynamicsについて

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会社名 |
Bulwark Dynamics, Inc. |
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所在地 |
カリフォルニア州メンローパーク(シリコンバレー) |
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代表者 |
Nhat Lieu(ニャット・リュウ) |
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設立 |
2025年5月 |
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事業内容 |
無人揚陸艇の開発・製造 |
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日本法人概要 |
Bulwark Dynamics Japan合同会社 代表:椎名 悠太 |
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ウェブサイト |
本件に関するお問い合わせ
Bulwark Dynamics 広報担当:石渡
Email:press@bulwarkdynamics.com
以上
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