【調査レポート】厚労省「量より質」方針、当事者の過半数が「知らなかった」
~法定雇用率引き上げに6割が「数は増えても質は変わらない」と回答~
障害者の就労支援を中心にソーシャルビジネスを展開する株式会社ゼネラルパートナーズ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:進藤均)が運営する障がい者総合研究所は、「厚労省『量より質』方針は当事者に届いているのか?― キャリア形成・処遇改善への期待と実感調査」を実施しました。

現在、厚生労働省は障害者雇用において「雇用率を高めること(量)」だけでなく、「働く環境や待遇を改善すること(質)」を重視する方針に転換しています。2023年4月からは、企業に対し「障害者の職業能力を開発・向上させること」が法律で義務付けられました。本調査では、この方針転換を当事者がどの程度認知し、実際の職場で変化を実感しているかを調査しました。
主なトピックス
①「量より質」方針、過半数(54.6%)が「知らなかった」。内容理解は17%に留まる
②障害種別で「温度差」―精神障害は認知度最低だが期待度最高、発達障害は認知度高いが期待度最低
③法定雇用率2.7%引き上げに、6割が「数は増えても質は変わらない」と回答
1. 「量より質」方針の認知度―過半数が「知らなかった」
厚生労働省が「雇用の質」を重視する方針に転換していることについて尋ねたところ、「知らなかった」が54.6%と過半数に達しました。「なんとなく聞いたことがある」28.5%、「知っていた(内容まで理解している)」は16.9%にとどまり、当事者への情報発信が十分に行き届いていない現状が浮かび上がりました。

障害区分別では特徴的な違いがありました:
● 精神障害のある方:「知らなかった」が69.2%と最も高い
● 発達障害のある方:「知らなかった」は35.7%と比較的低い

2. 「雇用の質」向上への期待―障害種別で顕著な温度差
「雇用の質」重視の方針に対する期待度を尋ねたところ、「期待している」(とても+やや)が43.8%、「期待していない」(あまり+全く)が32.3%という結果になりました。注目すべきは、障害種別ごとの「温度差」です。

● 精神障害のある方:59.0%が期待あり(全区分中最も高い)
● 発達障害のある方:28.6%にとどまり、「期待していない」が42.9%で最多
精神障害のある方は方針の認知度が最も低いにもかかわらず期待度は最も高く、現状に対する切実な改善要望がうかがえます。一方、発達障害のある方は認知度が比較的高いにもかかわらず期待度が最も低く、「制度が変わっても現場は変わらない」という冷めた見方が目立ちます。
3. 法定雇用率2.7%引き上げへの期待―6割が「質は変わらない」
2025年4月に法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられたことについて、選択肢の変化への期待を尋ねました。
● 選択肢が増えると感じる:18.5%
● 選択肢は増えないと感じる(数は増えても質は変わらない):60.0%
● わからない:21.5%
全障害区分で56〜71%が「増えない」と回答しており、雇用率引き上げだけでは「質」の改善にはつながらないとの見方が圧倒的多数を占めました。
障がい者総合研究所の見解
今回の調査で印象的だったのは、厚生労働省の「量から質へ」という方針転換を、当事者の過半数が認知していないという事実です。これは単なる広報不足の問題ではなく、政策と現場の間に大きな乖離があることを示しています。
障害種別ごとに求める「質」の中身が異なるという結果も重要です。身体障害のある方が給与水準を、精神障害のある方が雇用の安定を、発達障害のある方が適切な配慮をそれぞれ最優先しています。これは「雇用の質」を一つの指標で測ることの難しさを物語っています。
法定雇用率の引き上げだけでは質の向上にはつながらないという声が6割に達していることは、企業には「数合わせ」にとどまらない取り組みが、行政には方針の実効性を担保する仕組みづくりが求められていることを強く示唆しています。
※本調査の詳細レポート(自由記述の声、働く上で重視すること、昇進・昇格の実態等)は以下をご覧ください。
https://note.com/gp__info/n/n001e96ae79f4
調査概要
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調査期間:2026年2月13日~2月20日
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調査機関:自社調査(障がい者総合研究所)
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調査対象:障がい者総合研究所のアンケートモニター
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有効回答数:130名
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調査方法:インターネット調査
回答者属性:
年代:20代2.3%、30代16.9%、40代30.8%、50代35.4%、60代13.8%、70代以上0.8%
障害区分:身体障害43.1%、精神障害30.0%、発達障害21.5%、知的障害5.4%
※障害区分は回答者の診断名に基づく分類です。精神保健福祉手帳の保有者には発達障害の方も含まれますが、
就労上の課題や配慮の違いを踏まえ、本調査では精神障害(うつ、双極性障害、統合失調症等)と発達障害
(ASD、ADHD等)を分けて分析しました。




障がい者総合研究所では、今後もアンケート調査を通じて障害のある方々の声を社会に届けてまいります。アンケートモニターへの登録を随時受け付けておりますので、ぜひご協力をお願いいたします。
■本調査に関するお問い合わせ先
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【Mail】media-pr@generalpartners.co.jp
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