【開催レポート】東邦音楽大学パフォーマンス総合芸術文化専攻 世界で活躍する指揮 者・作曲家 曽我大介客員講師による特別講座を開催!
東邦音楽大学パフォーマンス総合芸術文化専攻(PACS)は、2026年10月24日(土)、指揮者・作曲家の曽我大介客員講師をお迎えし、特別講座「人に訴えかける(オーケストラ)サウンドとは?」を開催
世界を舞台に活躍する指揮者・作曲家の曽我先生は、クラシック音楽の枠にとどまらず、ポップス、アニメ、映画、ゲーム音楽など、幅広いエンターテインメント分野にも深い造詣をお持ちです。また、映画音楽やアニメーション音楽の分野で世界的に知られる久石譲氏をはじめ、さまざまなアーティストとのコラボレーションを通じて、多彩な音楽表現に携わってこられました。
こうしたジャンルの垣根を越えた曽我先生ならではの視点は、音楽とエンターテインメントを多角的に学ぶ東邦音楽大学パフォーマンス総合芸術文化専攻(PACS=パックス)の「360度の学び」に通じるものであり、学生たちにとって大変貴重な機会となりました。
音楽は、なぜ人の心に訴えかけるのか?
講座の冒頭では、同じ映像に異なる音楽を組み合わせた例を紹介。
音楽によって映像の印象が大きく変わることを体感しながら、「なぜその音楽が映像に合うと感じるのか」という問いについて考えました。
音楽の三大要素であるリズム・メロディー・ハーモニーと、人間の感覚や身体的な動き、感情との関係についても紹介されました。
さらに、テレビCMなどで使われる印象的なメロディーを例に、音楽と人々の記憶や経験との結びつきについても解説。音楽には、聴く人の記憶を呼び起こし、特定の情景や感情を想起させる力があることを学びました。

楽器の音色が生み出すイメージと表現力
続いて、楽器の歴史や、それぞれの音色が持つイメージについて解説が行われました。
例えば、ホルンはもともと狩猟の場面で使われていた楽器であり、クラシック音楽では狩人や自然を連想させる表現に用いられてきました。
その後、ベートーヴェンがホルンを英雄的なイメージの表現に活用したことで、楽器の音色が持つ印象はさらに広がり、こうした表現は現代の映画やゲーム音楽にも受け継がれていると説明されました。
また、映画音楽やCM音楽など、商業音楽の制作において重要となるのが、聴き手に共通して理解される「普遍性」であると説明されました。
作曲家にとって大切なのは、単に自分の感性だけで音楽を作るのではなく、聴き手がどのように受け止めるのかを考え、音楽を通じて伝えたいイメージを共有すること。
そのためには、幅広いジャンルの音楽に触れ、さまざまな表現技法を自分自身の中に蓄積していくことが重要であると語られました。
講座では、近年急速に進化するAIによる音楽制作についても触れられました。
曽我先生は、AIが膨大なデータから生成できるようになったからこそ、それが本当に良いものなのか、使えるものなのかを判断する嗅覚、力が重要になると指摘。
来年度からの授業展開については、AIによって生成された音楽と生楽器による演奏を融合させるなど、新たな音楽表現の可能性を探る授業を取り入れていきたいとの構想についてもお話しいただきました。

本物の音楽に触れ、自分自身の「音楽の引き出し」を増やす
過去の名曲から現代の映画音楽まで、多くの作品に触れることで、作曲家はさまざまな音楽表現のパターンを学び、自分自身の中に蓄積していくことができます。
また、実際にコンサートへ足を運び、生演奏に触れることの大切さについてもお話しいただきました。
心を動かされた音楽に出会ったときには、ただ感動するだけでなく、「なぜこの音楽は素晴らしいと感じたのか」「どのような仕組みで作られているのか」を考え、探究する姿勢を持つことが大切であると、学生たちに呼びかけられました。
指揮者は、音楽を「目に見える形」で伝える
講座の後半では、「指揮」を通して、音楽を人に伝えることの意味について学びました。
指揮者の役割は、単に拍子やテンポを示すことだけではありません。
曽我先生は、学生たちと手拍子を合わせる実演を行い、言葉を使わなくても、動きによって音楽の速さや強さ、表現を共有できることを紹介。

童謡「赤とんぼ」を題材に、学生たちが実際に指揮を体験する場面もありました。
曽我先生の指導のもと、城之内ミサ特任教授がピアノ伴奏を担当し、3拍子の基本的な振り方や、演奏の始まりを伝える予備動作、呼吸を合わせることの重要性などを学びました。
さらに、受講生の中から一人が前に出て指揮に挑戦。
曽我先生からは、余計な動きをせず、肩や肘、手首などの関節を自然に連動させることや、滑らかな動きによって音楽のニュアンスを伝えることなど、具体的なアドバイスが送られました。

東邦音楽大学PACSでは、作曲・編曲、デジタル音楽制作などの専門的な学びに加え、舞台芸術、映像、エンターテインメントビジネスなど、音楽を取り巻くさまざまな分野を横断的に学ぶ「360度の学び」を展開しています。
2027年度からは、曽我大介客員講師による音楽理論や音楽構造を学ぶ「音楽構造ラボ〜リズムとハーモニー」「名曲構造分析」、ポップスにも必要となるオーケストレーションを学ぶ「モダン・ポップスオーケストレーション」の授業が展開されます。
PACSでは、今後も各分野の第一線で活躍する講師陣から直接学ぶ機会を通じて、音楽とエンターテインメントの未来を担う人材の育成を目指してまいります。
開催概要
講座名:「人に訴えかける(オーケストラ)サウンドとは?」
日時:2026年10月24日(土)
会場:東邦音楽大学 文京キャンパス
講師:指揮者・作曲家 曽我 大介(パフォーマンス総合芸術文化専攻客員講師)
主催:東邦音楽大学 パフォーマンス総合芸術文化専攻

講師プロフィール
桐朋学園大学、ウィーン音楽大学などでB.ハイティンク、G.シノーポリ、I.ムーシン、U.ラーヨビッチ、小澤征爾、田中雅彦、I.ケプテア、森正の諸氏に学び、1989年ルーマニア国立音楽院(現音楽大学)在学中にルーマニアでデビュー。
ブザンソン、コンドラシンの二大指揮者コンクール優勝を始め、数多くのコンクールで上位入賞。以降日本はもとより、ヨーロッパ、南米を中心に世界各地のオーケストラに客演を重ねている。ルーマニアとは特に関係が深く、ブカレストのジョルジュ・エネスク・フィル、ルーマニア国立放送響、ブラショフ・フィルなどに定期的に客演。2021年末にはモスクワ・クラシック・バレエ日本公演「くるみ割り人形」を指揮、的確な演奏で作品の魅力を存分に伝え高い評価を得た。
2024年4月には日本、ドイツ、ルーマニア三国の共同プロジェクト、ベルリンフィルハーモニーホールにおける第九初演200周年記念公演を大成功に導いた。2025年9月には韓国・光州にて韓日国交正常化60周年記念友好演奏会を指揮。
ルーマニア国立放送響首席客演指揮者(2002-2003)、大阪シンフォニカー響(大阪響)音楽監督(2001-2004)、ブラジル・ロンドリーナ音楽祭首席指揮者などを歴任。東京ニューシティ管弦楽団(パシフィックフィルハーモニア東京)とは2005年から首席指揮者、首席客演指揮者、正指揮者として2022年3月まで実に17年にわたり信頼関係を築き、楽団の発展に大きな足跡を残した。
著書に『《第九》虎の巻』、『歌う人のための《第九》合唱譜』、『ベートーヴェンのトリセツ〜指揮者が読み解く天才のスゴさ』、『おしえて!そがさんここが知りたいクラシック100の謎』(音楽之友社)、『ベートーヴェン、21世紀のウィーンを歩く。』(集英社)。共著として『芸術を創る脳』(東大出版会)、デルタ・クラシックスより東京ニューシティ管弦楽団とのCDをリリース。
ルーマニア・ブラショフ市とブラジル・ロンドリーナ市名誉市民。
世界各地の音楽祭出演や講習会の講師、コンクールの審査員、また近年は作曲家としても活躍し、その作品は海外を含め広く演奏されている。2025年はルーマニアでコントラバス協奏曲が初演された。
ルーマニアと武蔵野市の交流の端緒を開くなど日本とルーマニアとの相互理解の促進に尽力してきた長年の功績により、2021年8月に令和3年度外務大臣表彰を受賞。
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