全盲の情報工学博士による帳票読み上げアプリも。外部開発者5名がOCR API「space ocr」で業務アプリ5件を半日〜6日で実装、ソースコードを公開
請求書レビュー台帳、弥生会計向け仕訳CSV、工事別原価台帳、帳票の読み上げ、書類フォルダの一括CSV変換。用途を指定せず募集し、62件の応募から選んだ5つの実装を公開

請求書や納品書をシステムに取り込む仕事は、文字を読み取って終わりではありません。読み取った値が原本のどこにあるかを確認し、必要なら修正し、会計ソフトや社内台帳へ渡すところまでが実務です。
BYULBIT(ビョルビ)合同会社(本社:東京都新宿区、代表社員 ファンヨンハ、以下「当社」)は、外部開発者5名に制作を依頼し、「space ocr」を使った業務アプリ5件をソースコードとともに公開しました。発注から納品までは最短約11時間、最長約138時間(6日)でした(※1)。
制作テーマは指定していません。「space ocrで何を作ってみたいか」を応募者自身に提案していただき、62件の応募から5件を選びました。
完成したのは、請求書レビュー台帳、弥生会計へ取り込める仕訳CSV、工事別原価台帳、帳票の読み上げアプリ、書類フォルダの一括CSV変換アプリです。このうち帳票の読み上げアプリを制作したのは、情報工学の博士号を持つ全盲のITエンジニアです。
本リリースで紹介する制作物、ソースコード、映像は、いずれも制作者の許諾を得て公開しています。著作権は各制作者に帰属します。
■ space ocrとは?
space ocrは、請求書や納品書などの画像から、必要な項目を指定してデータとして取り出せるOCR APIです。
読み取った値はもちろん、
・その値が原本のどこに書かれていたのかという位置情報 (cells)
・人が確認したほうがよい項目 (review)
・次の業務へそのままつなげられる正規化した値 (normalized)
も一緒に返します。
書類ごとのテンプレート登録や専用学習は必要なく、画像と欲しい項目を送って利用できます。
■ OCRは、読めてからが本番です

AI-OCRによって、請求書や納品書から文字や金額を取り出すことは、以前よりずっと簡単になりました。
しかし、業務で本当に必要なのは、その先です。
「この金額は原本のどこから来たのか」
「どこを人が確認すればよいのか」
「確認した結果を、次の業務へどう渡すのか」
OCRの結果を実際の仕事へつなぐには、こうした処理が必要になります。
space ocrが目指しているのは、「OCRで読む」だけで終わらず、「確認して、次の仕事へ渡す」ところまで作りやすくすることです。
今回、外部開発者5名には、このAPIを使って、それぞれが考える「OCRの次」を実装してもらいました。
■ 公開する5つの実装

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制作者 |
制作物 |
発注→納品 |
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Michiel Tech Lab |
請求書レビュー台帳 |
約52時間 |
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和泉惣之助氏 |
請求書 → 弥生会計 仕訳CSV |
約11時間 |
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りょう03氏 |
工事別原価台帳 |
約37時間 |
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モグテックラボ・守井清吾氏 |
帳票の読み上げアプリ |
約73時間 |
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Blue Basket |
書類フォルダの一括CSV変換 |
約138時間 |
募集では、APIから返ってきたデータをそのまま表示するだけのサンプルは対象外とし、取得したデータを確認画面、保存、業務処理、外部サービス連携など、実際の「次の仕事」に使うことを条件としました。
選ばれた5件は、いずれも制作者自身が仕事や現場で扱っている領域をもとに提案したものです。
また、好意的な評価を書くことは依頼せず、開発中に詰まった点や不足している機能も率直に報告してほしいと募集要項に明記しました(※3)。
実装① 請求書レビュー台帳

Michiel Tech Labが提案したのは、OCRの結果をそのまま保存するのではなく、「担当者が原本を確認し、次の処理へ進めるところまで」を考えた請求書レビュー台帳です。
画面には読み取った値と原本画像が並び、項目を選ぶと、その値が書かれていた場所に枠が表示されます。誤りがあればその場で修正でき、確認後は数量×単価や合計金額の整合性、明細の重複もチェックします。
結果はSQLiteへ保存し、CSVとして書き出せます。
「原本と照らし合わせる → 必要なら直す → 検算する → 次の処理へ渡す」という実務の流れまで丁寧に設計された実装です。
制作者コメント:
「values と cells が分かれているので、値と根拠を同じ UI へ載せやすい設計でした。」(※3)
ソースコード:
https://github.com/hwang-yh-cto/space-ocr-invoice-review-demo
実装② 請求書 → 弥生会計 仕訳CSV

和泉惣之助氏の提案は、OCRの結果を「経理が実際に使うデータ」まで一気につなげた実装です。
撮影した請求書から、弥生会計に取り込める仕訳CSVを生成します(※5)。複数の税率が含まれていれば税率ごとに分け、税別・税込も判定します。判断が必要なものは取り込み用データに混ぜず、確認用の別ファイルへ分けます。
また、確認用には請求書に印字された表記を残しながら、計算では「1,200円」を「1200」のように数値として扱えるデータを利用します。
「どこまで自動化し、どこを人に戻すか」が明確に整理されており、発注から約11時間でここまで会計実務につながる形になった点も印象的でした。
制作者コメント:
「normalized が values と同じ形で返るので、表示は原本どおり・計算は数値、がそのまま実装できました。」(※3)
ソースコード:
https://github.com/izumisounosuke/invoice2yayoi
実装③ 工事別原価台帳

りょう03氏が選んだのは、紙の書類が今も多く行き交う建設現場の原価管理です。
注文書・納品書・請求書を読み取り、数量×単価や明細合計を検算します。さらに、社内に登録された工事・取引先のマスターと照合し、二重計上も検出します。
問題が見つかった場合は、原本画像の該当箇所だけに枠を表示して確認できます。
OCRを単独の機能として置くのではなく、「検算 → 照合 → 確認 → 原価計上」という現場の流れの入口に自然に組み込んだ点が、この実装の特徴です。
制作者コメント:
「明細の読み取りが強い。表でも行がずれず、紙を撮っても PDF 直出力と同じ結果でした。」(※3)
ソースコード:
https://github.com/oisidonut/space-ocr-construction-cost-ledger
実装④ 帳票の読み上げアプリ
モグテックラボ・守井清吾氏/発注から納品:約73時間 (※4)
5件の中でも、space ocrの位置情報を特にユニークな形で活用したのが、モグテックラボ・守井清吾氏による帳票の読み上げアプリです。
請求書や健康診断結果表のような2段組の帳票は、認識した文字を単純な順番で読み上げると、左右にある別々の項目が混ざって聞こえることがあります。
そこで、値ごとに返る紙面上の位置からレイアウトを組み直し、スクリーンリーダーで理解しやすい順番に並べ替えました。読み上げ中の値に合わせて、原本画像上の枠も移動します。
制作した守井氏は、工学博士(情報工学)で全盲のITエンジニアです(※2)。読み上げ順序は画面を見ただけでは評価できないため、開発時の確認も実際にスクリーンリーダーの音声を聞きながら行われました。
位置情報を確認画面への表示ではなく、読み上げ順序そのものを組み立てる材料として利用した点は、5件の中でも特にユニークな使い方でした。
請求書と健康診断結果表の2種類で動作を確認したデモであり、製品ではありません。読み上げ順序の再構成はアプリ側の実装です。
制作者コメント:
「値ごとに座標が返るので、読み上げの順序を画像のレイアウトから組み直すことも、その値が画像のどこから来たのかを実装側で検証することもできました。」(※3)
ソースコード:
https://github.com/oisidonut/space-ocr-screen-reader-demo
実装⑤ 書類フォルダの一括CSV変換

Blue Basket氏が作ったのは、開発者向けのAPIを、プログラムを書かない経理・総務の方でも操作できる形にしたWindowsアプリです。
書類の画像やPDFが入ったフォルダを選び、「まとめて読み取り」を実行すると、日付・取引先・件名・金額・税額などが一覧になります。
確認が必要なセルだけに色が付き、選択すると原本の該当箇所が枠で表示されます。その場で値を修正し、確認後のデータをCSVとして書き出せます。
読み取りの入口を「書類が入ったフォルダを選ぶ」という分かりやすい操作まで落とし込んだことで、開発者向けAPIを非開発者が使う場合の具体的な姿が見える実装になりました。
アプリ自身はサーバーやデータベースを持たず、Windows用アプリ本体もGitHub Releasesから公開しています。
制作者コメント:
「quad が無ければ、この UI は成立しませんでした。傾いた写真でも、枠が文字にぴったり乗ります。」(※3)
ソースコード:
https://github.com/oisidonut/space-ocr-folder-to-csv
■ 同じspace ocrが、5つのまったく異なる業務で使われました
今回の5件では、同じspace ocrのAPIが、それぞれ異なる目的で使われました。
請求書レビューでは、読み取った値と原本上の位置を並べて確認するために。弥生会計向けCSVでは、印字どおりの値と計算に使える値を使い分けるために。工事原価管理では、明細の検算やマスター照合の入口として使われました。
帳票の読み上げアプリでは、値ごとの位置情報を読み上げ順序の再構成に利用し、Windowsアプリでは、確認が必要な箇所を原本と見比べながら修正する操作につなげています。
同じAPIでも、使われた機能も、その先につながる業務も異なります。
今回の5件を通じて、space ocrが単に「文字を読み取るAPI」ではなく、読み取った結果を確認し、それぞれの業務へつなぐための共通部品として使えることを、具体的な実装として示すことができました。
■ 外部開発者のフィードバックを製品改善へ
初めてspace ocrを使う開発者からは、ドキュメントの記載や画像サイズ上限、確認対象の出し方など、実装を進める中で複数の指摘が寄せられました。
開発期間中から順次修正を行い、エンジンのバージョンやデプロイ時刻を確認できる仕組みなど、新たに追加した機能もあります。今回得られたフィードバックは、今後の改善にも継続して反映していきます。
■ プログラムを書かずに利用することもできます
space ocrはAPIだけでなく、ブラウザから直接利用することもできます。
画像をアップロードし、読み取った内容を表で確認してCSVへ書き出せます。毎月100クレジット(100ページ相当)まで無料で、クレジットカード登録は不要です。
■ 代表コメント

「AIがほとんどの作業をこなせるようになった今、エンジニアリングとプロダクトに残る価値は何かを考えています。速くつくることや正確に処理することが当たり前になった先で、何をつくることに意味があるのか。技術が進むほど、むしろ考えるべきことは増えているように感じます。
今回のspace ocr APIを使ったデモ制作は、実際の業務で何が求められているのか、space ocrがどんな価値を提供できるのか、そして私たちに何が足りていないのかを、外部の開発者を通して確かめる貴重な機会になりました。
制作の過程でいただいた意見や指摘をこれからの改善につなげ、実際に必要とされる価値を提供できるプロダクトへ、これからも継続して育てていきたいと考えています。
■ サービス概要

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項目 |
内容 |
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サービス名 |
space ocr |
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提供形態 |
REST API (JSON) ・ Web App |
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料金 |
1クレジット=1ページ=10円。項目数によらず同額 |
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無料枠 |
毎月100クレジット(100ページ)。カード登録不要。登録日を起点に毎月リセット |
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失敗時 |
処理できなかった場合は課金なし |
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対応言語 |
多言語対応。日本語・英語・韓国語・中国語を含むグローバルな言語の帳票を自動判別 |
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月額プラン |
スターター 3,980円/月500クレジット、プロ 8,980円/月1,100クレジット |
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データ保持 |
API経由では画像・抽出結果を保存しません。処理サーバーは東京。Idempotency-Key使用時のみ応答をシンガポールに最大24時間保持(画像は保存しません) |
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提供機能 |
非同期ジョブ、HMAC署名付きWebhook、OpenAPI 3.1、60リクエスト/分、MCPサーバー |
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ドキュメント |
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サイト |
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MCP |
金額はすべて税込、2026年8月時点。
■ 会社概要
BYULBIT(ビョルビ)合同会社(BYULBIT LLC)
所在地:〒162-0813 東京都新宿区東五軒町2-16 DeLCCS神楽坂1F
代表者:代表社員 ファンヨンハ(HWANG YONGHA・黄龍河)
設立:2025年9月
TEL:03-4400-9771
事業内容:「space ocr」の開発・提供
URL:https://space-ocr.com/ja
※1 5件はいずれも当社がクラウドソーシングで公募し、有償で制作を依頼したものです。時間は発注から納品までの経過時間で、実作業時間ではありません。
※2 実装④の「全盲」の記載は、本人の確認を経ています。
※3 制作者コメントは各制作者の所感で、当社の測定結果ではありません。好意的な評価を書くことを条件としていません。
※4 実装④の音声合成:Open JTalk(Modified BSD)/HTS voice “tohoku-f01”(東北大学 Intelligent Communication Network Laboratory、CC BY 4.0)
※5 「弥生会計」は弥生株式会社の登録商標です。本リリースは同社との提携または対応関係を示すものではありません。
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