SympleticとArchNex、商業施設で空調のピークカット制御を共同で実証。AIで電力ピークの発生 を9割以上の精度で事前予測
設備投資を伴わず、予測に基づく空調操作により電力料金を削減する手法を構築
株式会社Sympletic (代表取締役: 宮田 龍弥) は、株式会社ArchNex (代表取締役: 千葉彌平) と共同で、商業施設「リオーネ古川」および「シネマリオーネ古川」(宮城県大崎市、延床面積 14,835m²) において、空調の電力ピークを抑える取り組みを 2026年7月から10月まで実施しました。ArchNex のビル OS「nexOS」で取得した電力・室温のデータを Sympletic が分析し、空調の電力のピークが来る時刻を、室温と設定温度から30 分前に予測することに成功しました。この手法を用いることにより、空調の起動時刻を系統ごとにずらすことで、計測対象の空調の基本料金 を最大で約 2 割削減できる試算が得られました。

背景
既存の商業施設において、空調など設備の入れ替えによる省エネは多額の投資を伴うため、実施が難しいという課題があります。そのため、設備を入れ替えず、運用(制御)を工夫することで電力コストを削減する手法が求められています。
施設が支払う電気の基本料金は、30 分ごとの平均電力の年間最大値(ピーク)で決まります。複数のテナントや映画館が同居する商業施設では、各店舗がそれぞれの都合で空調を動かすため、朝の起動時や日中の運転が偶然重なった 30 分が、その年の契約電力(基本料金)を押し上げてしまうことがあります。
これまでは、空調ごとの電力消費の推移を正確に把握する手段が乏しく、ピークを避けるための調整は現場の施設管理者の経験に依存していました。現場の負担を減らし、かつ属人的な運用から脱却するためには、空調の動きをデータに基づいて先回りして予測する技術が重要となります。
取り組みの内容
クラウドベースのデータ可視化: ArchNexが提供するビルOS「nexOS」と後付けのIoTセンサーを活用し、施設内の複数テナント(映画館・物販店舗・事務所)における空調の電力消費と室温を遠隔からリアルタイムに把握できる環境を構築しました。
分析とピーク予測: Sympleticが夏の運転データを分析し、空調が大きな電力を消費するタイミングの法則を解析しました。これをもとに、室温や設定温度などのデータから「30分以内に電力ピークが発生するか」を常時予測するシステムを開発しました。
予測に基づくピークカット制御の実証: 2026年9月の営業日において、開発した予測システムを活用した空調制御の実証を行いました。ピーク発生の予測をもとに空調の起動時刻や設定温度を先回りして調整し、快適性を維持したまま施設内の電力需要の重なりを回避できるかを検証しました。
結果
夏の通常営業日 (7月29日〜8月28日) では、映画館の主な空調のピークの 9 割以上を、ピークが来る 30 分前までに予測できました。
実証の 2 日間 (9月27日・28日) では、設定温度を 0.5〜1℃ 変えることにより、ピークが出る時刻を狙って動かし、快適性を損なわずに電力需要の重なりを回避できることが実証されました。
夏場(7〜8月)の実際の気象・運転条件を用いて試算を行った結果、本手法により、計測対象の空調 5 系統の 30 分デマンドの最大値を約 2 割 (47.2kW → 37.6kW) 削減できることが確認されました。

Sympletic の技術
Sympletic は、建築環境・設備工学とシミュレーション・AIを組み合わせることにより、「建築環境・設備のフィジカルAI」の構築に取り組んでいます。今回の取り組みは、その技術を既存の商業施設の運用改善に適用したものです。電力の推移だけを見る従来のルールベースな監視とは異なり、温熱環境の変化や設備の応答といった物理的なメカニズムを AI のモデルに組み込むことで、ピークが来る時刻の高精度な予測を実現しています。
会社概要
株式会社Sympletic
代表取締役: 宮田龍弥
所在地: 〒105-8606 東京都港区新橋二丁目20番15号 新橋駅前ビル1号館921号
URL: https://www.sympletic.co.jp/
株式会社ArchNex
代表取締役: 千葉彌平
所在地: 〒101-0024 東京都千代田区神田和泉町1番地6-16 ヤマトビル405
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