経営者の95.2%が「広報は経営機能」に賛同 ただし、「期待」と「現実」に平均33.8ptのギャップ有り
~上場企業経営者を対象とした「広報の定義」に関する意識調査を実施~
広報の学術団体である日本広報学会(会長: 筒井義信、日本生命保険相互会社 代表取締役会長)は 設立30周年記念事業の一環として上場企業経営者を対象に実施した「『広報の定義』に関する意識調査」の結果をまとめ、3月18日(火)に開催する「経営機能としての広報」シンポジウムにて報告します。
【調査結果のポイント】
● 経営者の95.2%が広報を「経営機能」と定義することに賛同
● 経営者は 「広報への期待」と「広報の現実」との間に約30 ポイントの
ギャップを感じている
● 広報責任者に最も求めている知見は「広報専門知識」ではなく
「ビジネスパーソンとしての広い視座」
● BtoB、BtoC企業(業種)による広報の位置づけ(広報責任者に求める知見)
の違いが明白に
● 経営と広報の距離が「経営機能としての広報」に影響あり
回答した経営者の多くが「広報を経営機能」として位置づけることに肯定的であり、半数以上の企業が「経営機能として広報が十分に機能している」と感じていることが判明しました。また、調査の結果から、広報の経営機能としての役割を実効性あるものにするためには、組織体制の整備や広報人材の育成が必要と考えられます。
日本広報学会ではこれらの結果を踏まえ、広報業務の範囲が不明確になりつつある現状や、社内での広報の重要性に対する認識を高める必要性も課題とし、今後の議論を深めて参ります。
なお、調査結果の詳細は後日、日本広報学会の公式サイト上(https://www.jsccs.jp/)および学会誌「広報研究」にて公開予定です。「広報の定義」の解説はこちら(https://www.jsccs.jp/concept/)をご参照ください。。
■調査概要
調査期間:2024年10月16日~11月15日
調査対象:全上場企業(3926社)の経営者
調査方法:郵送による質問状の送付とウェブ上での回答を集計
設問数:17問
有効回答数:207社(回答率5.3%)
●経営者の95.2%が広報を「経営機能」と定義することに賛同/広報への「期待」と「現実」とのギャップ
経営者の95.2%が広報を「経営機能」と定義することに賛同しています。また、半数以上(55.3%)の企業が、自社の広報が経営機能を「発揮している」と回答しています。ただ一方で、広報の個別役割に関する設問では、期待と現実の間には約30ポイント(項目平均33.8ポイント)のギャップが存在していることも判明しました。このことは、広報が経営の中でより実効性を発揮するためには、役割の明確化や能力の向上、社内外の体制整備が必要であることを示唆していると捉えています。
●広報責任者に最も求められる知見は「広報専門知識」ではなく「ビジネスパーソンとしての広い視座」
広報責任者に求められる知見として、「広報の専門的知見」よりも「会社や業界の知見」や「世の中の動きに対する知見」が優先される傾向が見られました。ただし、以下に示す業種の違いも見られました。
●BtoB、BtoC企業(業種)により広報責任者へ求める知見の違いが明白に
・BtoC企業(食料品、小売業など)では広報の専門知識を重視する傾向が強い。
・BtoB企業では広報の専門知識の優先度よりも業界理解/社会動向把握などを重視する傾向が強い。
●経営と広報の距離が「経営機能としての広報」に影響あり
広報専任部署があり、広報責任者が役員層である企業では、広報の経営機能としての発揮度が高く(77.2%)、期待と現実のギャップが小さい(15.2ポイント)ことが判明しました。経営層に広報責任者が含まれる企業では、経営機能として広報を捉え、広報に期待し、かつ組織に期待された経営機能を果しているという可能性が示されました。
一方、広報専任部署が存在していない企業では広報機能の発揮度は19.3%にとどまり、期待と現実とのギャップは59.6ポイントとなっています。非役員層が広報責任者を務める場合や、経営会議体への参加機会が限られる場合などでは広報が期待される役割(「経営機能としての広報」の役割)を十分に果たせない可能性があります。
【理事長 柴山慎一(25年4月より教育テック大学院大学教授)のメッセージ】
日本広報学会が策定した「広報の定義」が、95%を超える上場企業経営者に賛同して頂けたことは、広報の本質が的確に認識して頂けている証になったものと受け止めています。一方で、実務の現実が経営者の期待に応えきれていないという事実が確認できたことは、今後の実務と研究における大きな問題提起になったものと認識しています。今後さらなる議論を深めていく所存です。
《日本広報学会について》
日本広報学会は、広報の学術的および実践的な研究と理論の体系化などをめざして1995年に設立された学術団体です。広報の研究者・実務者など685名(2025年1月末現在)が会員として参加しています。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。