【第4回】国内活動:和束から始まる、生産現場との対話
知識ゼロからの出発。土地の現実に耳を澄ませた日々
門を叩くところから始まった、Uターンの現実
京都へUターンし、歴史の地層に向き合うと決めた私を待っていたのは、何一つお茶の知識を持ち合わせていないという現実でした。私には家系としてのつながりはあっても、お茶作りの技術も、流通の仕組みも、何一つ経験がありませんでした。文字通り、ゼロからのスタートでした。
まず私が行ったのは、和束町の生産者の方々の元へ通い、一から教えを乞うことでした。
日々現場の空気に触れ、土に触れ、気候とともに変化する茶畑を見つめる。それは、コンサルティングや投資の現場で数字やロジックを動かしていた世界とは、全く異なる規律の場所でした。自然という人間のコントロールが及ばない存在と対話し、何世代にもわたって技術を紡いできた生産者の方々の営み。その精緻な設計を一つずつ学ぶプロセスを通じて、私はこの土地の現実に深く深く、入り込んでいきました。
現場で直面した、構造的な課題
生産者の皆さんと対話を重ねるなかで、外から見ているだけでは決して分からなかった、日本茶産業の「構造的な課題」がリアルに浮かび上がってきました。
全国各地で作られるお茶は、職人の卓越した技術が詰まった最高品質のものです。しかし、既存の流通構造のなかでは、生産現場への経済的な還元は低く抑えられ、後継者不足や高齢化、ひいては生産者の精神的な疲弊へと繋がっているという、冷徹な事実でした。

「このままの変化の先に、本当に美しい技術を次の世代へ繋ぐことができるのだろうか」
現場に入り、彼らと同じ目線で未来を見つめたからこそ、その課題感は確信へと変わりました。 一方で、それと同時に感じたのは、現場が求めているのは一時的な救済ではなく、自らが丹精込めて作ったお茶の価値が、正しく、透明性を持って買い手に伝わり、対等な関係性のなかで正当に評価される構造そのものである、ということでした。
共に未来を見つめる、当事者として
私は、単なる外部の人間として生産者を客観的に眺めるのではなく、失われかけていた家業の文脈を学び直し、先祖代々の茶園の管理にも携わるようになりました。それは、私自身がこの土地の現実を共有する一人の当事者(Tea producer)にならなければ、本当の意味で信頼し合える関係性は築けないと考えたからです。
この国内での対話の日々こそが、WMATCHA & CO. がのちに提示することになる、徹底的な透明性を持ったプラットフォームや空間モデルの原点となりました。
お茶をただのコモディティ(商品)として売り抜けるのではなく、生産現場の背景や職人の美意識をそのままの純度で届ける仕組み。それは、生産者の方々と共に悩み、歩んできたからこそ辿り着いた、必然の形でした。
伝統をそのまま博物館に閉じ込めるのではなく、持続可能な経済の器を創ることで、未来へ美しく繋ぐ。 そのために、まずは足元の現実を直視し、現場の声を聴くことから、私たちのすべての実践は始まっています。
WMATCHA & CO.合同会社
ウェブサイト:https://linktr.ee/wmatchaco
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
