AIエージェントによる単体テスト自動化に関する論文を、日本科学技術連盟主催「ソフト ウェア品質シンポジウム2026」にて発表
〜既存テストでは見落とされていた検証観点を体系的に補完できるかを評価する 〜

「”創りたい”を叶える」エンジニアコミュニティ、ヒトハブテック(代表:八木真希、以下「ヒトハブテック」)は、代表の八木が執筆した論文【ホワイトボックス単体テストにおける品質要求の拡張と既存テスト工程との補完関係】を、2026年9月10日(木)・11日(金)に開催された「ソフトウェア品質シンポジウム2026」(主催:一般財団法人日本科学技術連盟、以下「SQiP2026」)にて発表いたしました。
本研究は、工数の大きさから簡略化されがちな単体テストをAIエージェントで自動化するにあたり、テスト要求モデルを作成しAIにおけるテスト生成精度の向上を検証したものです。
【一般発表セッション:A1】AIによるテスト設計
https://www.juse.jp/sqip/symposium/detail/day1/#a1-1

開催概要
名称:ソフトウェア品質シンポジウム2026(SQiP2026)
主催:一般財団法人日本科学技術連盟
会期:2026年9月10日(木)・11日(金)
公式サイト:https://www.juse.jp/sqip/symposium/
SQiPシンポジウムは、ソフトウェア品質に関する実践的な技術、経験、研究成果を共有し、意見交換を行う場です。
研究背景
単体テストは、プログラムを構成するモジュールが設計どおりに動作するかを個別に検証する工程です。後工程での手戻りや、既存機能への予期せぬ影響(デグレード)を早期に発見するうえで、重要な役割を担っています。
一方で単体テストには、テスト仕様書の作成、スタブなどのテスト環境の準備、テストの実施、結果確認など多くの作業が伴います。そのため、開発スケジュールが逼迫した場合には後工程での検証に委ねるなど単体テストの優先度が下がるケースもあります。
加えて、ソフトウェア開発では、ゼロから新たに構築するよりも、既存システムへの機能追加や改修が中心となり、既存モジュールの再利用やモジュール間の連携を前提とした設計が増えています。
本研究では、こうした開発・設計環境の変化に対して、従来の単体テストの観点だけでは十分に捉えきれない部分があるのではないかと考え、単体テストにおける品質要求のあり方に着目しました。
さらに生成AIの普及によって、エンジニア以外の人がアプリケーションを開発する機会も広がっています。開発者のスキルにかかわらず一定の品質と安全性を担保する仕組みが、これまで以上に求められています。
研究内容
1. 研究の目的
本研究の目的は、単体テストをAIエージェントに担わせるにあたり、次の2点を明らかにすることです。
従来のテスト観点に、AIが導出可能な観点をどう追加するか
単体テストの内容を、プロダクトの専門家ではない第三者にも伝わる形にするにはどうすればよいか
2. アプローチ①:オブジェクト指向の考え方を取り入れたテスト観点の拡張
従来の単体テストの観点に加えて、オブジェクト指向設計の考え方を参考に、単体テストで確認可能な形に整理した4つの観点を独自に追加しました。代表的なものは次の2つです。
責務の集約:複数のモジュールに同じ処理が重複せず、共通処理が適切な場所に集約されているか。処理の重複があると、仕様変更の際に一部の修正が漏れ、不具合につながる可能性があります。
カプセル化:各モジュールが自身の内部状態や処理を適切に管理し、外部から不適切な操作を受けない構造になっているか。従来の単体テストではモジュールの動作結果を中心に検証していましたが、本研究ではカプセル化そのものを単体テストの検証観点として捉え直接確認できるようにしました。
3. アプローチ②:AIエージェントに与える事前情報の比較
AIエージェントに与える情報を変えて、次の3条件を比較しました。
条件1:ソースコードのみを与える
条件2:ソースコードに加え、テストの種別に関する情報を与える
条件3:さらに、テストが果たすべき目的や役割を事前に与える
4. 得られた結果
① 拡張した観点により、最低限の品質を確認できるテストへ
追加した観点をテストコードに反映することで、従来の単体テストでは捉えにくかった設計上の性質についても確認できるようになり、単体テストにおいて最低限確認すべき品質を押さえられることを示しました。
② 「テストの目的」を与えると、生成されるテストのばらつきが小さくなる
条件3では、ほかの条件と比べて生成されたテスト結果のばらつきが小さくなりました。この結果から、AIエージェントに単体テストを担わせる際には、ソースコードだけでなく、テストの目的や役割といった前提情報を与えることが、生成されるテスト内容の安定化につながる可能性が示されました。
③ 単体テスト品質と不具合検出力は別の課題
単体テスト品質は十分な水準に達した一方で、不具合の検出という観点では十分な精度を担保することはできませんでした。この結果から、単体テストの品質の向上だけではテストの十分性を判断できないと結論づけています。どのようなテストケースを追加すべきかについて、今後の検討課題が明らかになりました。

④実務者への伝わりやすさに課題
独自に実施したアンケートでは、品質担保のために必要な観点は理解される一方で、具体的に何をすればよいかまでは伝わりにくいという結果が得られました。
今後の展望
生成AIの普及により、ソフトウェア開発はエンジニアだけのものではなくなりつつあります。一方で、専門知識を持たない開発者が、作ったものの品質や安全性を自ら確かめることは容易ではありません。
ヒトハブテックは今後、本研究で得た知見をもとに、テストの観点や結果を専門知識がなくても理解できる形で伝える方法の検討を進めます。あわせて、不具合検出能力の向上に向けた検証も継続し、AIが正しく、誰にとっても安心して使える技術として社会に根づくことに貢献してまいります。
またコミュニティとしては、こうした研究や発信の機会を通じて、エンジニア一人ひとりの知見が社会に還元される場をつくり、技術者の可能性を広げてまいります。
代表・八木のコメント
生成AIによって、誰もが自分でアプリケーションを開発できる時代が来ています。そのときに『自分が作ったものは安全で、正しく動くのか』を確かめる仕組みを、技術者の経験や勘だけに頼らない形で用意したいと考え、本研究に取り組みました。ソフトウェア品質の実践者が集まるSQiPで発表の機会をいただけたことを励みに、今後も検証を重ねてまいります。
ヒトハブテックについて
”創りたい”を叶える。スキルも、仲間も、市場価値も。
ヒトハブテックは、2025年12月に発足した「”創りたい”を叶える」エンジニアコミュニティです。スキル、仲間、価値観、そして市場価値を、メンバー同士で共に作り上げることを目指しています。
エンジニアが集まってコンテンツ制作などに共同で取り組む中で、技術力に加え、コミュニケーション力やキャリアの選択肢の広がりといった、技術以外の力も身につく共創の場を提供しています。今回の論文発表のように、実務や研究で得た知見を社外に発信する活動にも取り組んでいます。
◻︎団体名:ヒトハブテック
◻︎代表:八木真希
◻︎設立:2025年12月
◻︎活動内容:エンジニアコミュニティの運営、共同でのコンテンツ制作、技術研究・発信
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