医療法人おひさま会における在宅医療DXをTukusi AIが支援
医療法人おひさま会がTukusi AIを本格導入。他システムとの連携やAIの活用によって、人間中心のDXを推進。

Tukusi株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役:石川爽一朗)は、自社が開発したAI Native医療情報処理統合プラットフォーム『Tukusi AI』が、医療法人おひさま会(所在地:兵庫県神戸市、理事長:山口高秀)に本格導入され、訪問診療における情報処理業務の効率化と、医療の品質向上を支援していることをお知らせします。おひさま会における人間中心のDXビジョンのもと、FAX仕分けの自動化や、カルテ文面の自動生成など、多様なユースケースが展開されています。
■ 背景
医療現場では、電子カルテ等のITシステムの導入が進む一方で、FAXで受け取る紙の書類、診療現場で発生するデータ、多種多様なITシステム等が混在し、情報が分断されてしまう傾向があります。そのため、医療専門職が記録や転記、仕分けといった業務に多くの時間を費やしています。
Tukusi AIは、こうした課題を解決し、医療現場でAIを当たり前に使いこなすための環境を目指して開発されたプラットフォームです。モバイルアプリ、デスクトップアプリ、カスタムフォームなどの様々なインタフェースからの情報の受け取り、AIによる情報抽出・要約・分類や、外部チャットツールへの通知、ブラウザ自動化などの機能を自在に組み合わせた「ワークフロー」をノーコードですばやく構築することができます。これにより、現場ごとの多様な業務をエンドツーエンドで効率化します。
■ 医療法人おひさま会が推進するDXの全体像
おひさま会のDXビジョン
おひさま会は「伴走医療」を理念として掲げ、患者一人一人に寄り添い、笑顔とエネルギーで希望を灯し、諦めない未来を照らし出すことを組織の目的としています。「伴走医療」の効果的な実践のために、非対人的な情報処理業務を徹底的に効率化し、職員一人一人が、人間同士の関わり合いを中心としたクリエイティブな仕事に集中できる環境を構築する、DXの取り組みを進めています。
おひさま会におけるDXプロジェクトは、2024年12月より本格始動しました。業務プロセスそのものを、AIを介在させた形でデジタル空間上で再構築し、抜本的な働き方改革を推進しています。
Tukusi AIの位置付け


おひさま会のDXは「リアル層(現場の業務)」「ワークフロー層(ワークフロー/デジタル層)」「AI層」の三層が相互作用する構造として構想されています。Tukusi AIはこのうちの「ワークフロー層」と「AI層」の中核を担います。デジタル空間における、AIを介在させたワークフローとして再定義された業務においては、非対人的な事務作業、情報処理の多くを自動化することができます。Tukusi AIはこのようなワークフローを構築・運用するためのエンジンとして位置付けられています。
さらに、ワークフロー層を構成するシステムとして、電子カルテシステムや、RPAシステム、現実世界の関係性を格納する「おひさまシステム」(おひさま会で独自に開発しているFileMakerシステム。患者ごとの主治医、担当看護師、家族構成、利用サービスといった「関係」情報を一元管理している。)が位置付けられます。これらのシステムはブラウザ操作やAPI連携によってワークフローの中で適宜、操作、参照され、情報が適切に保存、伝達されるようにします。
人間は、ワークフローに対するデータの入力と、ワークフローによって生成・送信される情報の活用を通じて、対人的な業務に集中します。また、専門性の反映によってAIの振る舞いを適切にコントロールするとともに、業務の全体構造に対する深い洞察によって適切なワークフローを設計し、自動化の品質を継続的に改善していきます。
■ 業務変革の事例
おひさま会では、現時点で、実際に下記のような業務変革が進行中です。
① FAX仕分け・情報抽出処理の自動化
FAXで受信する書類ファイルを、自動で仕分けし、書類種(訪問看護報告・薬局報告・診療情報提供書、人材採用関連、勉強会系など)に応じたチャットルームに配信します。この時、必要な情報を、OCRとAI処理によって抽出します。書類に患者情報が含まれる場合は、患者名等から患者を特定し、患者サマリーの更新に書類情報を活用します。従来は十分に生かされなかったFAX文書中の情報が活用されるようになりました。


② サマリー作成
モバイルアプリからサマリー作成指示を送信すると、ブラウザ操作によって該当患者の過去のカルテを多数参照し、参照した情報から詳細なサマリーをAIが生成します。カルテ情報だけでは内容に乏しい場合は、過去の診療情報提供書等の情報を追加で読み込ませることで、充実したサマリーを実現します。
③ カルテ作成
診療の場での対話内容を音声で録音、アップロードすることで、カルテ文面を自動生成します。この生成の際は、先に作成しておいたサマリーが読み込まれ、文脈情報を補います。サマリーの読み込みによって、音声データ単体では難しい、長期的な文脈を考慮したカルテ文面が生成されます。初回生成の内容をそのまま使用することは少なく、基本的にはフィードバック(不要箇所の削除等の生成文面の修正)を加えて完成させます。フィードバック後の文面は、ブラウザ操作機能もしくはRPAで電子カルテシステムに自動的に書き込まれます。
さらに、完成したカルテ内容を使用して患者サマリーを更新し、毎回の診療の内容が常に最新のサマリーに反映される仕組みを構築しました。これにより、サマリーが古い情報で放置されてしまう課題に対処しています。
現在は居宅患者を中心に、この仕組みを活用したカルテ生成とサマリー管理が運用されています。施設診療など、短い時間で次々と切り替えが必要な場面では、スムーズな実行が難しく、機能・手順両面における、今後の改善課題となっています。


④ ガイドライン評価生成
Tukusi AIに保存されたサマリー情報や、電子カルテシステムに記録されている処方、検査等の情報を収集し、指定したガイドライン(COPD、心不全、孤独孤立、etc.)に合わせて評価を生成します。ここで生成された内容を、診療方針や課題のチェックに生かします。AIにガイドラインに合わせた評価を生成させるためのプロンプトは独自に実装しています。この評価は、患者サマリーの一部として保存され、カルテ生成時などの文脈情報の一部となります。


⑤ 問い合わせ受付・疑義照会受付・コンタクトセンター受付
訪問看護からの問い合わせ、薬局からの疑義照会、内部での受電内容の送信を、フォームを起点としたワークフローで処理します。患者をおひさまシステムで検索し、患者に紐づいた担当医師や担当看護師にメンションをつけた形でGoogle Chatに配信します。さらに一部の内容については、フォーム送信後に、自動で電子カルテへの書き込みも行います。
実際の業務では、問い合わせ等を着信した後に、スタッフがチャットのスレッドで必要なやり取りを行い、その結果をもとに行動に移す、記録を残す、といった形で業務が進みます。通知後に発生するやりとりを含めた情報処理の効率化は、今後の課題となっています。




■ 将来展望
おひさま会では、Tukusi AIを活用して、今後さらに多くの業務をワークフローを中心とした仕組みに転換していく計画です。2025年末までに100個のワークフローを業務フローに組み込むことを目標に掲げています。将来的には、あらゆる場面で常にAIが専門職をサポートし、職員一人一人がクリエイティビティを最大限に発揮できるような環境を目指しています。さらに、散在する様々な情報を「おひさまシステム」に集約し、現実世界における関係構造を詳細にデータ化することで、より高度なワークフローの実現、ひいては、理想的な「伴走医療」の実現を目指します。
おひさま会では、業務の全てをAIで置き換えるような将来像は描いていません。人と人のつながりから生まれる創造性や感情的な結びつきを重視しており、AIの活用は、あくまでも、そのような場面におけるパフォーマンスを最大化するための手段として位置付けられています。全体の取り組みを貫くのは、人間性を重視したDXという理想です。

■ まとめ
おひさま会では、FAX仕分けの自動化、診療記録の音声からの生成などの多様な業務変革が進んでいます。人間中心のDXビジョンに基づいて、職員がより人と向き合い、クリエイティブな「伴走医療」の実践に集中できる環境が整いつつあります。
Tukusi株式会社は、Tukusi AIの開発と展開を通じ、さらなる価値の実現を目指してまいります。
■ Tukusi AIについて
Tukusi AIの機能やユースケース、料金などのサービスの詳細はサービスWEBサイトをご確認ください。
企業情報
会社名:Tukusi株式会社
所在地:京都府京都市下京区玉津島町294
設立:2024年5月
代表者:石川 爽一朗
法人名:医療法人おひさま会
所在地:兵庫県神戸市垂水区旭が丘1丁目9-60
理事長:山口 高秀
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