QuEra Computing、量子コンピュータの重要サブシステムをAIで自動化

商用グレードの量子コンピュータの導入加速へ

株式会社クエラコンピューティングジャパン

AIエージェントであるAnthropicのClaudeが、QuEraの量子コンピュータに搭載されたレーザーシステムの制御ロジックを開発・検証した。レーザーシステムの復旧を、専門家であれば数分を要するところ、わずか数秒で完了し、熟練技術者による手動調整を上回る安定性を実現している。QuEraは今後、同じアプローチを他のサブシステムにも広げていく計画である。

米国マサチューセッツ州ボストン、2026年8月27日 ―量子コンピューティングのリーディングカンパニーであるQuEra Computing(クエラコンピューティング)は本日、Model Hardware Standard(MHS)リサーチプレビューにおける取り組みの成果を発表した。本取り組みでは、AIエージェントであるAnthropicのClaudeが、量子コンピュータの運用において最も専門家への依存度が高い作業の一つ、すなわちレーザーシステムを目標状態に保つ作業を担った。同エージェントは自ら制御ソフトウェアを記述・検証し、そのソフトウェアは現在、装置が停止した際にも、人手を介することなく数秒でシステムを復旧させる。これにより、従来は専門家が現地で対応する必要があった手作業が不要となった。

量子コンピュータは、研究室の実験装置から、顧客が購入して自ら運用する製品へと移行しつつある。この移行を左右するのは、物理学そのものよりもむしろ、開発した技術者がそばにいなくても装置が安定して稼働するかどうかである。QuEraのシステムは、精密な周波数に保たれたレーザーによって原子量子ビットを制御する。しかしレーザーの発振周波数は時間の経過とともにわずかに変動(ドリフト)し、そのずれが許容範囲を超えると装置は停止し、高度かつ固有の専門知識を持つ人材が復旧させるまで再開できない。装置の世代が進むにつれて搭載するレーザーの数は増え続け、しかも顧客先に設置された装置は、それを最もよく知る開発エンジニアから物理的に遠く離れた場所で稼働することになる。

重要サブシステムの自動化

QuEraは長年にわたり、レーザーによく生じる外乱(外部要因による乱れ)からの復旧を自動化しており、Amazon Braket上で提供する256量子ビットシステム「Aquila」は99%を超える稼働率で運用されている。一方、より複雑なレーザー系の障害は、発生頻度は低いものの影響が深刻であり、復旧に定型的な手順ではなく人間の専門的判断を要するため、これまで自動化が困難であった。

QuEraの専門家4名からなるチームは、復旧用スクリプトを手作業で記述するのに2〜3週間を要したが、そのスクリプトが対応できたのは、作成した本人たちがあらかじめ想定できた障害のみであった。そこで同チームは、同じ課題をClaudeに与えた。用いたのは、科学研究および先端製造の現場でAIエージェントが物理装置を安全に操作するための新しい標準規格「MHS」である。MHSはAnthropicとHHMIジャネリア・リサーチキャンパスの共同研究として始まり、現在は参加者を限定したリサーチプレビュー(先行公開プログラム)として運用されており、QuEraはその参加企業の一社である。MHSにより、AIエージェントは専用の試験装置(テストベッド)上で自ら実験を行い、修正案を提示し、試し、結果を読み取り、改良するというサイクルを回せるようになった。同エージェントはこのループを夜間も含めて連続的に実行し、専門家チームが手作業で一つずつ検証するには到底時間の足りない数百件の障害ケースを網羅した。

作業範囲の設定、各ステップの確認、そして何をもって成功の証拠とするかの判断は、いずれもエンジニアが担った。AIエージェントが生成したソフトウェアは、実行時に判断を下すモデルではなく、完全に検証できる従来型のプログラムである。また、安全性は設計段階から組み込まれている。MHSでは、機器側が許容される動作範囲(上下限)、インターロック(安全連動機構)、非常停止といった安全条件を規格の仕様として明示する。AIエージェントは、これらの条件を初期設定として自動的に引き継ぎ、その範囲内でのみ動作する。

実証で確認されたこと

  • 高い信頼性で復旧した。何が起きたかについての情報を一切与えない条件下で、AIエージェントが作成した制御ソフトウェアは7種類の障害にわたる700回の試行のうち695回でシステムを目標状態に復帰させ、成功していないにもかかわらず成功と報告したケースは一度もなかった。復帰しなかった5回は、原因を追跡した結果、ソフトウェアではなく試験装置側の状態にあることが確認された。

  • 数秒で復旧した。大半の障害は6秒未満で解消し、最も困難なものでもおよそ10〜14秒であった。専門家が対応した場合は5〜10分を要する。

  • 試験ケースだけでなく、実際の障害にも対応した。試験装置は、人の出入りがある稼働中の実験室に設置されており、現実の環境に由来する誤差要因にさらされている。実証期間を通じて、AIエージェントは原因を問わず毎回、人手を借りずにシステムを復旧させた。

  • 専門家による調整を上回った。復旧ではなく、レーザーの周波数を目標値に固定した状態(ロック)そのものの品質を高めることを課題として与えたところ、AIエージェントは残留ノイズ(ロック後も残る周波数の揺らぎ)を5分の1に低減し、無人運用中にシステムのロックが外れる事象を解消した。事後に、AIエージェントが影響を及ぼし得ない独立した測定器で評価したところ、AIエージェントが導き出した制御パラメーター(レーザーを安定にロックさせるための各種設定値)は熟練技術者による手動調整と同等であり、さらに手動調整では残されていた不具合を補正していた。

  • 他への展開も可能であった。別の波長のレーザーを対象としたところ、AIエージェントは一晩の無人運用で、必要な制御パラメーターをゼロから導き出した。通常であれば、技術者が実機に付きっきりで数週間を要する立ち上げ作業である。

導入にとっての意義

本実証以前は、レーザー1台ごとに、希少な専門人材の時間が恒常的に費やされていた。深夜・早朝を問わず技術者が立ち会って復旧させる必要があり、1回の調整作業では専門家の時間を最大30分拘束していた。さらに、新たな動作点(レーザーの動作条件)を立ち上げるには数週間を要していた。量子コンピュータ1台あたりのレーザー搭載数が増え、顧客先への導入台数も拡大していくなかでは、専門家の手作業そのものが、導入して適切に保守できるシステムの台数を左右する制約となる。これは、大規模な誤り耐性量子コンピューティング(FTQC)を実現するうえでの障壁でもあった。

QuEra Computingで量子システム担当バイスプレジデントを務めるSergio H. Cantuは、次のように述べている。「長年にわたり、量子コンピュータをスケールさせるうえで最も難しかったのは物理学ではなく、レーザーのロックを直すために午前2時に車を走らせる人の存在でした。私たちはModel Hardware Standardを用いて、この課題を解決する仕組みを構築しました。ロックは数秒で自ら復旧し、その都度検証され、手作業では見落としがちなノイズも捉えます。私たちは、自ら不具合を直す量子コンピュータをつくっているのです」

本実証を経て、専門家による関与はほとんど、あるいはまったく必要なくなった。システムを自社施設内(オンプレミス)に導入するHPCセンターや国立研究所にとって、これは中性原子方式のレーザーに精通した専門家を常駐させなければならないか、その負担を大幅に軽減できるかを分ける違いとなる。


QuEraがパートナーシップを重視する理由

今回の実証で対象としたレーザーは、量子コンピュータを構成する数多くのサブシステムの一つに過ぎない。いずれも精密かつ繊細で、専門家の手を要するものである。QuEraは、同じAI自動化のアプローチが他のサブシステムにも適用できると見込んでいる。また本実証では、安全に作業を進めるための手順と評価方法が確立され、以降の取り組みに再利用できる資産として残された。これらがあったからこそ、最初のレーザー試験では数週間を要した立ち上げ作業が、2回目のレーザー試験ではわずか一晩で完了している。

「私たちは量子コンピュータの開発と運用において世界でも有数の存在ですが、その私たちにとってさえ、装置を最高の性能に保つためのコストは高いものです」と、QuEra Computingのプレジデントである北川拓也は述べている。「お客様は、コンピュータ全体が、すなわちすべてのサブシステムが、専門家が室内にいなくても自律的に安定稼働することを期待されます。だからこそ、MHSリサーチプレビューとAnthropicのフロンティアAIモデルによる今回の成果には、大きな意味があります。私たちは、コンピュータを最良の状態で稼働させ続けることを、はるかに容易かつ低コストにしつつあるのです」

QuEraは、戦略的に重要なシナジーが見込める少数の企業と、緊密な協業を進めている。2028年にAmazon Braket上で「Libra」をクラウド提供するAmazon Web Services(AWS)、オンプレミスでのHPC統合を担うHPE、高速計算(アクセラレーテッドコンピューティング)を担うNVIDIAである。量子コンピューティングハードウェアの制御にAIエージェントを適用するModel Hardware StandardリサーチプレビューへのQuEraの参画は、AI領域におけるパートナーシップの初期の一例である。

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Model Hardware Standardについて

Model Hardware Standard(MHS)は、科学研究および先端製造の現場において、AIエージェントが物理装置を安全に操作するための新しい標準規格である。AnthropicとHHMIジャネリア・リサーチキャンパスの共同研究として始まり、現在は安全設計の検証を進めている段階にあるため、利用は申請に基づく限定的なリサーチプレビューにとどめている。機器側は、許容される動作範囲(上下限)、インターロック(安全連動機構)、非常停止といった安全条件を規格の仕様として明示する。AIエージェントは、これらの条件を初期設定として自動的に引き継ぎ、その範囲内でのみ動作する。

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会社概要

URL
-
業種
製造業
本社所在地
東京都中央区日本橋3-9-1 日本橋三丁目スクエア11階
電話番号
080-5497-8282
代表者名
北川 拓也
上場
未上場
資本金
-
設立
2024年11月