【日本で不足していた“最初の一冊”をめざして】子どもの耳が「聞こえないかも」と言われたら読む本『難聴児のきこえを育てる』5/20発売【イラストたっぷり!】
「あなたのお子さんは耳が聞こえないかも」と告げられたらどうする? 補聴器、人工内耳、療育、ことばの発達、支援制度など、膨大な情報と選択を前に呆然と立ち尽くすご家族に寄り添い、道すじを照らす1冊です。
新生児聴覚スクリーニングで「要再検査」と言われたとき、保護者は何から調べ、誰に相談すればよいのか――。
「要再検査」と告げられた保護者の多くは、その瞬間から、補聴器、人工内耳、療育、ことばの発達、支援制度など、膨大な情報と選択を前に立ち尽くすことになります。しかし日本では、それらを横断的に整理し、「最初に読む本」として寄り添える入門書は決して多くありませんでした。

2026年5月20日、研究者・言語聴覚士・難聴児の親の3人がタッグを組んだ『難聴児のきこえを育てる』が発売となりました。本書は、難聴児の「きこえ」と「ことば」を育てるために必要な知識を、専門家だけでなく保護者にもわかりやすく届けることを目指した1冊です。
コロナ禍の影響から凍結された本企画は、出版が危ぶまれるなか〈ゆるく楽しく言語の話をするラジオ「ゆる言語学ラジオ」〉のサポーターコミュニティ内で著者と編集者が出会ったことで、本格的に再始動しました。
“親だけで悩みを抱え込まなくていい社会”を目指し制作した本書は、発売前から療育関係者・支援者・当事者家族を中心に大きな反響を呼んでおり、難聴児支援の現場からも注目を集めました。
◆「この子は耳が聞こえないかもしれない」そう言われたら、まずこの本を開いてください
「お子さんは耳が聞こえていません」「お子さんの耳は聞こえにくいです」と医師から診断された親御さんの多くが、どうしていいかわからず、途方に暮れてしまうことでしょう。「この子の人生はどうなっていくのだろう?」そんな不安に押しつぶされそうな気持ちの方にむけて、本書を制作しました。
かつて、十分な聴こえの保障が得られない中で音声日本語を身につけることは、子どもと親にとって大きな挑戦でした。しかし、近年の難聴医療は大きく進歩し、補聴器や人工内耳をはじめとした医療工学の発展によって、早期発見・早期診断・早期療育の介入が可能になっています。本書では、お子さんが補聴器や人工内耳を装用してからことばが出始めるまでの1年~1年半ほどの前言語期に、どのようにお子さんとかかわりながら語りかけていくとよいのかを、できるだけ具体的に説明をしています。これが最初のステップとなり、この時期に育つ「聴こえに支えられた基礎力」が、その後の日本語という大きな言語体系を身につけていくための大切な土台になっていきます。
専門家として、母親として、長年にわたって多くの聞こえない子どもとその親をサポートしてきた著者たちが、「きこえ」の育て方、現場の最先端を、くわしく解説していきます。
◆著者からのメッセージ
お子さんが難聴と診断され、混乱や不安の中で「これからどう子育てしていけばいいのか……」と相談に来られた親御さんたち。私たちは、そのお子さんが補聴器や人工内耳を初めてつけ、親御さんの呼びかけに気づいた瞬間、キラッと目を輝かせて視線を交わし、にこっとほほ笑む姿を何度も見てきました。そして、親子の気持ちが初めて通じ合う、そのかけがえのない一瞬に立ち会うたびに「ここからがスタートだ」と心を新たにしてきました。
難聴児のことば育ての旅路は、子どもにとっても親御さんにとっても、長く続く道です。しかし、その旅路をお子さんと一緒に歩む中で、親御さん自身も驚くほど大きく、しなやかに成長していかれる姿を、私たちは何度も見てきました。本書がその第一歩を踏み出すお手伝いとなれば幸いです。
◆書籍内容
難聴児の「きこえ」と「ことば」を育てるために、保護者が知っておきたい基礎知識をまとめた入門書『難聴児のきこえを育てる』が発売となりました。
イラストをふんだんに使いながら、難聴児を取り巻く「特有の分かりづらさ」を解消しつつも、ご家族が子育てを楽しめるようになることを目指した1冊です。
「耳が聞こえないかもしれない」と告げられてから、どのように子育てを準備し、どのように子育てが進んでいくのか、日本語手話言語や日本語音声言語など子育ての「言語」を選択するとはどういうことなのか……難聴児が生まれたご家庭が最初にぶつかる多くの壁をやさしく説明しているので、難聴児療育の全体像をつかむのに役立ちます。
また、補聴器、人工内耳、療育、家庭での関わり方、支援制度なども、専門家の視点からわかりやすく解説。後半では、音声日本語で子育てすると決めたご家庭向けに、おうちで実践しやすい具体的な「きく力を育てるスキル10」とそのスキルを使った「実践的な活動30」を紹介しています。
一部、書籍の誌面を抜粋してご紹介いたします。(本文イラスト:Aten)











◆著者紹介
北野庸子(きたの・ようこ)
長野県松本市生まれ(1948年―2025年)。お茶の水女子大学大学院修了(児童学)、米国ユタ大学大学院修了(特殊教育学)、アメリカペンシルヴァニア州立大学大学院博士課程修了(コミュニケーション障害)。専門は難聴児療育。富士見台聴こえとことばの教室(聴能言語指導員)、京都教育大学非常勤講師、東海大学健康福祉科学部教授、信州大学客員教授として多くの功績を残し活躍。2018年NPO「信州きこえとことばのセンターやまびこ」理事長として就任し難聴児療育の支援に尽力。井上ひとみ、星野友美子他との共同翻訳『聴くことで世界が広がる! 難聴児の豊かな子育てガイドブック』(ココ出版)がある。
井上ひとみ(いのうえ・ひとみ)
言語聴覚士・認定補聴器技能者。愛知教育大学大学院修了(特別支援教育)。専門は難聴児の療育と言語発達。言語聴覚士として25年間以上、耳鼻咽喉科にて臨床に携わり、聴覚検査、補聴器・人工内耳の調整、難聴児の療育・言語指導を行う。特に臨床においては、オーストラリアやアメリカでの研修で学んだ聴覚を活用した療育や支援の在り方を取り入れ実践。現在は、日本福祉大学中央福祉専門学校 言語聴覚士科の専任教員として後進の育成に携わるとともに、大学付属クリニックでの臨床も継続。また、海外で暮らす日本語を母語とする難聴児とそのご家族へのオンライン支援や、家庭での「ことば育て」に悩む保護者の方々を対象とした講座・研修を行う。
星野友美子(ほしの・ゆみこ)
昭和女子大学大学院文学研究科言語教育・コミュニケーション専攻博士課程修了。博士(文学)。専門は聴覚障害児のための実践的言語習得法。聴覚障害児が生まれたことで、海外での日本語教育の経験を活かし、第二言語習得の実践方法を聴覚障害児に応用発展させる。東海大学健康科学部社会福祉学科研究員時、ノートテイクコーディネーターを担当。静岡市人工内耳親子の会代表。静岡県聴覚障害児等療育支援事業に係わるピアカウンセラー派遣登録者。3人(健聴一人と難聴二人)の子どもたちは現在社会人。聴覚障害児の親・研究者の立場から、家庭における言語習得支援についての講座・研修を行う。『人工内耳装用児の言語学習活動~フォーカス・オン・フォームによる「あげる・くれる・もらう」の指導』(ココ出版)
◆目次
皆さんへのメッセージ
皆さんへのお願い
第1章 「耳が聞こえないかも」と診断されてから子育てを始めるまでの準備
▶ママ・パパの気持ち
▶検査から療育スタートまで
▶新生児聴覚スクリーニング(新スク)って?
▶耳鼻咽喉科での精密検査ってどんなものがあるの?
▶早期発見・早期装用が大切?
▶先輩ママと後輩ママ
▶どこに相談したらいいの?
▶情報がたくさん! 困った先輩の例
▶先輩ママたちからのメッセージ
▶難聴が子どもの育ちにどう関係するの?
▶赤ちゃんが聞こえないってどういうこと?
▶どうやってコミュニケーションしてるの?
▶「ことばの育て方」っていくつあるの?
▶親子のことばが通じるためには?
▶聞こえない子に読み書きを教えるってどういうこと?
▶お子さんの母語・療育方法を決める時の心がまえ
▶子育てで使うことばを選ぶ
▶音声言語で子育てすると決めたら
この章で学んだ内容
第2章 きこえを育てるための基礎知識を知ろう
聴覚学習の基礎知識を学ぼう!
[1]難聴の種類と原因って?
難聴の種類と原因① 発症時期によるわけ方
難聴の種類と原因② 障がい部位と原因によるわけ方
難聴の種類と原因③ 難聴の程度によるわけ方
[2]オージオグラムってなに?
日常音と会話音
スピーチバナナ(Speech Banana)とスピーチビーン(Speech String Bean)
「会話が聞こえているか」はどうわかる?
裸耳閾値と補聴閾値の見方
[3]補聴機器を生活の一部にするには?
補聴器をつけたがらない時はどうする?
人工内耳をつけたがらない時はどうする?
[4]どうやって機器を管理したらいいの?
補聴器、人工内耳、補聴器・人工内耳に共通すること
きこえを活用するために大切なこと
[5]きこえはどうやって発達するの?
耳の誕生日と聴覚年齢
前言語期のきこえと発達
聴く力~発達の4段階
積極的にきこえのサインを使おう
[6]補聴機器に限界があるって本当?
聞こえにくい場面と原因
[7]聴く力を育てるスキル10選
スキル1 リング6音で聞こえをチェックする
スキル2 育児語を使う
スキル3 傾聴させる Auditory Hook
スキル4 たくさん話す Talk Talk
スキル5 音声強調 Acoustic Highlighting
スキル6 聴覚サンドイッチ Auditory Sandwich
スキル7 反応を待つ Wait Time
スキル8 選択肢を与える Use Choices
スキル9 つづきを促す Auditory Closure
スキル10 ことばを広げる Expansion & Extension
この章で学んだ内容
第3章 「聴こえの力」を育てるために
第1段階 検知/ 検出〜音に気づくようになる活動〜
01 大きな音に気づく
02 「はじめに聴かせる声・語りかけ」に気づく
03 歌や手遊び歌に興味をしめす
04 音が出るおもちゃに気づく
05 周りのいろいろな音に気づく
06 声出し遊びを楽しむ
07 ささやき声に気づく
08 条件づけ聴覚検査ができるようになる
09 リング6音に気づく
10 離れたところの音に気づく
11 電池切れや故障に気づく
第2段階 弁別〜音の違いがわかるようになる活動〜
12 なじみのある日常生活音と音源を結びつける
13 自分の名前の呼びかけに気づく
14 歌や音楽を聴いて身体を動かす
15 おもちゃとその音を結びつける
16 「はじめに聴かせる声・語りかけ」になじむ
17 いろいろな声を出す
18 絵本に関心を示す
第3段階 同定/識別〜音や言葉の意味がわかって動いたり、模倣ができるようになる活動〜
19 表情やジェスチャー・仕草などを模倣する
20 話し声の特徴を模倣する
21 歌を聴いて身体を動かしたり、声を出す
22 クローズ・セットから選ぶ
23 絵本を楽しむ
24 「はじめに聴かせる声・語りかけ」を模倣する
25 リング6音を模倣する
第4段階 理解〜聞き慣れた言葉を理解し、初歩の対話が始まるようになる活動〜
26 なじみのある状況で、指示を理解して行動する
27 オープン・セットから選ぶ
28 身体を使って自分から歌う
29 なじみのトピックで簡単なやり取りをする
30 理解言語が増える
きこえの発達4段階 チェックリスト
ことばの氷山
引用・参考文献
おわりに
◆書誌データ
【タイトル】子どもの耳が「聞こえないかも」と言われたら読む本 難聴児のきこえを育てる
【著者】北野庸子・星野友美子・井上ひとみ
【編集】あだん堂
【発行】ココ出版
【定価】2,400円(税込)
【ISBN】978-4-86676-089-6
【発行日】2026年5月20日
【造本】B5判 並製 144頁
【URL】https://cocopb.com/books/978-4-86676-089-6/
【購入】Amazon 凡人社 そうがく社 にほんごブックス 大谷書店 その他、全国の書店
【書店様へ】各取次へは、日本出版貿易を経由して搬入可能です。
◆編集者コメント
子どもの豊かな言葉と情緒は、大人から子どもへの優しい声かけや丁寧な関わりを通じて育っていきます。耳が聞こえない子だけでなく、子育ての戸惑いに向き合うすべての保護者の方に手に取っていただきたい「ことば育て」のスキル本です。ぜひ多くの方にご覧いただきたいです!
(編集担当:あだん堂 代表 吉田)
◆出版経緯をまとめた関連記事など
本書出版について、あだん堂が編集を担当することになった経緯や、その後のイベント参加のレポートなどはnoteに掲載しています。関連記事も、あわせてご覧ください。



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