Apache 2.0の不動産AIエージェント対応OSS「revenue-kun」v0.5.2公開、Claude Code・Codexからレントロール収益試算を実行
PDF・CSVのレントロールから、収益試算Excelを生成。Docker対応のLocal Web UIとSkill構成により、AIコーディングエージェントからローカル実行可能。

Signal Yield Advisoryは、レントロールCSVまたはテキスト抽出可能なPDFから直接還元法による収益試算Excelを生成するオープンソースソフトウェア「revenue-kun(収益還元クン)」の最新版v0.5.2を公開しました。

revenue-kunは、レントロールを読み取り、`直接還元法_OER`・`直接還元法‗費用詳細版`・`読み取りレントロール`の3シートを生成するところまでを役割としています。アプリ上で計算方式(OER方式か費用明細入力方式か)や前提条件を選択させることはなく、出力後のExcelで利用者が必要な項目を入力する設計です。
revenue-kunはApache License 2.0で公開されているオープンソースソフトウェアで、ソースコードもすべて公開されています。
開発の背景
レントロールから収益試算表へ数値を転記する作業には、反復的な手入力が伴います。金額と非金額の判別、月額と年額の区別、空室区画の扱い、欠損セルの扱いなど、細かな間違いが起きやすいポイントが積み重なっています。
また、運営費用の把握状況は物件によってまちまちです。個別費用の明細が分かっている場合もあれば、大まかな運営費用率(OER)で簡便に試算したい場合もあります。revenue-kunは、この両方の場面に対応できるよう、OER方式のシートと費用積上方式のシートを同時に出力し、利用者が状況に応じて使い分けられるようにしています。
revenue-kunは、こうした転記・集計の初期作業を支援し、人間が内容を確認できるExcelへ出力することを目的としています。業務を完全に自動化するものではなく、専門家による確認の前段階で試算を整理する補助ツールという位置づけです。
v0.5.2でできること
・CSVまたはテキスト抽出可能なPDFをブラウザからアップロード
・ 抽出区画数・在室/空室・欠損情報をExcel生成前にプレビュー
・ レントロールに記載された水道代・駐車場・その他の経常的な付帯収入を確認
・ 直接還元法Excel(`direct_cap.xlsx`)を生成
・ダウンロード(OER版・費用積上版を同時出力)
・計算はGPI(潜在総収入)からEGI(有効総収入)
・NOI(運営純収益)の順で進みます。
OER版と費用詳細版、それぞれの使い方
費用明細が不明な場合は`直接還元法_OER`シートを使用できます。

空室損失率・貸倒損失率・採用OER(運営費用÷EGI)・資本的支出・還元利回りを入力すると、EGIからNOI、収益試算値までを自動計算します。
費用が判明している場合は`直接還元法‗費用詳細版`シートへ個別費用(管理費・修繕費・損害保険料・固定資産税・水道光熱費・その他運営費用)を入力できます。全項目が判明している必要はなく、判明した項目だけを入力すれば、こちらもEGIからNOI、収益試算値までを自動計算します。

それぞれのシートが独立してNOIと収益試算値を算定します。 一方のシートの入力値や計算結果がもう一方へ反映されることはありません。どちらのシートを使うか、あるいは両方使うかは、Excelを受け取ったユーザーの判断です。
安全側の設計
経常的な付帯収入(水道代・駐車場・その他収入)は、両計算シートの総収入へ自動反映されます。 ・欠損している項目を推測で補完することはありません
・ 月計・年計等の集計行を区画として扱いません
これらの計算過程はExcel上でセル単位に確認でき、生成前のプレビュー画面でも抽出内容を確認できます。ただし、誤りが絶対に起きないことや、完全な安全性を保証するものではありません。

Excel出力
生成されるエクセルシートは、次の3シート構成です。
直接還元法_OER、 直接還元法‗費用詳細版、読み取りレントロール
抽出したレントロール明細、月額・年額の収入集計から、GPI、EGI、NOI、還元対象となる純収益、直接還元法による収益試算値までの計算過程を、Excel上で確認できます。出力される金額は「収益試算値」であり、「収益価格」ではありません。
検証内容
Local Web UI・CLIともにDockerに対応しており、Docker環境でのWeb UIのビルド・起動、`/api/preview`・`/api/generate`によるプレビュー・Excel生成を確認しています。既存のテストスイート(pytest)も401件すべて成功しています。
現行ロジックについては、非公開の実務レントロールPDFを用いた評価も行いました。CLIとLocal Web UIの両方で抽出・Excel生成を確認し、区画数や賃料・共益費の集計は原資料と一致、経常的な付帯収入の自動反映も確認しています。
現行ロジックについては、非公開の実務レントロールPDF3件を用いた評価も行いました。CLIとLocal Web UIの両方で抽出・Excel生成を確認し、区画数や賃料・共益費の集計は原資料と一致、経常的な付帯収入の自動反映も確認しています。
評価に使用した非公開PDF、物件名、所在地、テナント情報その他の物件を特定できる情報は、Git履歴を含む公開リポジトリに収録していません。
制限事項
現時点では、OCR・スキャンPDF・スマートフォンで撮影した画像には対応していません。複雑な結合セルや、複数ページにまたがる表の結合も対象外です。ホスティング型のSaaSとしては提供していません。用途別のOER参考水準は、出典・基準時点を確定した後の別途対応とし、v0.5.2には含めていません。
Claude Code・Codexからの起動に対応
revenue-kunは、Claude Code向けおよびCodex向けのSkill定義を同梱しています。「revenue-kunを起動して」「Web UIを開いて」と依頼すると、Local Web UIを起動する構成です。起動前にhealth checkを行い、既に起動している場合は既存プロセスを再利用します。Web UIは127.0.0.1に限定して起動し、インターネット上で提供されるSaaSではありません。
OSS情報
公式LP: https://signal-yield.github.io/revenue-kun/
GitHub: https://github.com/signal-yield/revenue-kun
最新版Release: https://github.com/signal-yield/revenue-kun/releases/tag/v0.5.2
ライセンス: Apache License 2.0
利用方法の詳細は、GitHubリポジトリのREADME、または公式LPをご参照ください。
今後の展開
異なるベンダー・異なるレイアウトのテキスト抽出可能なPDFを対象とした評価を継続していきます。用途別のOER参考水準の掲載は、出典・基準時点を確定したうえで別途検討します。OCRやスマートフォン撮影画像への対応は今後の検討対象の一つですが、対応を決定しているものではありません。実務での利用者からのフィードバックは、GitHub Issuesで受け付けています。
Signal Yield Advisoryについて
Signal Yield Advisoryは、代表の松田幸一(不動産鑑定士)が、不動産実務とAI・オープンソースソフトウェア・公的データ活用を接続する取り組みとして運営しています。前作として、国土交通省の取引価格情報等を利用し、ヘドニック回帰係数や個別格差補正を開示する白箱型の土地一次査定OSS「土地価格査定クン(通称:土地査定クン)」を公開しており、revenue-kunは、これに続く不動産実務向けの白箱型OSSとして位置づけています。
土地査定クン:https://github.com/signal-yield/tochi-satei-kun
関連コンテンツ
Signal Yield Advisoryでは、土地価格査定OSS「土地査定クン」の設計思想と、不動産実務に機械学習を接続する方法についてnoteで解説しています。
不動産鑑定士が教える 土地査定AIのつくり方
note:https://note.com/matsudansyaku/n/n5d54a429d462
免責事項
本ツールは不動産鑑定評価ではありません。出力される金額は直接還元法による「収益試算値」であり、鑑定評価による「収益価格」・鑑定評価額ではありません。投資判断・法律判断・税務判断は提供せず、正式な判断が必要な場合は、不動産鑑定士・弁護士・税理士等の専門家にご確認ください。
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