MYCODE Researchの遺伝子研究成果を活用した情報提供を行う新機能「MYCODE Findings」の提供を開始
研究成果に基づく検査項目をMYCODE会員向けに無償で提供
2015年に開始したゲノム研究プロジェクトMYCODE Researchでは、MYCODE会員約12万人のうち、約9割の方に研究参加同意をいただいており、インターネットを活用することでユーザーコミュニティの個人が自らの同意の下で研究に参加して科学の発展に寄与できる、“Community-derived science”を実現しています。
研究参加者の募集は、一般的には数ヶ月かかりますがMYCODE Researchでは数日間で最大2,000名規模での募集を実現できた実績もあり、さらに試料提出やアンケート回答においても参加者の意欲が高いためタイムラグや回収漏れが少ないことも特長です。インターネットの活用による迅速かつ大規模な募集力とデータ回収率において高い評価をいただいており、開始以来これまで累計約40件のアカデミアや企業との共同研究を実施しています。
このようにMYCODE会員に協力いただいて進めてきたMYCODE Researchでは、多くの研究成果が蓄積されてきています。
この度、さらなる研究と事業の還元サイクルの強化を目指し、研究成果論文に基づく遺伝子検査項目を新しい検査カテゴリにて提供する新機能「MYCODE Findings」を追加します。
研究参加いただいた会員への還元や今後の研究参加・サイト訪問の促進を目的として、研究成果に基づく検査項目をMYCODE会員向けに無償で提供します。
また、遺伝子検査結果の返却に併せて共同研究先が行った他の研究の情報や商品紹介も行います。
なお、新機能提供開始時点で公開している研究成果項目は以下の2つです。
1.「デジタル機器の使用による眼精疲労」(眼の症状に関するゲノムワイド関連解析(GWAS)※1)
DLS、キリンホールディングス株式会社の共同研究を元にしています。
MYCODE Researchで募集した健康な1998名の日本人を対象に、ウェブアンケートで眼や全身の各症状の程度を取得し、デジタル機器の使用による眼精疲労※2のなりやすさについてゲノムワイド関連解析を行った研究です。デジタル機器の使用による眼精疲労の感じやすさが分かります。
2. 「腸内細菌の多様性」や「フィーカリバクテリウム属の菌の多さ」(日本人腸内細菌叢のゲノムワイド関連解析(GWAS)※1)
DLS、森永乳業株式会社、東京大学医科学研究所の共同研究を元にしています。
MYCODE Researchで募集した健康な1068名の日本人を対象に糞便から解析した腸内細菌についてゲノムワイド関連解析を行った研究です。腸内細菌は、菌の種類が多く、多様性が高い程、腸内環境が安定に保たれてストレス等が影響しにくいと考えられています。「腸内細菌の多様性」の検査項目では、この多様性の高さ・低さについて結果を提供します。また日本人の腸内細菌の中でも比率が高く、腸内で抗炎症の働きを持つ酪酸を産生するフィーカリバクテリウム属の菌の比率の高さ・低さがわかる「フィーカリバクテリウム属の菌の多さ」の検査項目を提供します。
▲研究一覧 画面イメージ
これからもMYCODE Researchを通じて得られた研究成果を活用し、MYCODE Findingsで提供する項目を増やす予定です。
MYCODE Researchは今後も、健康長寿社会の実現の推進となる研究活動・事業発展を目指します。
※1 ゲノムワイド関連解析(GWAS):Genome-Wide Association Studyの略で、ヒトゲノム配列上に存在する数十〜数百万か所の個人間に見られるDNAの塩基配列の違いと、疾患や体質との関連を網羅的に検討する、遺伝統計解析手法。数千人~百万人を対象に大規模に実施されることで、これまでに様々な疾患や体質に関連するゲノム領域が同定されている。
※2 デジタル機器の使用による眼精疲労:スマートフォンやパソコンなどの画面表示のデジタル機器で目を使いすぎることで、眼の痛みやかすみ、充血などの眼の症状や、肩こりや頭痛などの全身の症状が出現する眼精疲労を感じる状態のこと。コンピュータビジョン症候群とも呼ばれます。
【参考】
ゲノム研究プロジェクト「MYCODE Research」、2022年研究・事業活動 総括レポート データサイエンスの強みを活かした新規取り組みを開始(https://dena.com/jp/press/4941/)
※2023年1月25日プレスリリース
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