街の欲と亡霊建築 | Jinny Street Gallery で見る東京の新たな視点
8月16日(金)から9月13日(金)の期間、Jinny Street Gallery にて、建築家の北川佳子と前田敏治(M.D. Binji) による「Alter Tokyo Studies」展を開催します。二人の作家は今回のミクストメディア展で、写真作品と建築模型を通して、東京の都市景観とその未来に焦点を当てています。『 URL: https://www.jinnystreetgallery.com/exhibitions/alter-tokyo-studies 』
⾷事をする、買い物をする、あるいは映画を観るなど、都市⽣活で満たされる欲は建物の中で⾏われるものです。しかし、本来なら建物の中でおさまるはずの機能や欲が、東京においては屋外に溢れだす状況が少なくないことに北川は気づきました。
”⽇曜⽇の早朝には夜を楽しんだ若者たちが駅前の路上で気持ちよさそうに寝ていますし、平⽇の朝や夜の喫煙スペースでは仕事前や休憩する⼈たちが集まって煙を燻らせています。
また繁華街や公園の⼊り⼝では路上ロッカーに荷物を⼊れてクラブや観光や買い物を楽しもうとする若者や訪⽇客を⾒かけます。オフィス街に移動すると、近接する⾷⾁市場で、廃棄された⽣⾁を狙うカラスや鳶が⾶び交う不気味な光景を⽬にします。”
今回Jinny Street Galleryにて開催される「Alter Tokyo Studies」で、北川はそういった東京の「欲」の事象に着⽬して、建築と都市との新しい関係性を提案しようとしています。
◾️人体のような東京構造
北川の作品では、東京を人間の身体に例えて描写し、江戸時代から引き継がれてきた東京のインフラストラクチャーが都市の生命とエネルギーを循環させる静脈のように機能している様子を強調しています。
また、寺院や神社を静かな番人のように描いていますが、それらはまた現代都市の喧騒の中で内省と静寂の場としても機能しているようにもみえます。
”寺に隣接する墓地からはその塀ごしに墓⽯とほぼ同じ形状のビルを⽬にしたり、あるいは繁華街の雑居ビルの裏側で、太陽光が反射して輝くオフィスビルを背景に薄暗い窪んだ共同墓地が広がるという奇妙な光景に遭遇することもあります。このように東京は構築物によって⽣と死の共存を確認できる場所ともいえます。”
また北川は東京の特徴として都市における死と生の共存が構築物によって日常的に確認できることを説明しています。そしてさらに、絶えず変化し続ける都市も、人間と同じように、いつかはその活動を終えることを予想しています。
◾️ 400年後の東京の変容を探求
大胆な未来の探求として、今回の展示では400年後の東京を想定しています。その時には資源が枯渇し、瓦礫が山積みとなった景観を目にするでしょう。北川はカメラを持って東京を歩きまわり調べながら、現在の屋外空間が亡霊のための建築の内部空間に反転し、墓地が亡霊たちの賑わう場所になる世界を想像します。
“現在私たちが住んだり使ったりしている建物はその内部空間を失い、今の屋外である都市空間が今度は亡霊たちの建築の内部となり、また墓は亡霊たちの住居として、あるいは欲の表象として活気づくでしょう。喫煙スペースでは相変わらず煙草好きな亡霊サラリーマンが煙を燻らし、⾒捨てられていた屋外避難階段を⼦供の亡霊たちが駆け上がります。”
今回”Alter Tokyo Studies”の模型制作を担当した建築模型作家の前⽥敏治が模型作品で表すもう⼀つの東京は、現在の建築と都市の関係が捻じ曲げられた、亡霊たちのための空間となります。
これらの作品は、不確実な未来に直面する中で、東京の街のどういったところを未来に残していきたいのかを考える機会を与えてくれます。
◾️ Jinny Street Galleryで開催される”Alter Tokyo Studies”について
「Alter Tokyo Studies」は、神宮前の路上ギャラリーのジニーストリートギャラリーにて開催されます。この展覧会のために、北川は写真のほか、前⽥の協⼒を得て全体のシナリオをまとめ、前⽥はそのシナリオと写真からイメージを展開した模型作品を制作しています。
本企画において写真は、現在の都市インフラや欲を表象するような都市要素として、Jinny Street Galleryのショーケースのガラスの220x710 という特殊な⼨法のフレームに収まるように構成されています。また模型は、今の東京で確認される⼈の欲を表象する事象や残したい都市要素を墓に置き換え、亡霊たちのための建築として提案されています。
オープニング・ナイトを、8月24日(土)18時30分からジニーストリートギャラリー近くのアートスペース兼バー「NININI」にて開催します。イベントでは、今回の作家である北川佳子と前田敏治がオープニングトークを行い、参加者を展覧会に案内するアーティストウォークを実施します。
Jinny Street Galleryは、神宮前2丁目の中心部に位置する屋外アートギャラリーで、42個の小さな街路灯ケースが作品の展示スペースとなってます。街でアートを探索しながらそのエリアの散歩を楽しむ歩くことが、ギャラリーの主要コンセプトです。こちらの写真はこれまでの展示風景の一部です。
◾️展示詳細
タイトル: Alter Tokyo Studies
展示期間:8月16日~9月13日
展示場所:神宮前2丁目商和会に位置する路上ギャラリー”Jinny Street Gallery”(東京都渋谷区神宮前2-31-5)
展示アーティストについて
・写真・全体構成
北川佳⼦(Flot/s, Keiko Kitagawa) |web page https://www.flots.jp/
・模型制作・全体構成
前⽥敏治(East five, M.D.Binji)
・台座制作・模型制作補助
柴⽥ 達乃助 Tatsunosuke Shibata
奥⽥涼花 Suzuka Okuda
オープニング・ナイト:
8月24日(土)、18時30分から
アートスペース兼バー「NININI」(東京都渋谷区神宮前2-3-23)にて開催。
当日は、北川佳⼦と前⽥敏治も参加し、展示についてディスカッション(日本語・英語)を行いますので、是非お越しください。
『Alter Tokyo Studies』展公式ウエブページ:
https://www.jinnystreetgallery.com/exhibitions/alter-tokyo-studies
Jinny Street Gallery展公式ウエブサイト:
https://www.jinnystreetgallery.com
Jinny Street Gallery展公式インスタグラムアカウント:
https://www.instagram.com/jinny.gallery
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