アンケート結果公開!「給特法改革、どう思う?」

教員給与特別措置法(給特法)の議論が活発化しています。現場で働く教職員の声を集めました。

教員給与特別措置法(給特法)の議論が活発化しています。


自民党の特命委員会は、先に出した提言の中で、「教師は高度な専門性と裁量性を有する専門職」だとし、給特法の教職調整額を現行の4%から、少なくとも10%以上とすることを打ち出しました。まもなく出される予定の政府の「骨太の方針」に反映させ、予算化を進めたい考えです。


一方で、現職教員の西村祐二さんらからなる有志グループや、立憲民主党などは、教職員の働き方を抜本的に変えるために廃止が必要だと主張しています。


給特法に関して、教職員の方の声を聞きました。


※給特法についての解説記事は下記をご参照ください。

https://megaphone.school-voice-pj.org/2022/09/post-609/


  • アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2023年6月5日(月)〜2023年7月10日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら)
■回答数 :111件


  • アンケート結果

設問1 給特法について、あなたの考えは?

Q1.給特法について、あなたの考えに最も近いものをお選びください。

「教職調整額を引き上げるのがよい」を選択した方の主な意見

⚫︎現状は調整額以上に働いていると思うので、10%に引き上げということ自体は歓迎したいと思います。ただ、どの選択肢にすれば良いか大変迷いました。調整額を引き上げたら、その分働けという気運になり、働き方改革の流れが後退するのではないかと強く懸念しているからです。【高等学校・教員】


⚫︎私の場合、(自分の)子どものこともあるので、残業はほとんどなく休日出勤もしていませんが、家で相当仕事をしています。土日、学校で働くより長時間働くこともあるくらい。毎週ではないものの、土日は3時間くらいは平均で働いてます。残業代を払うということになると、持ち帰りの仕事が本当に無給になり、学校に残れる人だけしか恩恵を受けないことになるので、子育て中で残業できない人は、給料は減る(4%がなくなるとすると)けど仕事は減らないという悪循環が生じると思います。残業代が出るとなると、やはり残業代が欲しくて、今まで以上に残業する人も出ると思います。【小学校・教員】


「完全に廃止するのがよい」を選択した方の主な意見

⚫︎調整額を引き上げるのは、「給料上げるから、今後も変わらず働いてくださいね!」としか思えません。完全廃止して時間外勤務分の対価を貰った方がいい。【高等学校・教員】


⚫︎4%という数値は、昔の状況のもの。完全に廃止し、給料を上げ、労働基準法を適用してほしい。引き上げる=残業ありきになってしまい、健康と安全が守られない。【小学校・教員】


「残業時間の上限を定め、それ以上は残業代を出すのがよい」を選択した方の主な意見

⚫︎教師の側にも、無駄に仕事をせず、効率よく仕事をして下校する意識改革は必要だと思うから。【中学校・教員】


⚫︎基本的には、残業代を出すべきです。残業代を出すことになれば、教員の仕事を整理して、勤務時間内に制限するということもようやく真剣に議論されるはずです。勤務時間の管理も含めて、ちゃんと国政で議論されるべきだと思います。【中等教育学校・教員】


「現状のままでよい」を選択した方の主な意見

⚫︎義務教育の小さな学校だと、非常勤講師は授業以外の時間勤務は皆無で、教材準備、教材研究はもちろん、評価にかかる時間もボランティアです。その予算をこちらに回して欲しいです。【中学校/高等学校・非常勤講師】


⚫︎基本給を充実させ、業務時間内に終わるような人員配置をする方が大切と考えるため。【小学校・事務職員】


「その他」を選択した方の主な意見

⚫︎教職調整額を引き上げても、正当な残業代には届かない教員の方が多い。廃止すると、より一層のやりがい搾取状態となる。残業時間の上限は決められない。部活動ガイドラインと同様、「原則」という言葉が付き、なし崩しになる。とは言え現状のままではいけない。
「児童生徒が教職員管理下の学校敷地内にいていいのは職員の勤務時間内(例外は災害時、指導時のみ)」という決まりさえつくれば、教職調整額が妥当なものに近づく可能性が高い。この決まりを、全国の公立小中学校に徹底させてほしい。願うのはそれだけです。【中学校・教員】


⚫︎残業は基本的に禁止であることが重要だと思います。また、ヒラの教員の数に対して管理職が少なすぎるため、業務内容を適正に管理することも難しいと思います。高校でいえば停学などで保護者に来てもらう際に18時にしか来れないとなったときなどに、残業代を支給すれば良いと思います。【高等学校・教員】


「わからない」を選択した方の主な意見

⚫︎教職調整額が今のままでいいか、と聞かれれば「おかしい」と思う。ただ、それが4%から10%に引き上げられたから、現状の業務量をこなし続けるのもおかしいと思う。まずは、教職員の業務量や負担を減らすことを検討するべきであると考える。調整額は、それに応じた金額を検討するべきではないだろうか。【中学校・教員】


⚫︎残業時間の上限を決めたり、残業代を出したりする動きが強まると、残業代ゆえに「これは教員の仕事ではない」「なぜこんなことに時間を使っているのか」と、それぞれの教員が必要と考えている仕事が強制的に「必要のないもの」と切り捨てられてしまわないか心配です。やはり人を増やし、もっと自由に働ける環境にしてほしいと思っています。とはいえ、給特法があるためにコストなく仕事が増やされ続けている、という指摘はごもっともだとも思います。難しい問題です。【中学校・教員】


⚫︎今のままでは教員の働きに見合っていないとは思うが、額を上げれば良しとも思わない。そこにお金を使うよりも、現場にもっと人を入れて、一人一人の負担を減らすことが優先されて欲しいと感じる。【小学校・養護教諭】


<まとめ>

給特法について、「完全に廃止するのがよい」と回答した人は全体の40%と最も多く、次いで「残業時間の上限を定め、それ以上は残業代を出すのがよい(23%)」「教職調整額を引き上げるのがよい(20%)」の順番で多い結果となりました。

年代別に見ると、20代では「完全に廃止するのがよい」と回答した人は約半数にのぼり、50代までは、年代が上がるに連れてその割合が下がっていく傾向が見られました(30代で46%、40代で38%、50代で22%)。また、「完全に廃止するのがよい」と回答したのは男性が52%、女性が28%。「残業時間の上限を定め、それ以上は残業代を出すのがよい」と回答したのは男性が12%、女性が35%と、性別によって回答に差がありました。「残業時間の上限を定め、それ以上は残業代を出すのがよい」もしくは「教職調整額を引き上げるのがよい」と回答した人は全体の約4割にのぼり、さまざまな意見があることもアンケート結果から読み取ることができました。

教職調整額の引き上げを支持する理由は、「現状は教職調整額以上に働いているから」「教員を志望する人が増える可能性があるから」など。教職調整額の引き上げを支持しない理由は、「残業ありきの働き方になりかねないから」「それだけでは長時間労働に歯止めはかからないから」などの意見が上がっていました。

残業代の支給を支持する理由は、「業務の精選を図る意識が管理職や教職員に醸成されるから」「時間外労働を見直す動きや、学校行事の縮小等を進める動きが起こることを期待しているから」など。残業代の支給を支持しない理由は、「持ち帰りの仕事が無給になり、学校に残れる人だけしか恩恵を受けられないから」「残業代が欲しくて今まで以上に残業する人が出る可能性があるから」などの意見が上がっていました。

また、教職調整額の引き上げや残業代の支給以外の案として、「労働基準法の適用」や「役職や業務による給与の調整」などを望む声も。さらに、給与形態の見直しだけではなく、業務量の削減や働き方の改革なども合わせて見直し、一人ひとりの負担を減らすことの重要性を訴える声も多く集まりました。


※WEBメディア「メガホン」の記事(https://megaphone.school-voice-pj.org/2023/07/post-3115/)より、全回答がご覧いただけます。


  • 運営団体:NPO法人 School Voice Project

学校現場の声を「見える化」し、対話の文化をつくるプロジェクト。児童生徒も教職員も「自分の思いや声には価値がある」「私には現実を変えていく力がある」と実感できる学校づくりのために、教職員WEBアンケートサイト「フキダシ」と学校をよくするWEBメディア「メガホン」の運営、政策提言・ロビイング活動を行なっています。
【団体名】NPO法人 School Voice Project
【代表理事】大野 睦仁
【設立】2022年8月19日
【所在地】〒105-0013  東京都港区浜松町2丁目2番15号 浜松町ダイヤビル2F
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会社概要

URL
-
業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都港区浜松町2丁目2番15号 浜松町ダイヤビル2F
電話番号
-
代表者名
大野睦仁
上場
未上場
資本金
-
設立
2022年08月